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「……五万円」
「え?」
「この件を解決できたら五万円ということで、どうですか?」
火津木さんと流谷さんが揃ってぽかんとした顔になる。僕が火津木さん達に協力するそれらしい理由として金銭を要求したのだが、流石に五万円は額が多すぎただろうか。
「もし納得できないのであれば――」
「い、いえ! 五万円ですね、必ず払います!」流谷さんの声はこれ以上ないほど追い詰められていた。
「わかりました。それじゃあ連絡先を交換して、今日は解散しませんか? これ以上のことは火津木さんにつきまとってる男を実際に見てからでないと」
二人とも僕の言葉に納得してくれたため、僕達は連絡先を交換し合い、カラオケボックスを後にした。