異世界召喚
目が覚めると、薄暗い場所にいた。
どこか、厳かで趣のある場所。教会?神殿?の中だろうか
地面にはサ―クルが刻まれていた。中には幾何学模様があるため、魔法陣なのだろう。
自分だけなのかと思い、周りを見回すと、他にも何人かいることに気がついた。
男2人、女5人。ぼくを合わせると、合計で8人。
唯一の出入り口であろう場所に、フ―ドを深く被ったロ―ブ姿の人が、8人いた。内6人は、気絶しているのか倒れていた。
「なに……。ここどこ?」
女のうち一人がつぶやいた。よく見てみると、今日からぼくが、通うことになっていた学校の制服を着ていた。
「オイオイオイ!ど―なってんだ!どこなんだよ!ここは!?おい!!お前らか!なにか知ってんだろ!!ぁあ!?」
いかにも、不良です。って容貌の男子生徒が立っていた、ロ―ブ姿の人に詰め寄っていた。
「これって……。もしかして……。マジか!?嘘だろ!?ハハハハ」
もう一人の男子生徒は、ブツブツとなにか呟いていた。正直、怖い。
女子生徒の方は、まだ、理解が追いついていないのか、固まったまんまだった。
ドシンッ!
なにか鈍い音がして、音がした方を見ると不良さんが地面に叩きつけられていた。
「姫様。お怪我は」
若い女性の声だ
「大丈夫です」
姫様と呼ばれた人が凛とした声で答えた。
そして、フ―ドを取ると、碧い髪で。おそらく、ぼく以外の人たちと同じ年くらいのキレイな人だった。
「オンナ!?」
「黙れ!!」
もう一人もフ―ドをとって、顔を、晒した。そして、不良さんに剣を突きつけていた。
ロ―ブに隠していたのだろうか。にしては、少し大きくないかな、その剣……
剣を突きつけられた不良さんは両手を上げ、降参の意思を示す。
もう一人のロ―ブの人もキレイな人だった。ブロンドの髪を腰の辺りまで下ろしていて。少しキツめの目つきをしていた。
「んん!」
姫様が咳払いをすると剣を納め、一歩下がり、軽く頭を下げた。それを姫様が確認すると歓迎の言葉を述べた。
「よくぞ、まいりまし「姫様!!」た」
「なんですか!?ロ―ズ!今、私この方達に歓迎の言葉を「そんなものは、どうでもいいのです!」」
「ど!?」
「姫様。たしか、呼び出すのは15から18くらいの年で適正のある者でしたよね?」
「ええ、そうよ?それが、どうしたの?ロ―ズ」
「彼女、何歳に見えます?」
周りの人たちが一斉にこちらを向く。
ビクッと体が強張り、なんだか、怖くなり涙を浮かべて、後退った。
「…………え?ぇぇえええ!?」
姫様の絶叫が建物内に響き
「やってしまわれましたね!姫様♪」
イイ笑顔で自分の主であろう姫様を小馬鹿にしていた。
置いてけぼりのぼくたちは、ただただ、目の前の二人のやり取りをポカンとしながら見ていた。
「大丈夫?」
一人の女子生徒が声をかけてくれた。
(え………。この声!………でも、大城さんは死んだって……。なんで!?……生きていたの?)
頭の中でぐるぐると考えが周りながら、声を、かけてくれた人を見て、決壊した。
「うゎぁぁああ!」
(おねえちゃんだ、おねえちゃんだ。いきていたんだ!)
ひしっと抱きついて、泣きじゃくった。
「えっ?!ちょっ!待って、待って!」
セミロングに編み込みがしてある少し、赤みがかった髪。人を引きつけるような、息っぽい声。
記憶にある、姉と似ていた。
「よかった、よがっっだよぅぅ。うわぁぁぁああ!いぎでだぁあああ!よがっだぁぁあ!うぅ。わぁあああああぁああ!」
「〜〜ッ。もう! 大丈夫。だいじょうぶ。」
泣きじゃくる、ぼくの背に手を回しトントンと叩く。
「ハナちゃんって妹、居たっけ?隠し子?」
グスッ。ヒックッ。としゃくりあげていると、もうひとり、こちらに寄ってきて、お姉さんに話しかけている声が聞こえてくる。
「いないよっ!いない……はず」
ヒック! なんだか………
「でも、その子、はなちゃんにすごい懐いてるみたいだよ」
めが…………
「あいちゃんまで〜」
…………
「ふふっ」
また、違う女の人の声…。
「サッちゃん……」
「ごめんなさい。でも、ほんとうの姉妹みたいに見えるから、おかしくてっ」
「髪色も違うのに〜?」
「華蓮。その子、寝ちゃってるよ」
「えっ。あ。ほんとだ。どうりで……」
「お姉ちゃんも大変だねぇ」
「りえちゃん!」
なにか、楽しげな声が、聞こえるけど、目蓋が重くて、開けることができない。
微睡みに身を任せることにした。