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小品

ネックレス

作者: 星野☆明美

華奢なつくりのプラチナのネックレスを彼に買ってもらった。

おしゃれな連続した幾何学模様に見える。

彼とは長く続かなかった。ネックレスだけが想い出と共に残った。


コツコツコツコツ……。

帰りが遅くなった或る夜。

私のハイヒールの音だけが物悲しく響いていた。

「お前が百合子か!」

女性の声がして、振り向くと、ベロンベロンに酔っ払った見知らぬ女がいた。

「そう、ですけど、なにか?」

警戒しつつ返事する。誰だろう、この人。

ツカツカツカ。酔っ払いにしては真っ直線に近づいてくる。

「お前なんかのせいで、達也はっ!」

話が見えない。達也って誰?

「さやか!」

痩せぎすの男が女を追って来た。

「達也!この女に言ってやってよ、お前とは遊びだったって!」

「何の話かさっぱりわからないです」

私がそう言うと、女は掴みかかって来た。髪をごっそり引っこ抜かれる。

きゃー、助けて!

達也と呼ばれた男は泡食ってただ見てるだけ。

もんどり打って、ひざを擦りむく。

女がネックレスを引っ張り、ぶちり、と切れた。

「さやか、人違いだよ」

達也は震え声でつぶやいた。

「人、違い?」

「ええ!」

私は開き直って肯定した。

女は毒気を抜かれたように大人しくなって、おろおろと、私を見た。

「いったいどうしてくれるんですかっ!ネックレス、元に戻して!」

「それは、ちょっと……」

「さやか、行こう」

立ち去ろうとする二人に私は悪態をついた。

「警察に行くから!」

ひえー、と彼らは走り去った。

ぼろぼろ泣きながら、ひざがズキズキ痛んだ。

夜は怖い。何が起こるかわかりゃしない。

ネックレスも切れたから、さんざんだったけれど、昔の彼を吹っ切るきっかけになった。


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― 新着の感想 ―
[一言] かわいそうすぎますね(´;ω;`)
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