表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
文明トカゲ  作者: ペン牛
六 完全の家
129/263

 有無を言わせぬ、とはこのことだと思った。もし梓を本気で怒らせてしまった時は大人しく諦めよう、と心に刻む。

「そ、そーだ、私さっきからずっとトイレ行きたかったんだよねー、邪魔者は退散するから二人で仲良くってひぃっ!?」

 梓の目が一瞬で人間から真蛇のそれに変わる。ちょっとした恐怖映像だった。迷塚さんは逃げる泥棒のようにトイレへと消えていった。梓はそれを見送ると、僕の方に向き直った。憂いを湛えた顔で、梓は僕に頭を下げた。

「楓……私の方こそごめんなさい。元はといえば私が全部悪いのに、楓に怒鳴るなんて……」

「いや、梓に悪いところはないと思うけど」

 そもそもこの問題の根本は梓のサークルの人達が梓の言ったことを全く信じなかったことだ。梓の彼氏はいないという発言さえ信じられていればこんな面倒な事態にはならなかったのだから。

「でも、楓を巻き込んじゃって……本当ならこんな下らないこと、私一人で解決しなくちゃいけないのに」

「下らなくはないよ」

「……え?」

「梓が悩んでるのなら、どんな些細なことだろうと、下らなくはないよ」

 梓の顔が赤くなる。これは恥ずかしさによるものか、それとも怒りによるものなのか。どうにも判断できない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ