表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/172

魔力相撲

 教室では、アクセルとガイルが魔力鍛錬を行っていた。

 アクセルとガイルは互いに右手を突き出し、手のひらを向けて少し離れた場所立っていた。

 魔力を手のひらから放出し、魔力で押し合いどちらかを倒すという鍛錬方法だ。 これは、一方向に向かって放つ為の”魔力操作”、拡散させずに魔力を密集させる、”魔力圧縮”を同時に鍛錬出来る、鍛錬方法だ。 それだけじゃない。 相手の魔力を覆い、抑え込む事もできるし、魔力の密度をあげて、相手を吹き飛ばすことも出来る。 この鍛錬一つで、様々な技量を鍛えられる。


「クッ!」「〜っ!」


 互いに魔力を出し切り、同時にダウンした。


「勝敗は決まらず、だね。 二人共」


 ウィリアムイソイソと準備をしながら、が肩で息をする二人に声を掛ける。


「それより、先生達遅いね〜」


 レキがつまらなさそうに机に頰杖を付いて、足をぶらぶらと揺らしていた。


「まったくね。 お茶でもしてるのかしら?」


 ラナが、まさか…と、


「それは、いくら何でもないでしょ! と言いたいけど、あの子もいるからね〜。 お茶休憩くらいしてるかも?」


 ベリーが突っ込むが、もしかしたら小休憩はしてるかも、と同意する。 すると、微かに甲高い音がした。


「ん? ねえ、ラナ?」


「どうしましたの?」


「今、甲高い音がしなかった?」


「? してませんわ」


 ラナは首を傾げた。 その瞬間教室の出入り口から、小剣が飛来した。


「「「!?」」」「え?」「「は!?」」


 小剣は、教室にいる全員にその切っ先を向けて対空すると、バチバチと帯電しだした。


 バァアン!


 落雷と共に、一葉が『身喰いの剣』を二本携え立っていた。


「動くな! って、あらー?」


「ん?」


 後ろから、ジンが音もなく教室に侵入して銃剣をこちらに向けていた。


「何事?」


「こっちが知りてぇわ!」


 一葉がキョトンと目を丸くして疑問を呟くと、アクセルのツッコミが炸裂した。


 ◆ ◇ ◆ ◇ 

 事は、一葉が突撃をかます少し前のこと。


「この魔力量、戦闘、喧嘩か?」


 ジンが考察を言う。


「でも、戦闘音は聞こえないよ?」


「そこだ! これだけ魔力が巻き散らかされているのに、戦闘音が聞こえない、ということは…」


「制圧された?」


「可能性はある」


 姿勢低くして、一葉とジンは教室の前まで足音を立てる事無く忍び寄る。


 そぉ〜っと出入り口を少し開けた。


「おい。 ドア開けてどうするんだ!?」


「中の状況、確認する。 ピィィィィ!」


 一葉が口笛で、甲高い音。それも、聞き取れるかどうかの音を出した。

 一葉は、反響する音に耳を集中させる。


「人数は6人。 うち3人は一番下段にいて。後の3人は椅子に座ってる?」


「ふむ。 状況的に、下の3人が首謀で、椅子に座ってる3人が人質か?」


「たぶん?」


 ジンは、目を閉じ、息を大きく吸って、深く吐く。


「突入する」


「なら、僕は先行するね。 みいちゃん」


 一葉の右腕がエメラルドブルーの結晶に包まれると、六本の細長い結晶の塊が浮かび上がった。


「やりすぎるなよ」


 ジンは右手、中指に嵌められた指輪に触れると、パッと光り、銃剣を握っていた。


「行け!」


「!!」


 浮かび上がった結晶が砕けると小剣がそこにあり、開けたドアの隙間から中に飛び入って行く。

 一葉の身体から電気が発せられ、やがて、雷と化して、中に入っていく。


 おいおい。 ちゃんと、加減しろよ…。 大丈夫か…?


 ジンも直ぐに、中に侵入して、一葉のフォローに入るため、銃剣を一番下段にいる奴らに向ける。



 そして、現在。

 一葉とジンは教卓に座り、こちらを見ているリンを見上げる形で正座をさせられていた。

 見上げると、リンのスカートから覗く太ももが艶めかしい。

 

「ふーん。 それで、剣を持ち出したと?」


「はい…」「ああ…」


「一歩、間違えれば、怪我人ないし、死人が出てたかも知れないよね? そこらへん、どう思う? ジン」


「中の状況が判らない中に、これだけの魔力が巻き散らかされているんだ。 何かあったと判断してもおかしくはない。 その中で、怪我人も無く、事態を収めるのは困難だと思う」


「それを、どうにかするのが貴方でしょう?」


「無茶振りだな!?」


「じゃ、次。 カズハ」


「は、はぃ!」


「ジンはそう判断してた訳だけど、どうして、直ぐに攻撃しなかったの?」


「今までに感じたことない気持ち悪さだったけど、嫌な感じはしなかったから?」


()()()()()()()()()()()()()()()()()


「うん。 うまく、言葉にできないけど…」


「ああ、ね、リン先生?」


「なに?」


「もしかして、なんだが、こいつって、魔力を感じた事無いんだろう? だから、不快感に感じただけなんじゃね?」


「…そうかも。 ま、今回は怪我人もいないし、良しとしましょう」


 リンが足を組み替え、判決を出した。


「あ、黒」


 一葉が呟いた。


「黒?」


 リンは、一葉が感じたイメージか何かかと思ったが、一葉の視線に気付く。


「? 〜〜〜っ!?」


 みるみると顔が、赤くなっていき、咄嗟に料手で、スカートの裾を抑えた。

 一瞬、しまった!と顔を顰めると、直ぐに教卓から飛び降り、一葉の頬を横に引っ張った。


「いひゃい、いひゃい!」


「リン、先生その体型でく、グハッ!」


 ナニカを言いかけたジンに回し蹴りを食らわす。

 

 (((黒か〜…))) (えっろ…)((……))


 ベリー達、女子陣は微笑ましい物を見る目でリンを見ていた。ウィリアムとガイルはパッと視線を逸らし、アクセルは、胸の高鳴りを感じていた。


 回し蹴りをジンに食らわしたところで、スカートの裾がその勢いで広がり、曝け出した。

 リンは、太ももに巻き付けてあった、励起前の魔導銃を引き抜き、魔力を流し込んで励起させる。 銃口をアクセルに向けた。


「今、見た物は忘れて。 自分で忘れられないって人は教えて。 忘れさせてあげるから」


「何で、俺の方を見て言うんだよ…」


「邪な視線を感じた」


「はっ! 年増は範囲外だ! ガッ!! いってぇー!」


 リンが銃のグリップでアクセルの頭を殴った。


「次はない。 言葉には気をつけろよ、クソガキ」


 リンの可愛らしい声に似つかわしくない荒れた口調。


「すぅ~、はぁ〜」


 リンは自分を落ち着かせる為に、深呼吸をして、ポケットから、一発の銃弾を取り出した。 その銃弾を額の前まで持ち上げると、一葉が感じていた気持ち悪さが軽くなっていった。

 弾を銃に装填して、教室のドアを開けて、外に向けて発砲した。


「カズハ。これで、楽になった?」


「うん。 今のなに?」


「今のは、周りにある魔力を吸収して、撃つと、弾が通った周辺に拡散させる魔弾だよ。 今感じてた感覚を忘れないで。 ソレが、魔力。」


「今のが魔力なの? 慣れるかな〜?」


「慣れるしかないね。 ジン、暇してるなら、皆の魔力制御を見てあげて。 カズハはこっち。 ここに座って」

 

「いや、勝手に暇と決めつけるなよ…」


「なに?」


「はぁ…。 わかった。 お前ら、外出ろ。 ここじゃ、暴発したときに危ない。 裏庭、行くぞ」


 クラスメイトはジンに返事をして、外に出ていった。

 一葉はリンと向かい合って座り、手を握られた。 


「付与魔法は、破棄しといたよ。 それと、今から魔力を流すから、その流れを感じて」


「流れ?」


「そう、流れ。 それはの行き着く先は魔力壺だから、それを探して。じゃあ、いくよ」


 リンが一葉の手に魔力を流し始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ