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今回は短いです。

その頃少女たちはあれだけ接触することのないよう周囲が気を付けていたのに何故か王宮の一角でバッタリと出くわしていた。


これには理由があった。普段2人に付いているメアリとメリザは通信用の魔法具を使いその日の予定や行き先、行動などを常にお互い把握し決して2人が偶然でも出会うことのないよう配慮していた。これは国王や宰相、第一王子から言われたという事もあるがそれぞれの少女を見てきて会わせない方が良いと考えたからでもある。


しかし、ここにその2人の侍女のうちメリザがいないのだ。ユーカに命じられて衣装部に出かけているのだ。いつもはもう一人メリザの補佐をする侍女がいるのだが彼女もまたユーカのワガママで調理場に出かけていた。そしていつもなら侍女を伴って散歩に出かけるのだが(これは厳命されていたので)、今日護衛についているのがなかなかのユーカ好みのイケメンということもありたまには護衛の騎士とお喋りを楽しみながら散歩しようと予定外の行動に移ったのだ。

そして予定通り図書館に行こうと歩いていたユイとバッタリ出くわしたのだ。




「あら、結依じゃない。あんたまだここにいたの?ていうかぁ、私の小間使いの分際で何いい服着て侍女連れて歩いてる…ってちょっとあんた!結依じゃなくて侍女のあんたよ!ドレスの希望を伝えに行くように言ったのに何勝手に結依の側にいるのよ!あんたは私の侍女でしょ!」


さっきまで騎士の前で可愛こぶりっ子をしていたのに結依を見つけて思わず素が出てしまったがそんなことにも気付かず結依に怒鳴っていたかと思うと、その斜め後ろにいる侍女を見て騒ぎ出した。そこにはいつも自分の世話を焼く侍女が立っていたからだ。



「失礼ですが、わたくしはメリザではありません。わたくしはメリザの双子の姉のメアリと申します」


そう言ってお辞儀をするメアリは内心焦っていた。


(何故ここにユーカ様が?!この時間は部屋にいる予定だったはず!)


「へぇー。


まぁそんなことはどうでもいいわ。それより結依、あんたいつまでここにいるつもり?聖女でもないのにいつまでも迷惑かけるなんて常識がないわよ。すぐに出て行きなさいよ」


あっさりとメアリから関心がなくなった優香は今度は結依に出て行くよう言い始めた。


「え、あ、私は………」


そう言ってすっかり萎縮してしまった結依は口を閉じてしまった。

そしてずいっと結依の方に顔を寄せた優香は耳元で


「あんた邪魔なんだよ!とっとと出て行かなかったらあんたの悪口有る事無い事ここにいる人たちに言うから」


そう言ってニヤァと笑う顔はもはや聖女ではなく魔女のようだ。しかし、周りの者は少女の頭がお互いの表情を隠しており気が付いていない。ただ、2人の様子に早く離さなければと焦っていた。



「ユーカ様、庭園にとても綺麗なバラが咲いたと今朝庭師が言っておりました。きっとユーカ様にぴったりだと思いますよ。どうせならあちらでお茶にしても良いかもしれませんね。遅くなると時間もなくなりますしそろそろ行きましょう」


咄嗟に騎士が声をかけると先ほどの表情はすっかり消し、ニッコリと微笑んで答えた。


「まぁ、そうなの?じゃ行きましょう!

あ、折角だから今日は一緒にお茶を飲みましょう。いつも一人で淋しかったのよ」


そう言うと最後に「わかったらとっとと出て行くのよ」と耳元でもう一言言うと騎士を引き連れて去って行った。

残った結依は真っ青になりガタガタと震えていた。


「ユイ様!いかがなさいましたか!?」


「あ、な、何でもないの。


今日はやっぱりお部屋にいることにするわ。ここまで来たのにごめんなさい」


「いえ!そんなことお気になさらないで下さい。それよりも何か言われたんじゃないですか?大丈夫ですか?」


メアリもユイの護衛に付いていた騎士もみんな心配し、心を痛め、そして憤っていた。さっきまで図書館に行くと嬉しそうに笑っていたのに。こんなに顔色を悪くする程何を言ったのだと。


「あ、大丈夫!ちょっと気分じゃなくなっただけだから」


そうして元来た廊下を戻ったのだ。






その夜、ユイはいつも通りアルバートと楽しく食事をした。メアリや騎士たちから話を聞いていたアルバートはかなり心配していたのだがいつも通りのユイの姿にホッとしていた。

そして食事が済んだ後、いつもならアルバートはすぐにまた仕事に戻るのだが珍しくユイにお茶に付き合って欲しいと頼まれた。


いつも通りと思っていたがやはり何か不安があるのかもしれないと二つ返事で了承し、少しでもユイの心が晴れるようにとと王都や自身の幼い頃の話を色々と面白おかしく話したのだ。アルバートが気を使っていたのがわかったのか、部屋を出る時


「あの、アルバート様、ありがとうございました」


少し恥ずかしそうに俯いて言うユイの頭をポンポンと撫でて仕事に戻ったのだ。












そして翌朝、部屋の中にはユイの姿もユイの持って来た荷物もなくなっていた。



少女たちの名前を呼ぶ相手によってカタカナ表記と漢字表記に分けています。が、だんだんと自分でもわからなくなってきたのでここで全てカタカナ表記にしようと思います。ただしお互いがお互いを呼ぶ時だけは漢字で書こうと思います。これまでのところは追い追い直して行こうと思います。



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