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第49話:あれ?何も起こらない?

コンコン

「レベッカ、そろそろ話は終わったか?」


ある程度話がまとまったところで、ちょうど王太子様が声を掛けて来た。


「ええ、終わったわ。さあ、中に入って」


レベッカ様が扉を開けると、男性陣3人が入って来た。


「ミシェル、そろそろ帰るぞ。ユーグラテスがこの部屋の近くをうろついていたからな!休みの日まで、お前に会わせたくはない。王太子妃殿下、それじゃあ」


そう言って、私の腕を掴んだレオ。


「それじゃあ、私たちも失礼しますね。ジル様、行きましょうか?」


一緒の馬車で来ているシュミナとジル様も部屋を出る。


「待って、せっかく仲良くなったのだから、門まで見送りをさせて」


そう言って付いてきたのはレベッカ様だ。レベッカ様の動きを見て、王太子様も見送りに来てくれた。


部屋を出て少し歩いたところで、一番会いたくない人に出くわしてしまった。


「やあ、ミシェル嬢。やっぱり来ていたんだね」


にっこり笑ってこっちに近づいて来る第二王子。つい身構えてしまったところでシュミナに


「ミシェル、毅然とした態度よ!」


と、注意を受けた。そうだわ、毅然とした態度だったわ。


「ごきげんよう、ユーグラテス様。私たちは今から帰るところなのです。それでは、失礼します」


そう言うと、レオの腕を掴んで第二王子の元を去ろうとしたのだが…


「待ってよ、せっかくだから、皆で話をしようよ。兄上も良いでしょう?」


こいつは何を言っているのだろう。そんなの、嫌に決まっている。


「悪いが俺たちはこれから用事があるんだ。また今度な」


物凄く不機嫌なレオが、断りを入れた。


「少しぐらい、いいだろう?ね?」


さらに食い下がる第二王子。その時だった。


「ユーグラテス、しつこい男は嫌われるわよ。今日は用事があると言っているのだから、諦めなさい!さあ、行きましょう!」


強めの口調でそう言ったのは、レベッカ様だ。どうやら第二王子は今回の生のレベッカ様が苦手な様で、悔しそうに唇を噛んで睨んでいる。


そんな第二王子を涼しい顔でスルーするレベッカ様。この人、並々ならぬ思いで、今の生を生きているのだろう。私ももっと頑張らないと!


「レベッカ様、今日はありがとうございました」


門の前まで来ると、改めてレベッカ様にお礼を言った。


「こちらこそありがとう!次は、そうね。2週間後にまた会いましょう」


「王太子妃殿下、お言葉ですが、ミシェルはこれ以上王宮に…」


「これは王太子妃命令です!ミシェル様とシュミナ様には、今後私の補佐をしてもらおうと考えているの!婚約者だからって、女の世界に口出しするのはどうかと思うわよ!」


レベッカ様の迫力に、何も言えなくなってしまったレオ。本当にレベッカ様は、1度目の時の性格とは正反対だ。


「それじゃあ、2週間後に」


そう約束し、馬車へと乗り込んだ。


馬車が走り出した途端、怒りだしたのはレオだ。


「何なんだよ!王太子妃の野郎!何が女の世界に口を出すなだ!ミシェルは俺の婚約者だぞ!お前も立場は分かるが、嫌なら行かなくてもいい!」


そう言って私を膝の上に座らせるレオ。シュミナとジル様が居るのに!


「レベッカ様はとっても良い人よ!レオが思っている様な人じゃないわ!」


「そうですよ、レオ様。レベッカ様は本当にお優しい方ですよ。それに、あの性格ならユーグラテス様からミシェルをしっかり守ってくれるでしょうし」


「確かに、かなり気が強そうだったよな。あの王太子妃」


「あ~もう、わかったよ!お前たちがそこまで言うなら行ってもいいよ!でも、絶対にユーグラテスには近づくなよ!」


シュミナやジル様が私の見方をしてくれたおかげか、物凄く不満そうではあるが、何とか納得してくれたレオ。


この日を境に、私達は定期的にお茶会という名の会合を開くことになった。とにかく一番身の危険があるレオには、私のポケットマネーから優秀な影の護衛騎士3人を雇った。万が一殺し屋に襲われても、きっと彼らがレオを守ってくれるはずだ。


さらに、レオの家が1度目の生の時の我が家の様に、無実の罪を着せられない様、怪しい行動をする者はいないか監視する為、レオの家にスパイも送り込んだ。


残念ながら人脈が無い私の為に、全てシュミナが手配してくれた。本当にシュミナには感謝してもしきれない。


第二王子はと言うと、学院でも王宮でもあまり絡んでこなくなった。もしかして諦めたのかしら?と、少しばかり期待していたのだが


「そんな訳ないでしょう!ミシェルちゃんは考えが甘すぎるわ!」


と、レベッカ様に怒られてしまった。ちなみにレベッカ様は、私たちの方が年下という事もあり、ちゃん付けで呼ぶようになった。


そんなこんなで月日は流れ、ついに学年末を迎えた。この半年間、第二王子がいつ仕掛けて来てもいい様に、色々と準備をして来た。


でも、私たちの行動とは裏腹に、全くと言っていいほど何も起こらない。レオも相変わらず元気だし、第二王子を見張ってくれているシュミナやレベッカ様からも、特に目立った動きは無いとの事。


もちろん、レオの家に送り込んでいるスパイたちの話でも、特に怪しい動きをしている者はいない様だ。


「ねえ、どういう事かしら?もう1年生も終わるのよ。それなのに、どうして第二王子はこんなに動かないのかしら?」


気になってシュミナに話してみた。


「そうね、もしかしたら向こうも警戒しているのかもしれないわね。でも、ここまで動きが無いのも不思議よね。最近はぱったりあなたにも絡んでこなくなったし。レベッカ様は警戒心を解くなって言っていたけれど、案外諦めたのかもしれないわね」


私もシュミナと全く同じ事を思っていた。とにかく、今日で1年生は最後だ。明日から、1ヶ月ちょっとある学年末休みに入る。


ちなみに学年末休みの間に、一度レオと一緒に領地を訪れる事になっているのだ。私が領地に居る間、一度も来られなかったレオ。これから公爵家を継ぐ者として、領地を見ておくことも大切という事で、今回一緒に行く事になった。


シュミナも今回の休みを利用して、ジル様の領地を訪問するらしい。


「明日からは領地に向かう予定だから、しばらくは第二王子の事は考えなくて済みそうだわ。シュミナ、色々と本当にありがとう。今日まで平和に生きられたのも、あなた達のおかげよ。本当に感謝しているわ」


「私は特に何もしていないわ。ユーグラテス様に動きが無かっただけよ。とにかく、休み中はお互い目いっぱい楽しみましょう。お土産いっぱい買って来るわね」


「私も買って来るわ」


そう約束して、シュミナと別れた。明日からは、ずっとレオと一緒だ。そう言えば、メラに次に来るときは、婚約者も連れて来てって言われたのだったわね。


こんなに早く約束が果たせるなんて嬉しいわ。皆元気にしているかしら?

約1年ぶりに向かう領地を思い、胸躍らせるミシェルであった。

次回から2回目の領地でのお話に入ります。

今回は、婚約者のレオと一緒です!

よろしくお願いしますm(__)m

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