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ヴィル VS 雄一



 アルトの合図のもと模擬戦が始まった。


 雄一もヴィルも睨み合い、相手の出方を伺っていた。


 最初に動いたのはヴィルだった。


「〈フィジカルエンチャント〉!」


 盾を前面に押し出し、雄一に突進をしに行く。


「巌流 秘剣 燕返し」


 雄一が呟き、刀を振り下ろし、隙かさず切り上げ、身体を回し、半歩前に出て、横に薙ぐ神速の三連撃。


 ヴィルは、足を止め、前面に出していた盾を横に傾けながら頭上に構え直し、衝撃に備える。


「ッグォぉおお!」


 刀は傾けれた盾に沿うように逸らされ、体の横に振り下ろされた。だが、地面に当たるギリギリのところで逆袈裟に振り上げられ、咄嗟に右手で持っていた剣を逆手に持ち直し、剣を割り込ませ、防御する。

 刀と剣が触れる瞬間に足を地面から浮かし、相手の力を利用して、後退するが、直ぐ目の前に横薙ぎにされた刀が迫っていた。

 

(獲った!)


 雄一は自分の勝利を確信する。


「〈プロテクション〉!」


――プロテクション

 防御魔法の一つで、体に魔力を纏わりかせ身を守る魔法だ。


 ガキィイ!


 ヴィルの首筋に刀が当たるが、まるで、鉄を打ったかのような手応え。 

 ヴィルはそのまま、後方に飛ばされてしまった。

 

「嘘ぉ!? どんな、反射神経してんだよ!? ってか、その魔法ズルくないっすか!」


「っぶな! 死ぬかと思ったぞ! ズルい!? 実戦形式だつってんだろ! 使えるもんは何でも使え!」


 二人共、驚きを隠せない。


 雄一は必殺の剣技を防がれた事に。 そして、ヴィルは危うく首を斬られそうになった事に。


「それに…ふん。 なかなかやるようだが甘いな。 こんなんじゃ、認められねぇな」

 

「でしょうね。 だから…」


 雄一は地を蹴り飛び出した。

 

 一足でヴィルを間合いに捉えた雄一は斬撃を繰り出す。


「我流剣技 灯篭花(とうろうばな)!」


 真っ向切りからの袈裟斬りから始まり、一文字切り。逆袈裟斬り。逆風。左逆袈裟斬り。左一文字切り。左袈裟斬り。一撃毎に体を回し、流れるように振りまわす。そして、刀を降るたびに速度がましていき、最後に今までのエネルギーを全て注ぎ込み振り下ろした。。


(嘘でしょ!? これでも、通らないの!?)


 ヴィルが難なく捌いていく様を見て、驚きを隠せない。


 ヴィルも最初のうちは盾で防いでいた。だが、雄一の斬撃に耐えられなかった。斬撃が重ねられる度に、盾に罅が入り徐々に歪んでいく。そして、途中で砕けてしまったのだ。

 盾を失ったヴィルは徐々に速度を増していく斬撃に剣一本で捌いていく。

 剣で対処できないものは防御魔法でやり過ごした。


「っくぅ!」


 振り下ろした刀を、剣の背で受け止めた。


 刀を巻き落とし、雄一の懐に入り込み切り上げる。


「〜っ! っラァ!」


 雄一は地面につま先をめり込ませ、蹴り上げる。


「な、何ぃ!?」


 土が蹴り上げられ、ヴィルの顔に当てられ、咄嗟に目を瞑った。


 ヴィルの剣は虚空を切り上げ、雄一はその隙に刀を構え直す。


「目潰しとは卑怯な!」

 

「使えるもんは何でもつかうんでしょう!? 貴方が言った事だ!」


「〜っ。 くはっ! 言った…。 たしかに言ったな! だが、目潰しを躊躇なくしてくるとは思わんだろう!? 実戦でも、そんなことするやつは少ないぞ!」


 キィイイン!


 刀と剣がぶつかり合い、火花を散らす。


「ハァアア!」


「ウラァアア!」


 剣戟が鳴り響くたび、火花が散るたびに互いの武器が刃こぼれを起こしていく。


「綾小路流刀術 疾風(はやて)!」


 振り下ろされたヴィルの剣に雄一の神速の一文字切りがヴィルの剣を切り飛ばた。そして、雄一は前に詰め、刀を振り上げた。

 

 ヴィルは短くなった剣を雄一の刀目掛け投げ、右手で拳を握る。


 振り下ろされた刀はヴィルが投げた剣に当たり、折れてしまう。

 再びヴィルに懐に入り込まれた。

 

「〈ファランク〉グッ!」


 ヴィルは雄一の腹に拳を当て、新たな魔法を放とうとしたが、突如訪れた痛みに顔をしかめた。

 右手を見ると雄一が左手で折れた刀の刃を掴み、突きおろしていたのだ。

 そして、刀の残った刃を首筋に触れさせる。


「そこまで! 勝者! 雄一殿!」


 アルトの勝者宣言がなされた。


「はぁ、はぁ、はぁ…。 うっし!」


 息も絶え絶えになりながらも勝利に喜ぶ。

 すると、ヴィルが重い足取りで近づいてきた。


「はぁ、はぁ。 なあ、勇者様」


「ヴィルさん。 ありがとうございました」


「ああ、いや。 こちらこそ、ありがとう」


 そして、周りに聞こえない声で


「お前、大分力抜いてたろ。 そのまま、力を隠し続けろよ。 特に、今回みたいに上位貴族がいる前ではな」


「それって、どういう…」


「いいから。 お前は力を示しちまった。 これはもう、どうしようもない。 いいな。 この国の貴族には気を付けろ。 喰われるぞ」


 ヴィルはそう言い残し肩を軽く叩いて去っていった。


(何だったんだ?)


 雄一も皆が待つところに歩き始めた。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 世界観が伝わりやすい文面になれてきている気がする [気になる点] 戦闘シーンの頻度が多すぎかなー。 あと、面白いギャグシーンが欲しい ストーリーが停滞している気がする [一言] ちょっと辛…
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