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「お前は……一体どこまで、僕達を馬鹿にすれば気が済むんだ!?」
一瞬――ほんの一瞬、トカゲの顔に怒りが浮かんだように、見えた。だがそれは十分に見間違いと言っていいレベルのものでしかなく、
「人の親切は素直に受け取っておくべきだよ、楓。君が決められないのなら、私が決めてしまうが構わないかい?」
「……勝手にしろ」
「わかった。それじゃあ呼びやすいように日本の名前にしよう。法山 均――どうかな?」
その名前を聞いた瞬間、まるで目覚めてから急速に薄れていく夢の記憶のように曖昧だったトカゲの輪郭が鮮明になった。
「いいだろう、法山。僕は、お前の目的が知りたい。お前が一体どうして人に害を為すようになったのかを」
「――楓、どうして君は、私が人に害を為しているとわかるんだい?」
その質問は、ナイフのように僕の脳に滑り込んできた。
「どうし、て? そんなの決まってる! 僕の目の前で真奈さんを消した! それで十分だろう!」
法山は呆れたように、
「じゃあ、今ここでその真奈さんを元に戻したとしたら、それでも私は邪悪か?」