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「でも、実際に話してみると楓は私が思ってたのと全然違う人で、それで余計に楓のことを知りたくなって……仲良くなりたいって思った」
「お~、いいよいいよあずさん。皆はあずさんのそういう回答を求めてるんだよ。わかってるね~」
「先輩……それ以上言ったら私帰りますよ?」
迷塚さんはメロンソーダを一口飲んで、
「そんなこと言われてもな~、ここで帰っちゃったら困るのはあずさんだよ? 今更皆に本当のこと言うのも嫌っしょ?」
「そ……それは嫌です、けど、でもこんなことになるならいっそあの時本当のことを言った方がよかったです。先輩が皆から庇ってくれたから相談したのに、こんな……」
「いや~、だってさぁ、あずさんの彼氏が本当にいるのかどうか確かめるために代表して会いに行くーなんて役得、そりゃあ楽しまなくちゃ駄目でしょ」
迷塚さんの発言を聞いて梓の顔が見る見る赤くなっていく。羞恥ではなく憤怒が原因だろう。
「んー、でもあずさんが話したくないっていうならなー、仕方ないなー、よし、楓ちゃんに聞こっと。楓ちゃんさぁ、あずさんと初めて手を繋いだのはいつ?」
唐突に質問される。しかも梓と初めて手を繋いだ時のことは、梓が僕に話しかけてくれた理由と同様に思い出せない。