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異世界ドライブ旅行記  作者: hachikun
18/180

それぞれの夜

ちょっとだけエロい描写あり。注意。

 ぱちぱち、と焚き火が音を立てていた。

 女ひとりの、静かな夕食風景。周囲には誰もいない。不用心極まりないようにも見える。

 だけど、見る目のある者なら気づくだろう。

 女の周囲には強力な結界があった。それも、その発信源と思われるのは現地に転がっている普通の石などであり、女自身にとってはそれが、即興でササッと組み上げたようなものにすぎない事を思わせた。

 圧倒的強者。

 少なくとも、そこいらの魔物では近寄る事もできない存在。

「まさか、ああいう手段に出るとはね」

 昼間見た、彼らの脱出行について女は考える。

「直接戦闘でなく、単なる力技で逃げるでもない。一見、無謀としか思えない遺跡に飛び込んで時間を稼ぎ、あげくの果てに待ち伏せ隊にランドオクトパスを押し付けてまんまと逃げおおせる、か」

 あの遺跡はおそらく大戦以前のものなのだろう。

 ツァールの街は戦後ゼロから再興されたものだが、元々あの街は物流拠点だったそうだ。だが戦争の結果、巨大な輸送路も街も消滅。今の街は、残っていた僅かな遺構を手がかりに、ここに街があったのだろうというところに再び建造されたものだという。

 おそらく、あの遺跡は……その「手がかり」になった古き遺構そのもの。過去の遺物というわけだ。

「ツァールはかつて、異世界からきた技術者とドワーフが知恵をこらしたっていう説があったわね。同じ異世界人が、その遺構を利用してまんまと逃げおおせた、としたら……学者が聞いたら色めき立つかもね……ふふ」

 連合の調査隊に情報を流したのは正解だった。

 流した情報に全く嘘はない。女もなんら妨害はしていない。ただ経過を見ていただけ。

 彼らはデータ通りに異世界人を乗り物ごと生け捕りにしようとして……そして、まんまと失敗してしまったわけだが。

「……」

 女は通信魔道具を取り出した。先日、平原で取り出したのとは別のものだった。

「ゲイル、聞こえる?」

『……お嬢か』

 通信の向こうから、男性と思われる渋めの声が響いた。

『作戦失敗したみたいだな。連合の方では大騒ぎになっているぞ』

「私はちゃんとデータ渡したわよ。周辺の地形データも、彼らの動作予測もね」

『それを連中が読み違える可能性も計算の上で、ではないかね?』

「どういうこと?」

『意図的に流してない情報があるのではないか?たとえば聖女的にピンときた事とかね』

「なんの権限もないオブザーバーが理屈にあわない直感なんて主張して、それが彼らの作戦に反映されるのかしら?」

『……あいかわらずだなお嬢』

「ゲイル。あなたね、そんなに私を悪女にしたいわけ?」

 どうやら今回の通信相手は、親しい関係の者のようだった。

『確かに、今回の作戦では我が国はなんの権力も発言権もなく、お嬢の立場もオブザーバーにすぎん。だが聖女の名は決して軽くない事を忘れるな。むしろ、公式になんの権限もないのにわざわざお嬢が召喚された意味を考えればだな』

「はいはい。わかってますって」

 男の発言を遮ると、女は鬱陶しそうに返答した。

 だがそんな女の顔には不快さは見てとれないし、男の声の方もそれに文句をつけるでもない。

 どうやら、互いの事をよく知っている関係らしい。

『で、どうだったお嬢、今回の異世界人は?』

「どうもなにも。データは見たんでしょ?」

『データはな。だが数値に出るスペックなど今回の我ら聖国にはなんの役にもたたん、そうだろう?』

「ふふ、そうねゲイル」

 クスクスと女は笑い出した。

『で、お嬢個人の印象はどうなんだ?どういうヤツに見えた?』

「直接話したのは一瞬だけよ?あとは観察だけなんだからね」

『それでかまわん。おまえの印象を教えてくれ』

「……そうね」

 女は、通信の向こうから聞こえてくる男の言葉に、夢見るような表情を浮かべた。

「大した男じゃないわね。別に野望があるわけでなく、何かに(かつ)えるでもない。飄々(ひょうひょう)としてマイペースで」

『ほう?そこまでお嬢が褒めるというのも珍しいな』

「金と権力目当てでギラギラしてる連中よりは少なくともマシよね。なかなか面白そうよ」

 男の隣に乗り込んでいた、竜の眷属らしき女を思い出す。

 当初、あの竜女やケルベロスの立ち位置がよくわからなかった。どちらが男をとるかで対立しているのか、なんて事も考えたし、連合もそう判断したようだ。

 しかしどうも違う。

 まるまる一晩、注意しつつ探査してみたが、おかしい。

 まるで自分が警備担当と言わんばかりに、あの乗り物の屋上でじっと座っていたケルベロス。女に明らかに気づいていたろうに、近づく気もなく敵意もないなら知ったことではない、と言わんばかりの態度だった。

 そして、どうやら全裸で寝床に入ったと思われるのに、手出しどころか単に添い寝だけしたらしい竜女。

 翌朝に見せた、あの遠目にも苦笑しか出てこない、寸劇じみた茶番劇。

 

 もしかしなくても。

 彼らは単に、男の旅仲間にすぎないのではないか?

 

 理性ではそんな馬鹿なと言っている。だが、女としてのカンはそれが正しいと見抜いている。

 あの男はおそらく、あの竜女をちゃんと女として認識している。竜女も男にそれを求めているように見える。

 ケルベロスも似たようなものだ。男にとっちゃ旅の道連れにすぎないし、ケルベロスの方もまた、男をあの集団のボスと見ているように見える。

 それはつまり……信じられない話だが、彼らは共に旅する仲間って事ではないか?

『お嬢?』

「ああ、ごめんなさいゲイル」

 女の沈黙をいぶかる通信相手に、女は微笑み答えた。

「ゲイル。私はもう一度彼らと接触を試みるわ。今度は連合のひとりとしてでなく、ひとりのマイラって女として接触してみるつもりよ」

『ほう、そこまで入れ込んでるのか。しかし大丈夫なのか?』

「彼らを力で押さえつけるのは逆効果だと思う。うまくやる方法はたぶん一つだけ。つまり」

『彼らの旅路を妨げない事。そして、できれば道連れになる事。それが結果として繁栄への道となる、と?』

「そそ」

『お嬢、まさかおまえ』

「心配しなさんなゲイル。聖国としても、はねっかえりの暴走女の行き先が決まってむしろ安泰じゃないかしら?ま、うまくいけばの話だけど?」

『馬鹿いうなお嬢!』

「じゃあねー」

 そう言うと女と通信を切り、そして夜空をみあげた。

「いいたい事はわかる。それに女としては嬉しいんだけどね、ゲイル。

 どんなに力があっても、聖女なんて言われても、異世界人の血を引く女である以上ゲイルとくっつく未来はない。いいかげんわかって欲しいんだけどなぁ」

 ふう。ためいきが出た。

 女の表情や声には、ゲイルという男への情感はうかがえない。

 おそらく女にとっては親しい友人なのだろう。男の方はそれ以上に思っているようだが、それすらも含めて女にとっては男は「親しき者」であり、裏返すとそれ以上ではなかった。

「ごめんねゲイル。ほんと」

 古い友人を悲しませるのは本意ではない。

 だけど気持ちに応える事はできない。

 聖女と言われようが大きな力を持とうが、この夜空の下では平等に、女もただの女にすぎなかった。

 

 

 

 さて。

 何とか追手からとりあえず逃げ切った夜。

 俺たちは大きな川の中州……そう、あの最初の日に行った川だ……にいた。

 さっきまで外で焚き火しつつ魚のフルコースだったんだけど、それもなぜかアイリスの魔法投入で強制終了。

 飲水も再び確保し、念のために一度煮沸……これもアイリスさんがズバッと魔法で沸かしてくれたもんでアッという間に終わり。

 そんじゃ夜空を見上げてまったり過ごそうと俺が提案したのだけど、なぜかアイリス様に拒否されまして。

 ええ。なんでか針のむしろです、俺。

 さっさと屋根の上に逃げていったランサがうらやましい。

 なんで俺、アイリス姫様にがっつりと捕まえられてますか?

 しかも運転席でなく、後ろの空間で正座ですよ、ええ。

 キャリバン号って狭いんだぜ。いくらハイルーフでも正座すると天井が近いぜ。

 なんだかなぁ。

 ヘイボーイ、いやガール。

 何で俺にそんな怖い目、向けやがりますか?

「今朝の行動についての釈明、まだ聞いてない」

 あ。

「ごめん、超忘れてた」

「~~!!」

「うわぁぁ、そんな怒るな!冗談!冗談だから!」

 さすがに今のはまずかったか。

 しかしアイリス、最初に出会った頃に比べたらずいぶんと人間らしくなったよなぁ。あの頃はまるで、どこぞの宇宙人製アンドロイドかって感じで、かなり違和感があったからなぁ。

 それが今や、生々しさ全開ですよ。成長したのは外見だけじゃないってわけだ。

 女の子っぽいかどうかというと俺にはよくわからない。

 でも人間らしいのは事実だよな。

 ん、まてよ?

「そういやアイリス、どうして昨夜に限って全裸で添い寝したんだ?」

「……え?」

 俺の質問に、アイリスはなぜか虚をつかれたようにポカーンとしやがった。

 いや、だってそうだろ。

「だってさ、おまえ俺のやった服、妙に喜んで着てたじゃん。最初の日からずっとさ。昨夜はどうして?」

「あー……それはその」

 なんか視線を右上にそらしてるな。なんなんだ。

「服が小さくなったから」

 む、サイズがきつくなったからって事か?

「バカだな。そんなの遠慮せずに言えばいいのに」

「だってパパ、眠そうだったし」

「だからって全裸で男に添い寝は良くないと思うぞ。そんな時はかまわん、次からは遠慮なく起こせ。な?」

「……」

 あれ、返事がない?

「どうした?アイリス」

「……あのね」

 何か意を決するように、アイリスが問いかけてきた。

「どうして裸で添い寝はダメなの?」

「……は?」

 今度は俺がフリーズする番だった。

「いや……そりゃおまえ、ダメに決まってるだろ」

「ここにいるのは、わたしたちだけなのに?」

 いや、そりゃおまえ。

「それにパパ、なんか忘れてない?」

「へ?何を?」

「わたしが人間どころか普通の生き物でもないって事」

「!」

 あー……それはその。

 まぁ確かにアイリスは、あのドラゴンに作られた存在なわけで。

 眷属っていうのがいまいちピンとこなかったのも事実だけど、普通の生き物でない、いわば人工的な存在なのはわかるわけで。

 でもさ。

 俺は思わず、こう言っていた。

「それはわかるけど……おまえはどう見ても人間に見えるが?

 これは単に見た目だけの意味じゃないぞ。こうして会話してても、おまえのやってる事を見てても、すごくそう思うんだが?」

 かぎりなく人と同じAIがあったとしたら、それはもう人と同じ知性体ではないのか?少なくとも俺はそう思う。

「……はぁ」

 そう言うと、アイリスは困ったように頭を抱えた。

「うわーだめだ、全然わかってないよ。この石頭」

「なんだと?」

「はいはい怒らないの。わかったよ、ちゃんと説明するから」

 ふうっとためいきをついて、アイリスは俺の方をまっすぐ見た。

 な、なんだよ。

「あのねパパ、そもそも、わたしの身体って何でできてると思う?」

「身体?……いや、すまん、わからん」

 ぶっちゃけ、キャリバン号みたいにファンタジーな素敵な何か、としか考えてなかったしな。

 そう言うと、アイリスはアハハハと乾いた笑いを浮かべた。

「それで納得しちゃうのが凄いよねえ……まったくもう!」

 いや、怒られても意味わからんし。

「わたしの身体はね、森に無数にいる精霊を集めて固め、カタチを与えたものなの。製作者はグランド・マスターで、そんで、固めるのに使われた(のり)っていうか触媒っていうか、それはパパの魔力。ここまではわかる?」

「ああ、うん。何とかな」

 精霊ねえ。

 ん?

「ちょっとまった」

「なあに?」

「精霊を集めて固めるって、いまいちよくわからないんだが。精霊ってそんなツブツブみたいなもんなのか?」

「へ?どういうこと?」

 ポカーンとするアイリスに、精霊って言葉のイメージするものを伝えてやる。

「そ、そういうこと……そっか。そこからわかってなかったら……わからないのも無理ないか。なるほど」

「おいこら」

「なに?」

「何でそんな、かわいそうなひと見るような目をすんだおまえは」

「いや……だって」

 はぁ、とアイリスはためいきをついた。

「精霊が何かなんて、ひとによっては赤ちゃんでも知ってるような事なんだよ?それをパパの歳で知らないなんて……ハァ」

 いちいち変な目すんじゃねえっつの。

「そんなもん、異世界人なんだから仕方ないだろうが。で、どういう事なんだよ?」

「はいはい、わかりました。じゃ、そこから説明するね?」

 にひひ、となぜかアイリスは楽しそう。なんなんだ。

「この世界にはいろんな生き物がいるけど、大きくわけると3つにわかれるんだよ。

 ひとつめは、パパのふるさとにも居たような普通の生き物。人間族はこの中に入るのね。

 ふたつめは、普通の肉体とは別にマナっていう魔道物質と渾然一体となっている生き物。グランド・マスターみたいなドラゴンとか、それからランサもこの中に入るんだけど、実は異世界人のパパもこの範疇に入るんだよね」

 なに?

「ちょっと待った。俺は人間だぞ?」

「そうは言うけど、そもそもこの世界の人間じゃないでしょ?」

 俺の主張を一刀両断にするアイリス。

「この世界に来る前のパパがどうだったのかは知らない。でも少なくとも今は、パパはグランド・マスターと同じような生き物だよ。普通の肉体だけじゃなく、マナと渾然一体となってる。わたしにはわかる」

「マジでか」

「マジ」

 ……ふうむ。

「もしかしたらグランド・マスターなら何かそのあたりも知ってるかもしれないけど、とりあえず今は省略するね」

「あ、ああ」

「でね、最後のひとつなんだけど、これを精霊生物っていうの」

「精霊生物?」

 うん、とアイリスは大きくうなずいた。

「マナはそれ自体ではカタチのないエネルギーとも物質ともつかないものなの。で、それが最低限、本当に微量なんだけど、寄り集まって生き物みたいになった存在。これが精霊なのね。まぁ、小さすぎて意識も何もないんだけどさ」

「ふむ?普通の生き物でいうとバクテリアや細菌みたいなものかな?」

「……」

「アイリス?」

「あ、うん、ごめん。そんな感じかな?」

「……今の沈黙は何だったんだ?」

「ごめん。ばくてりあとか、さいきんとか、知らない言葉が出てきたから」

「ああ、そうか。そりゃそうだよな。すまん」

 アイリスは色々と知ってるからつい油断するけど、こんなファンタジー世界で微生物について知ってたら変だよな。そりゃそうか。

 ん?まてよ?

「アイリス」

「ん?」

「理解できない言葉なら、どうして『そんな感じ』って思ったんだ?」

「もちろん、パパの頭を走査して意味を調べたからだけど?」

 おい。なんか怖えぞ。

「まぁまぁ、また話が脱線するからその話は後。精霊生物に戻るね。

 精霊生物っていうのは大量の精霊がマナや魔力を媒介に集まってできているの。つまり」

「要するに、おまえはその精霊生物ってわけだ」

「そういうこと。

 ちなみに、わたしみたいな生き物は自然界にもいるけど、わたしは自然の生み出したものじゃないからね。こういうのを合成精霊なんて呼ぶんだよ」

 ふむふむ。

「で……話は最初に戻るんだけど。

 わたしの身体は大量の精霊がパパの魔力を媒介に固められているわけだから、当然、パパの魔力はとてもよい栄養になるわけなのね。ランサがよくパパの魔力をおやつにしているようだけど、わたしの場合は主食が魔力なわけ」

「なるほど」

「それでなんだけどぉ……」

「?」

 なんかよくわからないが、アイリスの目がキラキラしてきたぞ。なんなんだ。

「わたし、成長するのにすっごくエネルギー使っちゃってて、おなかすいてるの。だから服脱いで添い寝したの」

「……どういうことだ?」

「ほら、人間って眠ってても色んなもの分泌してるでしょう?

 本来、精霊生物が食べるのは魔力とかマナだけなんだけど、パパから出るものならわたし、食べられるんだよね。汗とか、おトイレで出すようなものとか、あともちろん、せいえ──」

「うわああああ待て、そっから先は言うな!」

「え?でも」

「わかった、わかったから!」

 なんか、アダルトな世界にいきそうな事をほざきそうになったので、全力で阻止してやった。

 ……って、あれ?

「なぁアイリス」

「なあに?」

「顔が近いんだが」

「え?なんのこと?」

「あの……手を放してほしいんだが」

「やだ」

「や、やだっておまえ……え、え、えええ!?」

「♪」

 いきなりだった。

 いきなり目の前が暗くなったかと思うと、俺は押し倒されていた。

「お、おい、アイリス、おま……!」

 目の前にあるアイリスの顔が、なぜかものすごく幸せそうだった。

 その瞬間、俺の中で何かがひらめいた。理解できたような気がした。

 

 

 ああ、そうか。

 なるほど、確かにこの子は人間じゃないんだって。

 

 

「そうか」

「……パパ?」

「いや。なんか知らない事ばっかだなって思ったのさ」

「??」

 アイリスの話を総合すると、アイリスは俺からまぁ、一種の吸精みたいな事ができるって事になる。そして今、急成長したために大量のエネルギーが必要なわけで。

 ようするに、食わせろ、食べさせてってサインだったんだなぁ。

 たぶん、なまじ女の子としての意識があるから、そのものズバリを言えなかったんだろうな。

 まぁその、なんだ。

 さすがにそこまで読めなかったとはいえ……要するに今朝お怒りだったのは、中途半端で終わったからだったと。

 うん。そりゃあ怒るわな。

 気付かなかったとはいえ……すまん、アイリス。

「して、いい?」

 ……あ?

「アイリス」

「なあに?」

「ここまでやっといて、なんでいちいち確認するんだ?」

 そう言うと、アイリスは、ぷうっと子供のように頬をふくらませた。

「わたし、無理やりなんてしないよ。あくまで合意の上です」

「いやいや、押し倒しておいて言う事じゃないと思うが?」

「むう。すごく不本意」

「いや、ひとのパンツに手をいれながら言う事じゃないと思うが?」

「うん。ギンギンのガッチガチに固くして言うことでもないと思うよ?」

「うるせぇ、男は繊細なん……うぉ!?」

「んん、なあに?」

「お……ま、ま」

「ま?」

「……」

 

 

 

 この夜。

 俺は、捕食されるとか、やられるとか、吸われるとかって言葉の意味を思い知らされましたと。

 マル。



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