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レベルリセッター ~クリスと迷宮の秘密~  作者: ブロッコリーライオン
3章 飛躍 十歳冒険者見習い編
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65 芋づる式

 作戦通り暗殺者を捕縛することに成功した僕達は、急いで迷宮から脱出することにした。

 しかしここで思いがけないことが起こる。

 なんとジュリスさんが暗殺者をぐるぐる巻きに縛っている際に、大量の暗器を隠し持っていたことが判明したのだ。

 当初の予定では暗殺者を捕縛した場合、騎士の誰かが肩に担いで脱出するという話だったけど、さすがに暗器を隠し持っている暗殺者を肩に担ぐのは危険だとシュナイデルさんが判断して他の方法を模索することになった。


「この人、体何を考えて、こんないくつもの暗器を隠し持っていたんですかね?」

 ジュリスさんは暗器を親指と人差し指で掴みながら嫌そうな顔をしてシュナイデルさんに尋ねた。


「暗殺者の考えなどさっぱり分からん。しかしまだ何処かに隠し持っている可能性がある以上、担いで戻るのは止めだな……」

「それじゃあどうするんですか? まさか……」

「何を想像しているか分からんが、担架を作って運ぶぞ」

「もちろん分かってましたよ。でも持ち手は槍で代用するとして、担架にするには布が必要ですがどうするんですか?」

 ジュリスさんは場を和ませるためにしたのか、自分の首を絞めるようなリアクションを見せたけど、シュナイデルさん他、騎士の皆さんからも流されたのを感じたのか、ジュリスさんも仕事モード入った。

 そこでシュナイデルさんは自分の纏っていたローブを脱いでジュリスさんへと手渡した。


 この時、もしかすると騎士さん達の前で【シークレットスペース】を発動して布を出さないといけなくなるかも……そんな考えが頭を過ぎったことが恥ずかった。


 それから直ぐに即席担架が出来上がり、その担架に暗殺者を乗せて迷宮から脱出するまでは計画通りだった。

 だけど残念ながら誰にも見つからなかったのは、迷宮から脱出するまでだった。

 迷宮から出た直後、複数の冒険者パーティーと迷宮の入り口で鉢合わせしてしまったのだ。


「騎士の方々が迷宮へ入っているとは珍しいですね」

 その中の一人が先頭にいたシュナイデルさんへと世間話するように声をかけてきた。


「必要性がある場合は我ら騎士団も迷宮へと入るさ。別に冒険者だけの迷宮ではないのだから」

「まぁ確かに……。しかし担架とは迷宮で負傷したのですか?」

「いや、迷宮へ逃げ込んだ犯罪者を捕縛しただけだ」

 すると冒険者達が担架に乗せられた犯罪者を覗き込み、それが暗殺者であることを知っていたと思われる一人が声を上げる。


「暗殺者だと分かっているなら、そんな危険や奴を何で殺さなかったんだ」

「それだけムキになっているということは顔見知りか? それなら一緒に詰所へ来て話を聞かせてくれるか?」

「い、いや、だが暗殺者なんだろ? もし逃げだしたら危険じゃないか」

 シュナイデルさんの指摘に冒険者はたじろきながらも、自分の意見をしっかりぶつけた。


「既に拘束して無力化しているのが分からんのか? たとえ脱走しようとしたところで逃げさせんよ。こやつには色々と聞かねばならんことがあるから簡単には死なせんよ」

 シュナイデルさんが笑いながらそう告げて、たぶん[威圧]を発動したからだろう、冒険者達は左右に分かれて道を譲ってくれた。

 冒険者達の間を通る時に何人かは騎士ではない僕やゴロリーさんにも視線を向けてきた。

 でも僕はゴロリーさんから念の為にと言われてフードを目深に被っていたので正体がバレることはなく、ゴロリーさんを見た人達はゴロリーさんから[威圧]されて目を逸らすか、その場でへたり込んでしまうことになった。

 きっと今の完全武装したゴロリーさんを見て、元々食堂の店主だと気づく人はいないだろうな~。

 そんなことを思いながら騎士さん達に続くと、本当に目と鼻の先にある騎士団の詰所へ到着した。



「ゴロリー殿とクリス君のおかげで無事ワーズを捕まえる事が出来ました。これからそのワーズから色々話を聞かせてもらうことになりますが、それは私が担当することになります。なので……」

 シュナイデルさんはそこで四名の騎士さんに声をかけ、捕縛した暗殺者を詰所の牢へと入れておくように命令した後、こちらへ向いて一礼したままで予定を告げた。

 徐々に小さくなる声が申し訳ない気持ちを現していた。

「まぁ仕方がないだろう。だが冒険者ギルドへは数名の騎士を借りて行くぞ。それとこれは忠告だが、騎士団の長がそんな簡単に頭を下げるな。騎士が冒険者の下に見られる……そんなことを言う奴らが出かねんからな」

「助かります。先程遭遇した冒険者達はワーズの顔を知っていた可能性が高いですから、なるべく急がれた方がいいです。ジュリス、ゴロリー殿とクリス君の足を引っ張るんじゃないぞ」

「私のことをなんだと思っているんですか。隊長こそあの暗殺者を逃がさないでくださいよ」

「既に対策は教えてあるから問題ない。ワーズを捕縛した今、奴隷商人に加担していた冒険者達と冒険者ギルド職員を捕える機会はそう多くない筈だから、何としても逃さないようにな」

「「「はい」」」   

「ゴロリー殿とクリス君は作戦通りワーズを捕縛したことをマリアン殿へ伝えていただけますか。そうすればマリアン殿が不正を働いた冒険者と冒険者ギルド職員を炙り出せるでしょう」

「はい」「任せておけ」

「じゃあ早速行きましょうか」

「ああ」「はい」「「「はっ」」」

 こうして今回の作戦で一番重要だった暗殺者の捕縛を成功させ、新たに暗殺者と共謀して、奴隷商人へと売り払い金を得ていた冒険者及び不正を働いていた冒険者ギルド職員を捕縛するため、僕達は冒険者ギルドへと向かった。


お読みいただきありがとうございます。


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