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従魔契約

 キィィィィン!


 突如、教会内に響き渡った。


 ダンテ神父が召喚されてきたであろう()に襲い掛かっていた。

 召喚されてきたのは魔獣や魔物ではなく、中年のオジサンだった。 

 頭髪が白髪まみれで微かに地毛と思われる碧色が覗く。スーツのような物を着ていて、その上にトレンチコートを羽織っていた。


「召喚に応じ、馳せ参じました。 マスター」


 と深みのある低い声で言葉を発した。


「で。これは、どういう状況だ? 呼び出しておきながら、斬りかかって来るなんぞ、斬新な挨拶だなぁ。 聖堂教会の神父よ」


 華蓮が召喚の触媒で置いたナイフで、ダンテ神父の剣を押し返す。


「ほう? 我らの事を知っておるのか。魔人よ」


 押し返された衝撃で罅が入った剣を投げ捨て、左右の手のそれぞれの指の間に3本ずつ投げ捨てた剣と同じ剣を挟み、構え直す。


「知っておるさ。 お前たちの事を忘れたこと等片時もな

い。 俺の、俺達の…! 希望だった人の仇なんだからな!」


 コートのポケットから朱色の板を取り出し、振り回す。 刀身が剥かれ、板を手のひらに戻り柄となり、ナイフとなった。


「その首、刎 ね 飛 ば す」


「はっ! 殺れるもんなら殺ってみろ! 魔族風情が!」


 今にも戦闘を始めようとする中、オズオズと二人に声をかける者がいた。


「あの~。 もう、いいですかね!? もう、何が何だかんだ分からないです! 説明してください!」


「あー。 すみません。 マスター」


「これは、お見苦しいものを…」


 二人は華蓮に気がつくと、さっきまでの殺伐とした空気を霧散させて謝罪をした。


 何故、二人が突然戦い出したのか、そもそも、貴方は誰なのかと聞きたい事は、たくさんあった。


 別室に案内され、お茶とお茶請けを頂きながら事情の説明を聞く。


「つまり、ダンテ神父は異様な魔力を感じ取って私達を守るためと極力、私達の目に触れないように召喚の光が収まってない内に処理をしようとしたと。 それで、()()()()()は元々、聖堂教会には思うところがあったからいきなり召喚後に襲われて気が立っていたと」


「ああ」


「はい」


「ダンテ神父が悪い! 私達を守るためかもしれませんが、相手を禄に確認せずに襲うなんて蛮族と一緒じゃないですか!? さっき、ダンテ神父は言いましたよね? 『魔族は人を襲う蛮族で相い入れない存在』だって。 今の、ダンテ神父と何が違うんですか?」


「……申し訳ない」


「それに、アレスさんもアレスさんです!」


「お、おう」


「どうして、対立関係にある人をなんで!わざわざ、挑発したんですか!?!馬鹿なんじゃないですか? 火にガソリンぶち撒けるもんじゃないですか!」


 華蓮はとてもご立腹で、自分より一周以上若い少女に説教されている中年男性を見ているとなんとも言えないシュールさがあった。


 二人共、気まずげに顔をそむけ、視線が合うとメンチを切りあっていた。


「アレスさん! ダンテさん!」


 それを見咎められ、怒鳴られる神父と中年オジサンの構図に、側で見ていたマリアは笑いを堪えれない。 


「ふっふっふ、ははははは」


「マリア…。笑っては失礼ですよ…っぷ!くっふふふ」


「貴方だって、笑っているじゃない。ローズ。  まさか、あの堅物神父を叱りつけられているところが見れるなんて! 記録水晶を持ってくるべきでしたね!」


「まったくです!」


「「ははははは!」」


 ガシッと頭を鷲掴みにされ、楽しげに笑っていたマリアとローズはから笑いに変わり、視線を腕の伸びている方に向けると、血の気が引き、顔色が悪くなっていく。


「随分と楽しそうだなあ。 なあ? マリア、ローズ」


「「ははは…」」


「ははは! ふん!」


「「イ゛ッタァ!」」

 ゴツンと拳骨が落とされマリアとローズは頭を抑えた。




 華蓮はそれを横目で見ながらため息をつく。

 そして、こちらの方をじっと見ているアレスに向き直り、口を開く。


「ところで、アレスさん。 私達の契約はどうなったんですか?」


「まだ、契約はなってないな。 こちらからも聞きたい」


「はい、どうぞ?」


「俺でいいのか? さっき、聞いたかもしれないが、魔人だぞ。 お前ら人間に仇なす存在だぞ? そんな、やつと主従契約を結んだら、お前らも爪弾きになるのではないか?」


「別に、気にしないんだけどなぁ」


 華蓮は、そう言いながら頬を掻く。


「は?」


「だって、貴方から何かされたわけじゃないし。 それに、貴方はそんな事しないでしょう?」


「…どうして、そう言い切れる」


「どうしてって。 勘、かなぁ」


「勘? クックックッ。ハハハハ! いいだろう。契約に応じる。 契約文は言えるか?」


「契約文? いえ、そういうのはさっぱりで…」


「なら、俺に続け」


「はい」


「『汝の身は我が下に。 我が命運は汝が剣に』」


「『この意、この理に従うならば応えよ。』」


「『誓いをここに』」


「『我、常世総ての善と成るもの』」


「『我、常世総ての悪を敷くもの』」


「『我、常世総ての善悪を併せ呑み、中立を貫くもの』」


「『我に従え! なればこの命運、汝が剣に預けよう!』」


「我、ダンテ・アウルム・ラ・エリアスは誓いを受ける! 汝、橘 華蓮を主と認め、剣となろう! 盾となろう! 翼となろう!」


「「契約(コントラクト)!!」」


「ふう。 これで、いいんですかね?」


 契約魔法に魔力をゴッソリ持っていかれた華蓮は汗をかき、息も絶え絶えになっていた。


「ああ。 確かに、契約は成った。 よく、頑張ったな」


 ふっと頬をほころばせ、華蓮の頭を撫でる。


「あの、ところで。 『ダ』っ!?」


 アレスに唇を指で押され言葉をさえぎられ、アレスは自分の口の前に人差し指を立てて『喋るな』とジェスチャーをする。


 パチンっとアレスが指を鳴らすと、華蓮とアレスの周りからガラスが割れるような音がして、ナニカが、崩れ落ちていく。


「結界? いつの間に…」


「真名を他のやつに聞かせるわけにはいかないからな。 契約文を復唱させる前に防音の結界を張っておいたのだ」


「そうだったんですね。 気づかなかった」


「気づかれんように張ったからな。 だから、漏らすなよ」


「はい」



「終わったか?」


 不意に声がかかる。

 

 そこには、ダンテが立っており、華蓮を見下ろしてた。


「おわっ! ビックリした〜。 終わりましたよ」


「なら、さっさと帰れ。 いつまでも、そこの奴がいると目障りなんでな」


「わ、わかりました。 みんな、行こ」


 華蓮はみんなに声をかけて、一人、立ち去っていく。


「ダンテ、あんな言い方!」


「ふんっ! お前らも早く行けっ」


「はぁ…。 行きましょうか、皆さん」


 マリアはため息をつき、雄一達を促す。


 みんなは立ち上がり、華蓮を追う。


 アレスは扉を潜る前に振り向く。


「ああ、そうだ。 クソ神父」


「なんだ」


「せいぜい、神に見放されないようにするんだな」


 アレスはそう、言い残して扉を閉める。


「大きなお世話だ! クソ魔人!」


 ダンテは叫び、手を払うとちょうど今閉じた扉に3本の剣が突き刺さった。


「はぁ。 早いとこ、痕跡を消しとかんとな。 他の執行官に気付かれる前に。 全く、まさか魔人を喚び出すとはな。 他の、魔物とかなら問題なかったんだがな。あのお嬢さん、どんな、魔力量してるのだ?」


 と愚痴を溢しなが、行動を開始する。


「ネロ! バージルを呼べ! 浄化の儀式を執り行う!」


 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] とにかく主人公たちが凄いのはわかるけど、身近にいる比較対象の例が少ないせいでTUEEEEをいまいち感じられない [一言] 執筆頑張ってください!
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