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5話 二人でフィットネス!

やっと冷静になった凪咲さんは頬を赤らめ、両手で顔を覆う。


「私は何ということを。橘君は私の体に興味がなかったのに……」

「それは違いますよ。凪咲さんは十分に魅力的な女性です。俺にはもったいないと思っています」

「では、どうして受け取ってもらえないんですか?」


また怪しい雰囲気になってきたので、俺は両手を振って慌てて彼女を制止する。


「償いは受け取ります。俺の肥満体形の改善に協力してください」

「一緒に体を動かすんですね」

「そっち方面の考えから離れて、もっと健全に俺のダイエットを応援してほしいと言ってるんです」

「納得はできませんが……わかりました。私に良い案があります。少し待っていてくださいね」


凪咲さんは何かを思いついたようで、唇を人差し指で押さえ、立ち上がると部屋から出ていった。

色々と思い込みの激しいようだけど、これで一先ずは解決かな。


ソファに座り直して呼吸を整えていると、「お待たせしました」と言って、凪咲さんが戻ってきた。

ドアから現れた彼女の姿を見て、俺は思わず咳き込んだ。


体にピッタリとフィットしたレオタード。

思わず、先ほどまでの彼女の下着姿が脳内をよぎる。


「ど……どうしたんですか?」

「私、美容を兼ねて、フィットネスとヨガ教室に通ってるんです。簡単な運動でしたら私がお教えできます。さあ、今から一緒に頑張りましょう」

「え? ここでですか?」

「リビングはソファや家具もありますから、別室に行きましょう。案内しますね」


凪咲さんはニコニコと微笑み、俺に手を差し伸べる。

ここで戸惑っていては、また彼女の暴走が始まるかもしれない。

俺は凪咲さんの手を握り、彼女と一緒に別室に行くことにした。


案内されたのは十六畳ほどのフローリングの間。

高級マンションだからといって、家の間取りが広すぎないか?


不思議そうにしている俺に気づかず、凪咲さんはストレッチを始めた。


「本当はマラソンをする前にストレッチをしておくと、急に体が苦しくなるのを抑えられるんです」

「先に体を柔らかくほぐしておくことが重要なんですね」

「ですから、ストレッチだけでも覚えてくださいね。簡単なフィットネスやヨガについては私がお教えしますから」

「わ、わかりました」

「では、私が見本を見せますから、私を真似てストレッチをしてみてください」


凪咲さんは慣れているようで、次々とストレッチを披露していく。

すごく体が柔らかい。

彼女が体を動かす度に、胸の大きな果実が激しく存在を主張してくる。

少し荒い凪咲さんの呼吸音が妙にエロい。

このままだと非常にマズイ。


強引に意識を切り替え、俺は自分のストレッチに集中した。

しかし、普段から体も動かしたこともなく、肥満体形の俺の体は、とても硬かった。

すると凪咲さんは立ち上がり、俺の後に回って、背中を押してくれる。


「これからは私が橘君のフォローをします。ゆっくりと体を慣らしていきましょう」

「……ありがとうございます」


俺と凪咲さんは、それから一時間ほど、黙々とストレッチを続けた。

俺のストレッチを手伝ってくれていた彼女も汗だくである。


凪咲さんから甘い香りが漂い、汗が妙に色っぽい。

できるだけ彼女の姿を直視しないように、俺は視線を逸らした。


バスタオルで体を拭いた凪咲さんが、俺の真正面に座る。


「ストレッチも済みましたし、次はヨガに移りましょう。ヨガはポーズを決めて、特有の呼吸法をするだけなので簡単です。まずは私がポーズの見本をしますね」


間近に座った凪咲さんが、色々なポーズを決めて、呼吸法を教えてくれた。

しかし、ヨガのポーズは俺には刺激が強すぎて、彼女の言葉が入ってこない。


このままではマズイと、俺はポーズを真似ることにした。

しかし、思うようにポーズを維持できない。

すると、凪咲さんが俺の体の下に潜り込み、顔を出して微笑む。


「私が橘君の体を支えますから、ポーズを維持してください」


凪咲さんの手が俺の両胸を押してくる。

その手の感触に、集中力が保てない。


「もうダメだ! 逃げて!」

「キャー!」


腕を伸ばして耐えていたが、限界を迎えて、俺は凪咲さんの体の上に倒れ込んだ。

俺の体重は92キロ。

このままでは彼女を押しつぶしてしまう。

パニックになった俺は、手を伸ばし立ち上がろうとする。

すると、その手に二つの暖かい弾力が……


咄嗟に視線を下に向けると、俺は凪咲さんの豊かな胸をわし掴みにしていた。

顔を横に向けたまま、恥ずかしそうに目を伏せ、凪咲さんが小さく呟く。


「橘君がその気なら、私はいつでも大丈夫です……」

「す、す、すみません! 今日は帰ります!」


気が動転した俺は、素早く立ち上がり、ペコリと頭を下げて部屋を出る。

ドアの向こうから、「待ってください」と聞こえてくるが、かまっている余裕はない

このまま凪咲さんと一緒にいれば、取り返しのつかないことをしてしまいそうだ。

早く頭を冷やしたい。

一気に廊下を突き抜け、玄関で靴を履いて、彼女の家を後にした。

どの道を走ってきたのかもわからない。

気づくと、自分の家の前に立っていた。


ドアを開けて玄関の中へ入ると、リビングから凛姉が姿を現した。


「汗だくじゃないの。ジャージも汚いし、さっさとお風呂に入りなさい。汚れた姿のまま、ウロウロしていたら怒るからね」

「やっぱり、凛姉は凛姉だな。すっごく落ち着くわ」

「頭でも打ったの? 変なこと言ってないで早く消えなさいよ」


罵声を浴びて喜ぶなんて変だけどさ、やっと日常に戻ってきた気がするな。

凪咲さんとの遭遇は何だったんだろう?

まさかパラレルワールドに入っていたってことはないよね。

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