表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
文明トカゲ  作者: ペン牛
六 完全の家
135/263

13

(迷塚さんは……ただ意味のわからないことを言ってるだけなのか? それともトカゲが関わっている?)

 喪服の女が死んでから今日までのことを考えれば警戒しておくに越したことはない。なにより、迷塚さんが送ってきた住所は僕のアパートの近所だ。迷塚さんには僕のアパートの住所を教えていない以上、偶然で片付けるのには無理がある。

(梓からも情報をもらっておいた方がいいだろうな。ただ上手く聞き出さないと)

 僕は梓をトカゲにまつわる問題に十分巻き込んでしまっている。それでも梓のことを考えれば本当のことは話せない。もし僕が梓の立場だったら、と思うと情けなさで息が苦しくなる。

(……できることをやるしかないんだ。それがどれだけちっぽけなことでも)

 梓とのやり取りを再開する。

『梓、迷塚さんのことなんだけど、最近変わったことはなかった?』

『変わったことって? 例えばどういうこと?』

『その、急に性格が変わったとか、よくわからないことを言うようになったとか』

『……楓、どうして急にそんなことを聞くの?』

『実は迷塚さんから健康食品の販売会に行かないかって誘われたんだ。人生が変わるから是非試してみてほしいって勧められて』

『え!? それって……本当に先輩がそんなこと言ったの?』

『うん。正直、話すのは迷ったんだけど、それでもこのまま黙っていて梓に何かあったらと思うと心配で。それでどうかな? 心当たりはある?』

『えっと……あ、でも先輩と知り合ったばかりの頃は時々違う人みたいに静かになっちゃうことがあったような……楓に言われてやっと思い出したくらいだから、ほとんど意識はしてなかったと思う』

(梓が大学に入学してまだ精々半年……もしも梓が教えてくれた違う人みたいに静かな、というのが迷塚さんの本来の姿だとしたら、トカゲを候補に含むなんらかの影響を受けたのはごく最近のことか)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ