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「……楓、さっきすごいこと言ってたよね」
「すごいこと?」
「わ、私のこと抱き締めて寝たら幸せだとか! そ、そんなこと言ってたでしょ!?」
蒸留酒を流し込んだような顔で梓が言う。
「うん。だって本当のことだから」
「な……だ、だから、楓は本当に……もう」
うつむいている梓の顔の色が元に戻っていく様子を眺めていると、梓が注文したパフェが届いた。デラックスの名に恥じない普段僕が食べることのないフルーツが高く積まれたパフェだった。
「あの……楓、このパフェ、思ったより大きかったから、一緒に食べてくれない?」
「……確かに大きいとは思うけど、前にこのくらいのパフェを一人で食べてなか」
「いいから一緒に食べて!!」
「はい」
先程のこともあって断ることができない。パフェに乗っている大きなパパイヤをもらって食べると、口の中に癖のある甘味が広がった。