表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エッセイ

時折問題になる「トレパク」について、トレース台を日頃駆使している素人絵師が自作イラストまじえてちょこっと語ってみる(製作工程付き)

 あらすじにも書いていますが、自分が絵を描く人間なので、そうでないひと達の疑問に初稿で完璧に答えられるとは思っていません。

 疑問点やわかりにくい点がありましたら、ご指摘ください。







 ちょっと思うところあって「トレパク」について書きます。

 「トレースは善か悪か?」「芸術は模倣からはじまるのではないか?」

 という部分については個々人によって考えが大きく違いますし、法律的な部分は素人なので書きません。

 「どうしてトレースだといえるのか」「炎上する大きな理由はなんなのか」について、自分の考えをちょこっとだけ書きます。




 !注意事項!

 ・素人絵師です

 ・アナログです。機械音痴かつアナログ人間です

 ・皺を描くのが苦手な自覚はあるのでいじめないでね

 ・もっとうまい絵できちんと説明してほしいというかた! あなたが描きましょう

 ・コンビニスキャンですコンビニエンスストアまじコンビニエンス

 ・一部、先日あげた活動報告とほぼ同内容です




 以下本題




 ・そもそも「トレース」ってなあに?


 トレースというのは、イラスト関係の用語だと、「お手本になる絵の上に別の紙を重ねて線をなぞってうつしとること」です。

 デジタルでも原理は一緒。もとになる絵に別のレイヤーを重ねて線をうつしとる。最近では線を抽出してくれるソフトだかアプリだかが存在するとかしないとか。


 この作業はアナログだと


 ・お手本、うつしとる別の紙、トレース台(トレーサー、ライトボックスとも。発光する下敷きみたいなもの)、ペンや鉛筆を用意する

 ・トレース台の上にお手本、紙を重ね、スウィッチオン!

 ・トレース台がないひとは窓をつかうかがらす板と電気スタンドを活用しよう!

 ・光で透けて見える線をうつしとる


 もしくは


 ・お手本、トレーシングペーパー(うすくて透ける紙)、鉛筆、ペンを用意

 ・お手本にトレーシングぺーパーを重ねて線をうつしとる

 ・トレーシングペーパーの裏側を鉛筆で塗りつぶす

 ・線をうつしたい紙にトレーシングペーパーを重ね、線をペンでなぞると転写される


 という方法をとります。後者は、カーボン紙みたいなものと思ってくれればわかりやすいでしょう。

 デジタルでのやりかた? くわしくは知らん。誰か教えてください。その分を加筆します(丸投げ)




 2022/02/18

 わあああああい知っているひとが教えてくれたぞ! やったね!

 黒星★チーコさまにデジタルでのトレースのやりかたをくわしく感想に書いて戴きました。デジタルに不慣れな人間がなんとかそれを理解して説明しようと試みます。間違ってたら指摘プリーズ。


 デジタルでのトレースの方法


 ・元画像をソフトにとりこむ

 ・レイヤー(透明な紙みたいなもの)をかぶせる

 ・レイヤーの上から線をなぞる


 ちょー簡単。

 しかもソフトによっては線を拾ってくれるそうです。文明の利器ですね。

 イラスト描きたいけど自信がない! というひとは、デジタルどうでしょう? 個人の感想ですが、イラストはいい道具をつかったほうが絶対に上達がはやいです。素晴らしい道具をつかえる環境があるのならばんばん活用したほうがいいです。




 ・絵を描かないひとはわからないらしい、「どうやってトレースと判断するか?」


 簡単な話です。データがほぼ一致してるってことです。


 模写っていうのは、やってみたらわかりますが、そこまで正確にはできません。人間には限界があります。

 小学校で書道をやったことはありますか?

 実際書いてみて、お手本と重ねて光に透かして隅から隅まで文字の形が一致したこと、あります? 半紙はうすいからそれためせますよ?


 正直無理です(段位持ち)


 画数が多い文字でも無理です。そんなことができるのは勘亭流みたいな独特で真似しやすい文字くらいです。っていうか勘亭流でも素人じゃ真似できん。無理です。

 だからこそ、達人の手跡を後世に残す為、「拓をとる」「臨書する」で文字の形を写し取る=トレースするのです。見て書き写したものだと、書いているひとには練習になるけれど、それをお手本にすることは難しいですからね。

 絵を単純化した代物である文字で無理なのに、絵とか写真を完璧に模写できたら、最初っから「模写です」っていったほうが凄い。そういう特殊能力のひととしてもてはやされます。おおいにバズります。レインマンです。


 グリッドをひいてそれに沿ってとかはできますが、時間めっちゃかかるよ。リンカーン・ライムシリーズでも読もう。




 トレース全般が悪いとはいいませんが、模写でもトレースでもものの本には「やったらすみっこに日付と「○○作の○○の模写/トレース」としっかり書いておくようにしよう!」とあります。

 そういうものがうっかり流出したら描いた人間の名が傷付くということです。

 その辺でお菓子買ってきて別の袋に移し替えて「特製手作りお菓子」として販売したらあかんと。



 ・じゃあ「トレース」が全部だめなの?


 全部だめではありません。れっきとした練習法でもあります。


 ただ、「じゃあトレースしてたら絵が上達するの?」と訊かれたら、「五分五分」と返答します。

 トレースを絵の練習法としてとりいれるのは、簡単なようでいてとても難しいです。


 模写でもトレースでもいえることですが、


 「この線はなんのために存在しているのか」

 「作者はどういった意図でこう描いたのか」

 「自分だったらどう描いていただろうか」


 などなど、しっかりはっきり考えながら描く必要があります。


 また、「このひとの描く目が好きだから、目だけ真似したい」などという甘えはゆるされません。

 なぜならその某氏は「あなたが真似したい目」を描く為に、「あなたが真似したい目に合う輪郭/鼻/唇/眉/生え際/髪」の表現をつかっているからです。

 それは、「真似をするほうの腕がいい/悪い」も関係ない場合があります。


 勇気があったら、好きなまんがと、絵柄の違う好きなまんがを持って、コンビニへ走りましょう。

 それぞれの主人公の顔を大体同じくらいのサイズに拡大コピーします。

 帰ったらはさみでちょきちょきして、主人公Aの目と主人公Bの目をいれかえるのです。


 どんな福笑いもシャッポをぬいで裸足で逃げ出す、爆笑福笑いの完成です。福笑い界に激震が走りますよ。完成させても奇妙な顔の福笑い。


 そんなふうに、模写もトレースも諸刃の剣。

 真剣にやるなら学びはありますが、「自分の絵柄が崩れる危険性」が確実に存在します。

 「自分の絵柄が崩壊しても再構築する! どうしてもこのひとみたいな手を描きたい!」

 という場合はとめません。骨は拾ってやる!




 トレースは、すでにある程度自分の絵柄ができているひとには「自分の絵が迷い子になる」危険があり、まだ自分の絵が定まっていないひとには「一生模倣になる」危険をはらみます。

 模写でもこの危険はありますが、トレースと違って一定以上の精度は普通期待できない為、トレースよりも危険性でいうと低いです(個人の感想です)。


 わたしもトレースを練習法にとりいれようとしたことがありますが、無理でした。そもそもアナログ絵描きには物理的に難しいんや。


 また、実際にあるものを写真にとって、トレースし、絵に仕上げるかたもいらっしゃいます。

 ただし、そういうかたは自分で写真を撮ったり、モデルさんを手配したりしています。写真の段階ですでにそのかたに著作権があれば、それをトレースして絵にしてもなんの問題もありません。


 ついでに、またしても絵を描かないひとによくいわれる「写真/実物を見て描いてるんだったら凄くない」という言葉ですが、だったらお前が描け(真顔)

 デッサンでもなんでも、実物を見て描いて練習するのは当然のことです。お前モデル揃えて描いてるミケランジェロにそれいえるんか? あん? 心優しきミケランジェロを悪くいうやつは(規制)




 ・実際、絵を描く時にどれだけトレースが役に立つか


 悪者になりがちなトレースですが、絵を描くにあたって役に立つ技法のひとつでもあります。

 ここで自作の絵を。自作品、「「小児」病棟」より、うーちゃんです。


 まずはうーちゃんざっくり一発がきと、それを反転トレスしたもの。


 挿絵(By みてみん)


 生首だけど気にすんな。

 左が一発がき、右が反転トレス。反転理由は全体のバランス、顔のバランスを見る為。主線はジュースアップ黒0.3。トレスしたものは補助線をブルーブラックで。


 デジタルにくわしいかたが居たら反転させて重ねてみてください。多くの場所で線が違うと気付かれると思います。

 頭の形、輪郭、目の形、眉の形など一回目のトレスでかなり整えました。


 続いてトレス二回目、三回目。


 挿絵(By みてみん)


 左のトレス二回目は、反転うーちゃんをまた反転させてトレス。右のトレス三回目は、左の画像をもとにトレスしています。

 これくらいになると、だいぶ線を整理できていて、重ねればほぼ一致するのではないでしょうか。

 また、トレス三回目ではうーちゃんにふわふわの髪が追加されています。この辺りから色塗り用の線画にすることも視野にいれます。


 さて、トレス四回目。


 挿絵(By みてみん)


 「うみは元気」


 とうとううーちゃんに色がつきました。ありがとうアルコールマーカー。

 病室で、はずかしがってカーテンで顔を隠しているシーンです。それらしく見えますでしょうか。見えるっていってね♡

 トレス三回目とほぼ同じですが、髪が違ったり、片二重に変更したりしています。これで線画が完成したと判断し、色塗りに移行しました。色計画表をかねた色塗りでしたが、出来がいいのでこれも作品でよしと判断。

 瞳に五色、髪に三色、肌に三色、カーテンに二色使用しています。


 さて、トレス五回目。


 挿絵(By みてみん)


 こちらはひとつ上の画像を水彩紙にトレスして、同じくアルコールマーカーで色を塗ったもの。 瞳に五色、肌に三色、髪に四色、カーテンに一色つかっています。

 折角なので、髪の塗りは四回目とは変更しました。


 さて、デジタルにくわしい(ry

 トレス四回目と五回目を重ねてみてください。わたしはトレス四回目で線画はできあがりと判断しています。

 でも、ところどころ違う部分がありますよね?

 これが、トレースの難しさを物語る部分です。


 変更した線は、本意のものもあれば不本意なものもあります。髪の線を減らしたいと思ったのでそうしたけれど、まつげは水彩紙の表面がでこぼこしていてうまく描けなかった、など。


 デジタルとアナログの差はあれど、完璧にトレースすることが難しいのはわかって戴けたと思います。


 で、トレパク騒動ですが、重ねたらぴったり一致するものもあるんですってね。ほんとに「手でトレス」したのかなあ? と疑問です。




 ・どうして炎上するのか


 トレースしたならトレースと明記しろ(自作品のトレース、自分で撮った写真のトレースなどはしなくてもいいかも)。

 権利元が許可してないトレースで金を稼ぐな。

 このふたつにつきます。


 ふたつめは法律的な問題になりますが、ひとつ目は素人でもプロでも、絵を描く人間ならほとんどが思うことではないでしょうか。

 もとの絵は、心血注いで、時間をかけて、画材を消費/消耗して、誰かが描いているのです。

 文字通り血反吐をはいて制作するひとも居ます。

 グリッドといって、画面に線をひいてなるたけ忠実にうつしとる技法がありますが、リアルに紐をはってグリッドにし、制作するひとも居ます。

 何年もかけてひとつの作品を仕上げるひとも居ます。

 勿論、さくっと短時間で制作するひとも居ますが、だからってそれが「楽」かというと違います。


 そうやって労力をかけて絵を描いたひとが評価されず、その表面をなぞっただけの作品が評価され、値段がついている。

 それっておかしなことじゃないか? という義憤が炎上の原因の一旦でしょう。




 ・結び


 トレパクダメ絶対!







 画材

 A4コピー用紙(再生紙)

 ホワイトワトソン

 PILOT juiceup0.3 ブラック ブルーブラック

 Ohuhu マーカーペン(アルコール) 肌色セット/淡色セット

 トレース台(LED) 


 読んで戴いてありがとうございます。



 2022/02/18

 黒星★チーコさまが、「先日炎上したトレース(トレス)パクリ問題について素人お絵描き人がホザいてみた」https://ncode.syosetu.com/n2077hm/というエッセイを書いてらっしゃいます。

 こちらの作品を書いたきっかけの作品です。是非読んでください。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 詳細なコメントありがとうございます。 自分なりにまとめると、次のような感じかと思うのですが、いかがでしょうか。 ・一番問題になるのは過程とかではなく、その「意図」である。 ・意図は本来他人…
[一言] 描かない世界の人間から、ちょっと疑問に思ったことなど、です。 反転トレスについて。あっさりと流されていますが、描かない人間のために、「なぜ反転トレスするか」を一言入れていただくとありがたい…
[良い点] イラスト素人な自分でも、トレースの何が良くて何が悪いのかを分かりやすく学ぶことができました。(*_ _) 一般知識として知っているつもりでしたが、こうして言葉や文字にしていただけると、改め…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ