第十九章:野心の代償
# 第19章:野望の代償
二人のトリカルの戦士はほぼ十分間ずっと戦い続けていた。両方とも傷だらけだった——切り傷、裂傷、刺し傷。足元に血が溜まっている。しかしどちらも降参していなかった。
「セイン!」エララが叫んだ。「終わったのよ!私たちのチームが勝ったの!もうやめて!」
しかしセインは止まらなかった。止められなかった。彼とナイラは今やトーナメントを超えた何かに閉じ込められていた——純粋な意志の戦い、誰がより多くの痛み、より多くのダメージ、より多くの苦しみに耐えられるかを試していた。
ナイラの刃がセインの肩を捉えた。深く。動脈血が飛び散った。
セインは怯まなかった。彼自身の刃が降りてきてナイラの太ももを捉えた。
彼女がよろめき、脚が崩れた。
「降参する」ナイラが息を呑み、片膝をついた。「あなたの勝ちよ。降参する」
セインはゆっくりと刃を下ろし、激しく息をつき、全身が震えていた。血が十数か所の傷から流れ出ていた。
「医療を……呼べ」彼は誰にともなく言った。
それから目が裏返り、倒れた。
医療スタッフがすぐに急いで入ったが、何かがおかしかった。
アルドリン師範のヴェドラクシャの目がセインの体の隣に跪いた時、明るく燃え上がった。彼の手が慌ただしく動き、脈拍点を確認し、ダメージを査定していた。
「まさか」アルドリンが呟いた。「まさか、まさか——彼のサリーンが——」
キラ指導教官が既にそこにいて、青い治癒エネルギーがセインの胸に流れ込んでいた。しかしエネルギーが定着していなかった。傷を塞いでいなかった。何もしていなかった。
「何が起きてるの?」エララが息を呑み、まだセインの隣に跪いていた。「どうして効かないの?」
「彼のサリーンが崩壊した」アルドリンが言った。声は緊張していた。「完全なヴァルナ枯渇。限界を超えて押しすぎた。彼のコアがただ……止まった」
「じゃあ直して!」エララの声が割れた。「あなたたちは治療師でしょ!直してよ!」
「死んだサリーンは治せない」キラが静かに言った。無駄だとわかっているにもかかわらず、手はまだ必死に光っていた。「コアがヴァルナの生成を止めたら、完全に停止したら——治すものは何もない。体は数秒以内に後に続く」
セインの胸が一度上がった。下がった。
二度と上がらなかった。
血が口の端から滴った。彼の赤いトリカルの目——まだ開いている——は何も見ていなかった。
「嘘」エララが囁いた。「嘘、セイン、お願い——」
彼女は彼の肩を掴み、優しく揺さぶった。「大丈夫だって言ったじゃない。後で話すって——約束したじゃない。死なないで——」
彼の体は既に冷えていた。温もりが去っていく。命が消えた。
エララの手は彼の血で覆われていた。それは制服に染み込み、温かく粘着質で間違っていた。
「さっきまで話してたのに」彼女が言った。声が子供のような何かに崩れていく。絶望的に。「試合の前に。彼が言ってた——彼は——」
彼女の声が完全に割れた。
記憶が物理的な打撃のように彼女を襲った:
***
**「エララ」準決勝が始まる前のセインの声、静かで揺るぎなく。「話しておかないといけないことがある」**
**「勝った後でいいわ」彼女はにやけながら言った。**
**「いや。今だ。だって……」彼はあの深い赤い目で彼女を見た。「父が見てる。そして今日、どんな代償を払っても父を誇りに思わせる」**
**「セイン、そんな風に話さないで——」**
**「もし俺に何かあったら」彼は続けた。声は優しいが確固としていた。「自分を責めないでくれ。これは俺の選択。俺の戦いだ。覚えていると約束してくれ」**
**「あなたに何も起きないわ」**
**「約束してくれ、エララ」**
**「わ……わかった」**
**彼はその時微笑んだ。「よかった。それとな——お前は自分が思ってるより強い。誰にもそうじゃないって言わせるな」**
***
記憶が砕け散った。
エララは現在に戻り、セインの死体の隣に跪き、彼の血が手を覆っていた。
「約束したのに」彼女が囁いた。「何も起きないって約束したのに。約束したのに——」
彼女は続けられなかった。声が壊れた嗚咽に溶けた。
ラヤンはゆっくりと近づき、自分の傷を忘れていた。彼は彼女の隣に跪き、触れずに、ただそこにいた。
「エララ」彼が優しく言った。
彼女は彼に振り向き、顔は涙と血で染まっていた。「知ってたの。死ぬってわかってたのに戦ったの。父が——名誉が——だって——」
彼女の声が完全に崩れた。彼女は前に倒れ込み、ラヤンが彼女を受け止め、震える嗚咽を上げる彼女を抱きしめた。
「父を誇りに思わせようとしただけなの」彼女がラヤンの肩に向かって息を呑んだ。「それだけが望みだったの。そしてそれのために死んだ」
「わかってる」
「不公平よ」
「ああ。そうだな」
医療スタッフがセインの体を白いシーツで覆うために動いた。エララは彼らを見守り、嗚咽が徐々に麻痺した沈黙に静まっていった。
また一つの遺体。また一人の子供が死んだ。
今日二人目。
ラヤンは彼らがセインを運び去る間、群衆が不快な沈黙に座る間、このトーナメントが二つの命を奪ったという現実が染み込む間、彼女を抱きしめ続けた。
ヴェイド。そして今、セイン。
十四歳を見ることのない二人の子供たち。
「勝者:第一チーム!」ナイトウィスパーの声が響き渡った。ヴァルナで増幅されていたが、どこか空虚に聞こえた。「マーカス・アシュフォード、ラヤン・ブラックウェル、そしてエララ・ソーンウィックが決勝に進出!」
その宣言は冒涜的に感じられた。死体の上に勝利が宣言された。
エララはラヤンから離れ、目は赤く荒廃していた。手はまだセインの血で覆われていた。それは皮膚に、爪の下に乾いていて、喪失の永遠の証拠だった。
「できない」彼女が囁いた。「決勝で戦えない。こんなこと——あのプラットフォームを見て彼が死ぬのを見ないなんてできない。できない——」
「しなくていい」ラヤンが静かに言った。
「でもトーナメントが——」
「関係ない。これに比べたら」彼は真剣に彼女を見た。「最初に降参しろ。立ち去れ。家に帰れ。彼を悼め。今大事なのはそれだ」
「でもあなたは——マーカスが——」
「俺がマーカスを何とかする」
「彼はあなたを殺すわ、彼が——みたいに」彼女は続けられなかった。名前を声に出して言えなかった。
「多分な」ラヤンが認めた。「でも挑戦しなきゃ。セインのために。ここまで来れなかったみんなのために。誰かがあいつに立ち向かわなきゃ。誰かが名誉と友情がただ勝つことよりまだ大事だって示さなきゃ」
エララは長い間彼を見た。それから激しくハグし、セインの血が彼にもつくことを気にしなかった。
「死なないで」彼女が囁いた。「お願い、ラヤン。今日また友達が死ぬのを見たくない」
「死なない。約束する」
彼女は離れ、壊れた笑みを作った。「嘘つき。でも努力には感謝する」
医療スタッフが彼女を治療エリアに誘導するために近づき、セインの血を手と制服から洗い流すために。
彼女は一度プラットフォームを振り返った——どれだけ砂を撒いても隠せない石の暗い染みを——それから向きを変えた。
彼女は決勝で戦わない。
できない。
セインの血がまだ手に温かいのに。
彼の最後の言葉がまだ心に響いているのに。
**「お前は自分が思ってるより強い」**
多分。
でもこれには十分じゃない。
***
マーカスは再び刃を磨き、虐殺に全く無関心だった。「計画が成功するって言っただろ」
ラヤンは彼を殴りたかった。これは勝利じゃない、これは生存だ、これは娯楽のために友達が互いを傷つけるのを見ることだと叫びたかった。
しかし何も言わなかった。
ただそこに立っていた。傷つき、疲れ果てて、決勝戦の発表を待っていた。
***
**十五分後——医療エリア**
ラヤンは腕の治療を受けながら座っていた時、足音が近づいてきた。見上げた。
ルークが立っていた。右手は重い包帯で巻かれ、肩はまだ新しい包帯越しに血がにじんでいた。ひどい様子だった。疲労困憊。傷ついて。
しかし赤いトリカルの目は澄んでいた。
「よく戦ったな」ラヤンが静かに言った。
「お前もな」ルークは呻きながら隣に座った。「マーカスは決勝でお前を殺すぞ、知ってるだろ」
「多分な」
「いや、マジで言ってる。あいつはただ強いだけじゃない。あいつは……」ルークの声が落ちた。「おかしい。何かがおかしい。戦い方、人を傷つけることを気にしない方法。あれは普通の戦闘攻撃性じゃない。別の何かだ」
「知ってる」
「なら棄権しろ。決勝まで来た。それで十分だ。証明した。死ぬ必要は——」
「いや、必要なんだ」ラヤンは友達を見た。「ルーク、お前は二ヶ月間毎朝俺を訓練してくれた。俺が他のみんなと比べてどれだけ弱いか見てきた。このトーナメントは何かで卓越してることを証明する唯一のチャンスなんだ。ブラックウェルの名前が悲劇とスキャンダル以上の意味を持つことを証明するための」
「お前の名前は既に意味を持ってる。証明するために死ぬ必要は——」
「死なない」
ルークは長い間彼を見た。それから溜息をついた。「お前は父親と同じくらい頑固だな」
「父を知ってたのか?」
「いや。でも話は……」ルークは疲れた笑みを作った。「ルシアン・ブラックウェルは二十四年前にこのトーナメントで優勝した。全員を倒した。伝説になった。そしてゼイン師範によると、お前が今見せてるのと同じ馬鹿な決意でやってのけたらしい」
ラヤンは胸に温かい何かが落ち着くのを感じた。「ありがとう」
「礼を言うな。ただ……死ぬなよ、いいか? 朝の訓練セッションが恋しくなる」
「約束だ」
彼らはしばらく沈黙の中で座っていた。互いを殺そうとしたばかりの二人の友達が、今は単に余波の中で一緒に存在していた。
「ラヤン?」ルークが静かに言った。
「何だ?」
「勝て。賞のためじゃない。栄光のためでもない。ただ……勝て。このクソみたいな世界で友情と名誉がまだ大事だってみんなに示せ」
ラヤンが頷いた。
勝てるかどうかわからなかった。
でも挑戦する。
ルークのために。セインのために。戦い、血を流し、生き延びた全員のために。
挑戦する。
***
観覧壇で、ティリオン・ブラックウェルは完璧に静止して座り、まだ知らない孫を治療する医療スタッフを見守っていた。
「決勝は面白くなりそうだ」セオンが続けた。「プリマル階層対コズミック階層。ヴォイドウォーカー対サヴレン・ヴェール、誰もがそのアンダードッグストーリーを愛する」
ティリオンは何も言わなかった。
しかし肘掛けの下に隠された彼の手は、指の関節が白くなるほど固く握りしめられていた。
***
**決勝——これより発表**
ラヤンは傷が治り終わるにつれて立ち上がった。キラ指導教官の青いエネルギーが切り傷を塞ぎ、力を回復させていた。
プラットフォームの向こうで、マーカスが待っていた。紫の目が光っている。刃は清潔。表情は穏やか。
まるで四人の対戦相手を連続で残酷に打ちのめしたばかりじゃないかのように。
まるでこれが全て日常だったかのように。
ナイトウィスパー学院長の声が最後にもう一度響き渡った:「十五分間の休息期間!それから決勝を開始する!ラヤン・ルシアン・ブラックウェル対マーカス・アシュフォード!勝者がエーテリン・シャードと永遠の栄光を手に入れる!」
群衆が轟いた。
ラヤンは自分の手を見た。震えていた。
マーカスを見た。彼は微笑み返してきた。
そしてラヤンは知った——絶対的に知った——次の戦いが全てを決めると。
トーナメントだけじゃない。
自分が誰であるか。
何になれるか。
そしてブラックウェルの名前が、ほぼ五世紀前に神々によって処刑された男の影以上の意味を持つかどうか。
**十五分**、と彼は思った。
**それから全てが変わる。**
***
**つづく……**
あとがき
読者の皆様、今回も第十九章:野心の代償までお読みいただき、本当にありがとうございました!
さて、本編の話の前に……。 ちょっと早いですが、皆様、メリークリスマス!!
明日はついにクリスマスですね。きっと皆様も、可愛い彼女さんや大切な人と、甘〜い休日を過ごす予定なんでしょうねぇ……。
……え? 予定がない? 相手もいない……?
あ、ごめんなさい。私のミスでした。実は私もぼっちです(作者、ここでバケツをひっくり返したような号泣)。
でも安心してください! 非リア(※恋人がいない人)の同志諸君、そして最高の休日を求めている皆様へ、私から最高のクリスマスプレゼントを用意しました。
いよいよ明日、このシリーズ現時点で最大の**「ピーク(THE PEAK)」**となる第二十章を投下します!
次章はライアン vs マーカスの決勝戦。まさに**「凡人 vs 天才」**、魂が震える運命の一戦です。 ぶっちゃけ、第十六章や第十七章をも凌駕する、シリーズ最高傑作になったと自負しています。しかも、めちゃくちゃ長いです!
【作者推奨:最高のクリスマス・ピーク体験】
せっかくのクリスマス(予定がない組も、ある組も!)、最高の読書体験をしていただくために、以下の準備をお願いします。
キンキンに冷えたコーラ、あるいはチルなビールを用意。
そこに熱々の豚骨ラーメンを添える(これぞ至福、Totally HEAVEN!)。
そして……BGMにはぜひ**Phonk Music**を流してください!
アドレナリンが爆発し、ぼっちの寂しさなんて一瞬で吹き飛びます。
明日、運命の決勝戦でお会いしましょう。皆様にとって(いろんな意味で)忘れられないクリスマスになりますように!




