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優しいクラスメイト

 キーンコーンカーンコーン!


 週末最後の授業が終わった。

 長いようで短く、いや、やっぱり長い一週間が終わろうとしている。

 教科書類をしまい、ホームルームが始まるのを待つ。

 走って来たのか、リンは息を少し切らせながら、教室に入って来た。


「はい、ホームルーム、始めるよ〜って、カズハ!? どうしたのその首!」


 リンは、生徒らの顔を見回し、カズハの異変に気がついた。

 その、痛ましい様を見て、驚く。


「戦術訓練でヘドバンして、首筋を痛めた?」


「ヘドバン!? え、なにやってるの!? 気をつけてね?!」


「うん」


「じゃ、気を取り戻して。 みんな、一週間お疲れ様。 明日から二日間休みだよね?  みんなは、冒険者活動をするとは思うけど、来週の頭は登校できるように帰ってくるようにね。 あと、カズハ。 さっき、マリア様からレターバードが来てた。 はい、コレ」


 リンがポケットから手紙を取り出し、一葉に渡す。


「ありがとうございます」


 一葉は、手紙を受け取り、机の上に置いておく。


「じゃあ、あとは…、特に連絡事項は…っと、来月に年に3回ある、があるよ。参加は自由だから、参加するかどうかの返事を来週中にお願いね。 はい、今日はこれでおしまい。 号令」


「きりぃぃぃつ!」


 ウィリアムの奇声が轟く。 立ち上がる。


「気ぉちゅけぃ!」


 姿勢を正す。


「ん〜レイ!」


 一礼をする。


「あぁ~~。 終わった〜」


 アクセルの疲れ切った声を出す。


 一葉は、賑やかになった教室で、さっき、リンに渡された手紙を開ける。

『 一葉君へ


 私達は、今、オゥマという街に遠征に来てます。

 少し、トラブルがあって、今週は屋敷に帰るのが難しそうです。

 一葉君の学校での生活は色々と聞いてるよ!中々に面白いことになってるね!(笑

 まあ、来週の休日には帰れると思うから、その時に詳しく、聞かせてね!

 あと、クラスメイト達が冒険者らしいけど、まだ、ギルドに登録しないように! 一緒に街の外に出て活動するのも待ってね。

 とりあえず、今週は寮で過ごしてもいいし、一旦屋敷に帰って、シアさんと過ごしてもよしだよ。 シアさんも一葉君の事、心配してたからね。 それじゃ、怪我とかしないように!


                     華蓮より  』

 

「えっ?」

(遠征から帰って来れないんだ…)


 一葉の言葉が詰まった。

 どうしようもない事だけど、それでも、家族と思える人達と会えないのは寂しい。

 一葉の悲愴感の感じる表情を見て、リンは声をかけ、一葉と目線を合わせるために膝を着く。


「どうしたの?」


「お姉ちゃん達、今週は帰って来れないって。 しょうがないよね! お姉ちゃん達は、この世界を救うために呼ばれたんだから…」

 

 一葉は、苦笑しながら言う。


「ああ…。 そっか、遠征に行ったんだね。 お家に帰りたくないの?」


「うんうん。 シアお姉ちゃんにも会いたいし、一旦、帰るよ。 けど…」


「なにか、問題があるの?」


「ごはんが…ワイルドなんだよね。 シアお姉ちゃん、お茶は美味しく入れれるのに、料理だけは絶望的なんだよね」


 遠い目をして、一葉は呟いた。


「ちなみに、どんな料理するの? その、シアさんって言う方は」


 ベリーが、どんな料理か気になり、一葉に尋ねた。


「肉の丸焼きとか、朝イチでもいだ野菜をそのまま。 あとは、鍋に切った野菜と肉をぶち込んだごった煮?」


「あ、味付けは…?」


「塩を少し降ってたくらい?」


「……」


「……」


 教室に沈黙が降りた。


「ワイルドすぎでしょ。 どこの軍隊メシだよ…」


 誰かが言った。


「まぁ。食べれれば、なんでもいいけど、お姉ちゃん達のごはんが食べたい…」


 リンが一葉の頭にポンッと手を乗せて、目線。一葉に合わせるために膝を着く。


「それなら。一旦、お家に帰ったら、私のところに来る? 美味しいかどうかは保証しないけど、ごった煮よりはマシなご飯が作れると思う」


「でも…」


「いいから、いいから。 ジンも休校日は、依頼を受けに行くだろうし、寄宿寮には、まだ、あまり関わりのない人達ばかりで気まずいだろうしね」


「で、でも…。リン先生に迷惑が…」


「そんなの、気にしなくていいの。 ね?」


 リンが諭すように一葉に言う。


「(コク)」


 一葉は頷いて、リンの申し出を受けた。


「ん。決まりだね!」


 リンが嬉しそうに一葉の髪を撫でる。


 それを見ていたベリーが、羨ましそうに見つめ、ハッとした。


「ということは、明日、明後日とウチの寮に来るって事だよね!? じゃあ、泊まりの依頼は受けれないよね!!」


「バカ言わないで。 私たちは、学費を自分で払わないといけないでしょう?」


「あ。 リンちゃーん!!」

 

 ベリーが涙声でリンに縋る。


 抱きつこうとしてきたベリーを手で制し、嘆息する。


「いくらかなら、立替えてもいいけど」


「リン先生! あまりベリーを甘やかさないで下さい!」


「ラナちゃん、ヒドイ…」


「いや、酷いのは、ベリーのその思考だと思う…」


 レキがボソッと突っ込みを入れていた。


 

 とりあえず、毎週ある休校日の日は、アクセル達はいつも通り冒険者ギルドで依頼をこなし、シャガルは騎士としてのお努めをするらしいが、しばらくは療養でお休みをもらったらしい。トアは、実家に自分の研究室が与えられているらしく、そこで、魔法について研究をしているらしい。

 

 魔法の研究って何を調べてるんだろ?


 学園の一日は50分一コマの授業を6回。 それぞれのコマの間に10分間の休憩で昼休憩50分で、始まりと終わりに5分程度のショートホームルームがある。

 それが5日間あり、4日目までは、そこから、最大、3時間の課外活動がある。 最終の5日目は、授業が終わったら、課外活動はお休みとなっている。 その理由も、教師や講師も週の終わりの日くらいは早く帰りたいと、学園長に嘆願したためだ。

 だから、この日は教師や講師含め全員が授業が終われば、帰宅していく。休校日については、特に外出申請もいらず、自由に街へ駆け出す事ができる。

 一週間頑張った自分への褒美として、美味しいものを食べに行ったり、実家に戻って静かに過ごす人もいる。 もちろん、寮生はそのまま、寮で過ごしてもいい。 だが、寮の管理人が休んでいる場合が多く、二日間だけは、身の回りの事を自分でこなさないといけない。


「さっ。 みんなも帰るよ。 さっさと荷物、纏める。 戸締まりができないでしょ!」


 駄弁って、一向に帰ろうとしないアクセル達に一喝するリン。


『はーい!』


「ったく。 返事はいいんだけどね〜」


 ははは…と一葉は苦笑し、手早く荷物を纏めていると、横から手が伸びてきた。


「持つよ。 大変だろ?」


 ガイルが一葉の荷物を持ってくれた。 視界の隅にアクセルがシャガルの荷物を変わりに持っているのが見える。


 このクラスの人達、優しすぎない!?


 

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