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凝りすぎじゃね

 全身から血を吹き出し、地に倒れた雄一。


「勝者! 沙月殿!!」


 アルトのコールがされる。


「ハナちゃん! アイちゃん!」


 沙月が金切り声を上げて二人の名前を呼ぶ。


「「任せて!!」」


 二人は、雄一の元に駆け寄り、傷の具合を確認し、回復魔法をかける。


「「彼の者に癒やしを与え給え!!」」


 大地から黄金色の光の球が浮かび上がり雄一の体に吸い込まれていく。

 すると、傷が癒えていった。


「いったぁああ!」


 雄一は目を覚まし、斬られた痛みで地面をのたうち回る。


 華蓮と愛莉栖は模擬戦時に負った傷は痛みは消さず、傷のみを癒やすというのを自分たちのルールとしている。


「お目覚めはいかが?」


 沙月が勝ち気な顔で問いかけた。


「痛みのせいで最悪だよ!」

 

 雄一を見下ろすように前かがみになった沙月のスカートから生脚が覗き、その更に上へと視線が行く。


「変態!」

 

 雄一が何を言いたいか察した沙月はすかさず罵倒する。


「ゥオホン!」


 アルトが咳払いをして注目を集める。


「素晴らしい闘いだった。 以前からこのような模擬戦を?」


「まぁ、毎日じゃないですけど。 定期的に?」


 雄一が答える。


「そうですね。 いくら、訓練しても実戦で使えないんじゃ意味がないですから。 確認するためにも、よくやってますよ」


「そうか…。 聞いていたより実戦慣れしていたから驚いたよ。 だが、余り無茶はするなよ。 さっきのだって、一歩間違えれば死んでいた」


「「…はい」」


 雄一と沙月はその自覚があるのか気まずそうに返事をする。


「まぁ、いい。 問題は……」

 

 アルトが騎士達の方に向き。


「お前ら! お二人の闘いは観たな!? これでもまだ! 力を疑う者はいるか?!」


 騎士達はアルトの声を聞くと雄一達の前に駆け寄り膝を付く。


「これまでの数々の非礼お詫び申し上げます。 我々は許されざる行いをしてしまいました。 如何様な処罰でも受け入れる所存。 なんなりと、お申し付け下さい」


 ヴィルが代表して謝罪を述べる。


「謝罪、確かに受け取りました。 でも、俺たちから処罰は与えません」


 雄一が答える。


「はい?」


 ヴィルは己の耳を疑った。

 今まで、自分たちは無礼な振る舞い、言動をしてきたのだ。

なのに、雄一は処罰はないと言うのだ。


「そもそもですね。 皆さんの振る舞いとか言動って、当たり前の事だと思うんですよ。 だって、誰が、成人していないガキどもに世界を託そうって思うんですか? 誰が、ぽっと出のどこの馬の骨ともわからんやつを信用しろって言うんですか? 無理でしょ? なのに、処罰を与えるって、可笑しな話じゃないですか?」


「しかし」


「しかしも、カカシもないんですよ、ヴィルさん! これはただの行き違いです。 それで、いいんです!!」


「〜ッ。はぁ…。 甘いなぁ…。 雄一様、」


「雄一でいいですよ。 ヴィルさんの方が年上でしょう?」


「分かった。 雄一、恩に着る」


「ふむ。 話は纏まったか。 華蓮嬢達は、如何かな?」


 華蓮と愛莉栖話は顔を見合わせて


(ハルちゃん、リエちゃん。 模擬戦やりたい?)

(やらなくていいなら、パス)

(私も)

(分かった。伝えとくね)

 

 どうやら、理恵も春希もやらなくていいなら、やりたくないらしい。


「私たちも、もういいかな? アルトさんはどうします? あの子と模擬戦、します?」


「む? うむ。 お望みとあらば」


「わかりました。 ちょっと、聞いて…」


 華蓮は一葉達の元に向かおうとするが足を止めた。


「あ〜。 アルトさん? またの機会にします?」


 華蓮が指を指した先には、理恵の膝に頭を載せて、理恵に頭を撫でられながら、気持ちよさそうにスヤスヤと眠る一葉がいた。


「う、うむ。 そうだな。 起こすのも忍びない」


 アルトは、一葉の寝顔に頬をほころばせたが、それも一瞬で、直ぐに元の厳格な表情に戻った。


「これにて! 勇者殿達との模擬戦を終了とする! 各員、持ち場にもどれ!」


―――――――――――――――――――

 雄一達は、模擬戦が終わった後、自分たちが出したゴミ等を処理してから、王様とマリアに連れられ王城の敷地内にある一画に来ていた。なお、一葉は途中で目を覚まし、沙月の精神安定剤として抱きつかれ、撫で回されていた。

 

 目の前に見えるのは二階建ての建物。 横には大きなガレージ―もはや、倉庫―が幾つも並んでいた。

 

「皆の者、聞いてくれ。 今から、宝物庫に入るが、これだけは約束してほしい」


 ルーバー王が真剣な面持ちで言う。


「この中に入っているモノは盗難防止の為に魔法が掛けられている。 気になったものがあれば、俺か、マリアに声をかけてくれ。魔法を一時的に解くから、そこから手にとって見てくれ。 じゃないと………」


 え、何? その沈黙!?


「あと、薬品類とかもありますので、そちらはゼッッッッタイに触らないで下さい! 命の保証ができませんので!」 


 マリアからも注意される。


 中に入ると


 一定間隔のもと、台座が設置されておりその上に、剣や槍等の武器が置いてあった。

 

「あの、正直、何を選べばいいかわからないのですが…?」


 雄一が申し訳なさそうに聞いた。


「うむ。 己の直感を信じなさい。 気になれば、手にとって見ればいい」


「直感ですか…」


 雄一達は、それぞれ建物内を歩き、見ていく。


 一葉も何が置かれているか見ていく。


 大鎌。剣。剣。剣。剣。槍。大盾。けん玉……ん?から


「けんだま!?」


「どうかしましたか!?」


 突然、声を上げた一葉にマリアが駆け寄って来た。


「うんうん、だいじょうぶ。 ビックリしただけだから」


「そうですか? ならいいのですが…。ああ。このけん玉ですか? これも以前召喚された勇者様が造られたものですね。銘は確か…『モーニングスター』ですね。魔力を込めて飛ばすと球が棘付きのものに変わってジェット噴射で加速します。」


「ぶっそうすぎない?」


 そして、一つの台座の前来ると胸がざわついた。


「これは…。 鉄扇ですね。 見てみますか?」


「うん」


 着いてきてた、マリアにお願いして見せてもらう。


「ちょっと、おもい。 でも…てになじむ?」


「それになさいますか?」


「うん」


「他にも見て見ましょうか。 気に入るものがあれば、貰って行きましょう」


 マリアに促され、他に探す。


 でも、見ていて分かった。 


 ガラクタが多い!!


 ビンのキャップに空き瓶っている!? わざわざ、王城の宝物庫に入れなくてもいいじゃん!


 あと、フライパンとかヘラって調理器具じゃないの!? 武器じゃないよね!?


 それからも見て回るがこれといって気に入るものはなかった。

 2階に上がると、今度は鎧などの防具が並んでいた。


 胸あて、ボディアーマー、肩あて、腰当て腰蓑、具足、色々なものがあった。

 中でも目を引くのが全身真っ赤の全身鎧と全身黄緑の全身鎧。

 どこの戦隊物?


 鎧だけじゃなく衣服等もあった。 こっちのは、魔法使い用とかかな?


 ローブ、ロングコート、マント、陣羽織………獣の手?


「マリアおねえちゃん、あれはなに?」

 

 一葉の指差す方には


「ああ、ケモっ娘シリーズですか。 あれは、勇者様達が、パーティーの女の子達に着せていたらしいですね。 手足以外は下着同然なのに、全身に鎧を着ているみたいに堅固らしいですよ。 まぁ、もっとも私は、あれを着たいとは思いませんが…」


「ふーん。 へんたいさんだったんだね」

 

 歴代の勇者は変態と理解した一葉だった。


 二階を見て、これといって気になるものはなかったから一階に降りていく。


「ん?」


「どうしました、カズハくん?」


「ここって、地下もある?」


「ああ~。 ありますが、曰く付きのものばかりですよ? ご覧になります?」


「うん、見てみたい」


「わかりました。 陛下に聞いてみましょう」


 一階に降りると雄一達が、戻ってきていてルーバー王と話していた。


「陛下。 よろしいですか?」


「ん? おお、マリア。 そっちも戻ったか」


「はい。 カズハ君が下も見てみたいと」


「ほう。 丁度、こちらもその話をしていたところだ」


「そうでしたか。 では」


「ああ、参ろうか」


 ルーバー王が扉の前まで行き、その横の壁を軽く触れるとパカッと扉の両隣の壁の一部が開いた。中からナニカが迫り上がって来た。

 円柱状の突起物。 その中央に縦長の穴が空いている。


「マリア」


 ルーバー王が懐から鍵を取り出し、一つをマリアに渡す。


「開けるぞ。イチ」


「ニぃの」


「「サン!」」


 二人同時に鍵を回す。


 すると、通路として中央にあったスペースの床の一部がズレていき、階段が現れた。


「無駄に凝りすぎじゃね?」


 雄一の声がやけに響いた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 歴代の勇者の中ににハーレム主人公がいたのは草 [一言] 流れるように読めるような文章になれるよう頑張れ!
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