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文明トカゲ  作者: ペン牛
六 完全の家
124/263

 現在、僕と梓はファミリーレストランで迷塚さんからインタビューと言おうか、尋問と言おうか、とにかくそういった類のものを受けている。今回の事態を招いた根本的な原因は僕の軽率さだ。

「いや~、にしても楓君? 楓ちゃん? ほんっといい感じだね。全然飾ってないせいで余計に素材のよさがわかるっていうかさ~」

「朱美先輩……! 楓は女の子ですから……!」

 梓が怒りのこもった目で迷塚さんを見る。梓がここまで無遠慮に感情を剥き出しにすることは珍しい。そういうことができるほど梓は迷塚さんを信頼しているのだ、と思うと正体のわからない嬉しさがあった。

「あー、そっか。デリケートなことなんだっけ。ごめんね。さて、それじゃあ本題に戻ろっか~」

(……僕としては戻ってほしくないんだけど)

 ちらりと梓の方を見る。梓も僕と同じ心境なのか、なんとも憂鬱そうな表情をしていた。「も~、二人ともなんて顔してんの~。こんなの遊びみたいなもんでしょ? 適当にそれっぽい答えさえ用意すれば皆納得するんだからさ~」

 ――迷塚さんの話によれば、梓が僕と一緒に撮った写真をサークルのメンバーに見せ、彼氏と撮った写真だ、と宣言したところ、

『美男美女カップルすぎる!!』

『羨ましすぎて死にそう! ていうか今死ぬ!!』

『畜生……こんな世界を作った神様なんて大嫌いだあああああああああ!!』

 などという声が飛び交う阿鼻叫喚の惨状になった挙句、

『『『彼氏さんを紹介しろ! というかサークルの飲み会に呼べ!!』』』

 という展開になってしまったらしい。正直頭が痛いどころの話ではない。

「さて、それじゃあワガママなあずさんのためにライトな質問から行こうかしら。二人の馴れ初めは~?」

 あずさん、という耳慣れない言葉に一瞬混乱したが、すぐに梓のあだ名であると理解した。迷塚さんと梓の仲が窺い知れる。

「先輩、馴れ初めってそんな……知り合ったきっかけでいいじゃないですか」

「サービスよサービス。こういうのは面白おかしく言ったもん勝ちなの。というわけではい、話した話した」

 流石にいつまでも梓に矢面に立っていてもらうのは申し訳ない。口を開く。

「僕と梓は高校の同級生だったんです」

「あー、それはもうあずさんから聞いてるわ。で、どうやって仲良くなったの?」

「……どうやって」

 ――あぁ、それは、確かひどく普通のことだった気がする。

「お弁当を一緒に食べたんです」

 答えようとして、梓に割り込まれた。

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