悪役令嬢なのに世界を救わなきゃいけないらしい〜それってヒロインの役割では〜
悪女です、悪女。
自分で自覚症状があるタイプの悪女です、私。
小さい頃に前世を思い出し、プレイしたことのあるクソゲーの世界に転生したことを悟った。
逆ハーエンド以外は全部最終的に破滅エンドという最悪すぎるクソゲーの世界。
ヒロインの力の覚醒条件がクソだ。
全ての人から愛されることで使えるようになる力。
攻略対象者たちに愛されなければいけない、しかも友愛ではダメ、家族愛でもダメという鬼畜仕様。
でも、ラッキーなのは私が転生したのがヒロインではなく逆ハーエンドで常に処刑されてる悪役令嬢であることだ。
このゲーム、攻略対象者別の個別ルートは一つずつしかないくせに逆ハーエンドはいくつもある。
…なんなんだよ。
このクソゲーの製作者によると悪役令嬢だけはヒロインを好きにならないから排除、処刑されるらしい。
つまり、現時点でヒロインが好きな私は処刑されない、たぶん。
とりあえず乙女ゲー舞台の学園までに色々解決した。
破滅の原因となるものをできる限り取り除いておいた。
飢饉にはあらかじめ食料を貯蓄させたり、洪水は先に堤防とか。
末っ子公爵令嬢の地位をフル活用した。
私、甘やかされ系の悪役令嬢なので。
そして、攻略対象者と婚約しないように頑張った。
乙女ゲーでは攻略対象者たちの幼馴染ではあるものの婚約者ではない設定なので、合わせるために。
なんで乙女ゲーでは婚約者でもないのにでしゃばってんのかは知らない。
何がしたかったんだよ悪役令嬢。
学園に入学する。
乙女ゲー開始だ。
ヒロインは典型的なヒロインな容姿。
桃髪に緑の目、愛らしい容姿。
すぐに見つかった。
本当は悪役令嬢ポジでいじめた方がいいのだろう。
が、普通にそういうのに性格的に向いていないのはわかっているので友人ポジを確保した。
性格良し、見た目良し、成績良しの三拍子のヒロイン。
そろそろやばい、そろそろ3年生が終わってしまう。
三年で卒業の学園生活の中で未だにヒロインは力を覚醒していない。
今までのヒロインが力を覚醒して解決しなければいけなかったイベントは私が解決していたので今のところ死者は出ていない。
このゲームを私がクソゲーだと言った一つ理由はとにかくモブが死ぬからだ。
年に数回あるイベントは年々規模が大きくなる。
最初は学園内の事件だが、時間とともに学園の近くの都市、国内、隣国、大陸、世界となる。
それによりモブが大量に死んでいくのだ、ヒロインの周囲こそほのぼのなゲームだがその裏でもたくさんの人が大変な目に遭う。
主人公が早めに力を覚醒させられねば助けてもらえないモブたち。
そんなモブたちを死なせるわけにもいかないので今までは私が助けてきたのだが、さすがに世界を救うのはヒロインの力がなければ無理ゲーだ。
卒業パーティー。
正規のルートではここで悪役令嬢、私は断罪、処刑される。
攻略対象者がヒロインにドレスを贈れば私の勝ち。
ただし、1人でも贈らなかったら私の負けで世界は破滅する。
なかなかに他力本願な勝負なのが泣けてくる。
私がここまで頑張ってるのに最後は攻略対象者次第。
パーティーまであと10日。
いまだにヒロインのところにドレスは届いていない模様。
ヒロインには一応既に私がドレスを贈っているのでドレス無しになることはない。
が、私がドレスを贈ったところでどうするんだという話だ。
パーティー前日。
予想外というか、もう泣きたいことが起きている。
というか、泣いていいかな、これ。
私にはなく権利があると思う。
えーん。
泣いたところで解決はしない。
目の前には攻略対象者たちのメンカラのドレスが並んでいる。
これ、燃やしちゃダメだろうか、ダメか。
なんか、もう、殺意が湧いてくる。
全員殺して聖女覚醒させちゃダメかな。
無理か、攻略対象者はお決まりのように権力者なので殺すのがむずい。
ていうか、なんか殺意と力湧いてきた。
えっ、いや、なにこれ。
あ、あれ?これヒロインの力?
えっ、それあり?
ええ?条件が揃ったってこと?
覚醒条件はある程度の名声ポイントがあること、メインキャラたちの好感度をMAXまで上げること。
名声ポイントについては少し心当たりがあるので、おかしくはないが好感度に関しては心当たりが全くない。
心底謎だ。
理由はわからないが攻略対象者の好感度がMAXでなければメンカラのドレスは贈られてこない。
ヒロインの力の覚醒は悪役の処刑後のはずだ。
このゲームの力の覚醒の条件はメインキャラの好感度MAX、つまり悪役もメインキャラとして扱われているのだ。
でも、ヒロインは悪役に嫌われる。
というかヒロインが好きじゃないから悪役なのだから。
なので悪役が死なない限りヒロインの力は覚醒しない。
…というか、ドレス、どれ着たらいいんだ。
卒業パーティー当日
結局私が選んだのはヒロインが私に贈ってくれたドレスにした。
きれーだなー、と現実逃避は長くは続かない。
終わった、パーティー終わった。
無事に何事もなく終わった。
ヒロインが終始私の腕を抱えて離れなかったことぐらいしかおかしなことは起きていない。
あとは世界、救うだけかぁ。
救ったよ、救った。
世界救っちゃったよ。
私のヒロインじゃないのに、救っちゃった。
色々と疲れて放心状態。
あ、あれ
……恐ろしい事実に気づいたかもしれない。
ドレス贈ったってことは、ヒロインも、私への好感度、MAXじゃね?
一応、百合オチ!




