メカニック アリス
2023.5.7 一部誤字修正
私は天王寺 愛莉栖といいます。
水原君の召喚と一緒に異世界に連れてこられました。
魔王を討伐して欲しいとお願いされて、水原くんと同行することになりました。
まぁ、元の世界でも魔物と呼ばれる異形のものと戦っていたから、別に構わないのだけど…。
私の主な役割は、みんなのサポートだ。
武器弾薬の補充、武器の整備から戦闘中の補助魔法の支援等をしています。
時には武器の製造依頼も来ることがある。
今、私の頭を悩ませている原因も、まさにそれだ。
事は少し前に遡り、愛莉栖の部屋にて…
「あいちゃん」
「どうしたの?さっちゃん」
「私達もそろそろ、活動を開始するじゃない?」
「うん」
「準備も大分進んでるけど、少しさ…、銃を一つ追加で造れないかな?」
「うーん…。まぁ、一つぐらいなら造れると思うけど、どういうのがいいかって決まってるの?」
「長距離高威力スナイパーライフル」
「また無茶を…」
愛莉栖は沙月の無茶振りに呆れるが、それでも、真剣な眼差しで見られ、溜め息をつく。
「長距離と言っても普通のスナイパーぐらいで良いの? 高威力って、どれ位?」
愛莉栖は紙を用意して、ペン先をインク壺に浸す。
「距離はそうだね。 威力は、最低ラインがアンチマテリアルライフルくらい?」
メモを取ろうとして、初手でいきなり手が停まる。
「わぁ。最低ラインがそれだと…。 う~ん…取り回しが悪くなってもいいなら、バレルを長くして、口径も大きくするという手もあるけど…」
「そうだね、それもいいかも。正直、初手必殺で使う用だから、取り回しは度外視でいいかな。 口径が大きいと反動でかいよね? その反動をさ、魔法付与で反転させたりできないかな?」
「魔法付与で? 考えたことなかったなぁ。 できない事もないと思うけど、バレルの耐久性も見直さないといけないね」
「あ、そっか。バレルの耐久性の問題があるか…。ならさ、いっその事、電磁投射砲にするとか?」
「電磁投射砲かぁ。確かに、威力を上げるなら、それでもいいか…。うーん、でも、それだと魔力が使えない所では使えないよ? 反転の魔法付与くらいならグリップに仕込むし、小さく出来るから誤魔化せるけど、電磁投射砲だと、バレル全体に付与しないといけないから、隠蔽は難しいかな〜。それに、バチバチ音なるし、稲光が多少なりとも出るから、隠密には向かないよ?」
「う~ん。 じゃあ、魔力を流した時にはレールガンになるようにして、普段は普通のアンチマテリアルで使える、みたいな?」
「ああ、それかぁ、可変機構組み込んで見る?」
「可変機構? ……良い。良いね、それ!」
「でしょ!」
サラサラと紙にメモを取っていき大体の方針を決めた所で、新たな問題が出てくる。
「あ〜、でも材料が足りない…」
「材料? マリアさんに頼んでもだめかな?」
「うーん、どうだろう? そもそも、この世界に魔力に反応する金属があれば良いんだけど…、まぁ、あるか。 多分、ローズさんの剣が、それっぽい金属使ってそうだし」
「ああ、確かに!」
「ただ…、銃に向いているかはわかんないし、金属の配合とかも触って見ないとわからないから、そこは試行錯誤しながらかな?」
コンコンコン
ノックする音が部屋に響く。
「どうぞー!」
「アリスお姉ちゃん、お風呂空いたよー、ってあれ? サツキお姉ちゃんもいるー」
一葉が扉を開けて入ってきた。
「あ、本当? これ、終わったら行くよ。(なんか、やばいね。 セイギ君達に見せれない状態だよ)」
「うん。ちょっと、銃の相談をね(だよね! これは、ヤバい! あの二人に見られないように部屋に送らないと)」
愛莉栖と沙月は目配せをして、意思疎通を図る。
一葉は、風呂上がりで暑いせいか、服を着崩していて、仄かに赤らめさせた肌がはだけた隙間から覗く。
髪が濡れそぼっていて、うなじに汗が滲んだ、妙に色気のある姿で入ってきたのだ。
これを見た男性陣が襲わないか気が気でない。
「ん~? うわぁ…」
一葉がメモを覗き込み、顔を歪め引いていた。
「これを造るの?」
「うん。 一応、これに近い物を、ね」
「魔力で変化させるならこれ使う?」
と、一葉は右腕を差し出した。
腕を差し出された事で、一瞬、自分の腕を使ってくれと言っているのかと思ったが、それは違う。
一葉は、腕に嵌められた腕甲を見せていたのだ。
「『身喰いの剣』? ああ、確かに一葉君、いろんな形にして使ってるもんね、それ」
「うん。これと多分同じ金属ならいっぱいあるよ。 銃、1丁分なら余裕に」
「なんでそんなに…って、ああ! あの、ロボット!」
「うん。材料、一緒っぽい?」
「うーん、じゃあ少し、分けて貰ってもいい?」
「どれ位いる?500くらい?」
「そんなにはいらないかなぁ。 その半分くらいで」
「わかった〜。 ここに出す?」
「…明日、ラボで出してもらっていい?」
「うん。 じゃあ、僕は行くね」
「「待って!」」
愛莉栖と沙月が出ていこうとする一葉に『待った』をかけた。
その格好で歩かせる訳にはいかない!
「送って行くよ」
沙月が一葉にそう声をかけて、はだけた服を直して上げる。
愛莉栖が一葉が湯冷めしないように、頭の上からカーディガンを被せ、顔を隠す。
誰にも、出会わないように祈りながら一葉を部屋まで送って、愛莉栖の部屋に戻って、一息つく。
「なんか、地味に疲れた…」
愛莉栖は備え付けのソファに背を預け、もたれ掛かり天井を見る。
「ね」
沙月が苦笑いを浮かべ、愛莉栖の後ろに回って、肩を揉む。
「どうしたのぉ? 急にぃ」
「いやいや。お疲れなんだろうなぁって」
「ふふっ。なぁに、それぇ? ま、良いけど。 お風呂行こっか」
「そうだね。 みんな、呼んでくるね」
沙月は華蓮等を呼びにパタパタと部屋を出ていく。
「…それにしても、このメモ書きでよく解ったね。 箇条書きで、単語位しか書いて無いのに」
・LRHPSR
・LB LC
・EML
・Transform
・MagicMaterial ✘
・Mixture ✘
この世界の人達に見られても問題無いように略称で書いていたのに、一葉は一目見ただけで新たな銃の製造だと見抜いたのだった。




