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これからのこと

 1日様子見で入院したあと、特に問題が見つからなかったため、退院することとなった。

 大島さんの車で、政府が所持しているビルに、連れて行かれ、その上層階の一室で、ぼくがいた場所について、話を聞くことになった。


 大城さんは沈痛な顔持ちで話を切り出した。


「一葉君。君の証言から調査をした結果。9人の少年少女の遺体と、4人の男女の遺体、地球上で確認されたことのない動物の死体が見つかった。現場には、弾痕、焼け跡。なにかに抉られた跡等があったらしい。君の言う、地下にもなんらかの施設が見つかった」


「そう………ですか……。わかっていました……。もう……みんなにあえないなんて」


 うつむき、ズボンを握りしめて、泣くのをこらえていた。


「すまない。我々がもっと早く、君たちの施設の事を調べていれば、こんな事には……」


 手元にある資料を見る限り、あきらかに数字がおかしいのだ。

 今までに、亡くなった子供達、職員。補充された職員の数。施設に入れられた子供達の数が異様に多いのだ。

 これには、政府の人間も、関わっているのは、あきらかだ。なにせ、その政府からも援助を受けていたのだから。


「地下の施設に、処分しきれていなかった資料が見つかっている。」

「《神人創造計画》。聞いたことはあるか?」


 ぼくはうなずいた


「どうぶつのしたいは、どれくらいありましたか?」


「動物の死体の数?ちょっと待て。」

 資料を何枚かめくって

「あった、あった。14体だ」


「そっか……。もう、ほんとうに。みんないなくなっちゃたんだね」


「?」

「動物の死体もなにかあるのか?」


「しんじんそうぞうけいかく。そのなれのはてだって、おとなたちはいってた」

「だから、そのおんけいをうけるおまえたちが、しょぶんしろって」


「な……に…………!?」

「あれが!?あんなものが子供達だったっていうのか!?」

 大城さんは、怒りで顔を赤くして、怒りを露わにしていた。


 何回か深呼吸をして落ち着いたのか

「恩恵って言ってたね。そっちはどういうことなんだ?」


「おとなたちは、いのうっていってた」


「異能?漫画やゲームみたいな?」

「ああ、いや。不思議でもないのか」

「一葉君にもあるのか?」


「ぼくにはないよ」

「しっぱいさくだから」


「そう…か」


 どんよりとした、まるでお通夜のような。いや。家族同然の者たちを亡くしたんだ。

 こんな空気にもなるものだろ。


 しかし、そこに割って入る、猛者がいた。


「ああ、もう! 暗い話はそれまで!! これからのことを、話しましょう!」 


 今まで、ずっと大城さんの後ろに控えていた桜樹さんが、いつの間にかお茶とお菓子を持ってきていた。


「お前なー。これも大事なことだぞ」


「なんですか。」


「………」


 一睨みで大城さんを黙らせていた。


「あの。これからの、ことって?」


「そう、そう。一葉君。学校に行ってみたくない?」



「がっこうですか」



「そう。学校。君くらいの年の子なら学校に通っているからねー。どう?行ってみない?」


「………………………いってみたい」


「本当!?じゃあ、手続きしておくね♪」


「え……?いいの?」


「いいの、いいの。ね?大城さん!」


「ああっ!行きたいなら、行くといい!君の家族は助けられなかったが、せめて、これだけはやらせてほしい。他にも、やりたい事とか、してほしい事とかあったら言ってくれ!全ての要望に応える……のは難しいかもしれないが、大抵のことならしてやれる」



「じゃあ……。これいじょう、ぼくたちみたいなのをなくしてほしい。これいじょう、ぼくたちみたいなのをふやさないで」


「「!?」」


「わかった!!任せろ!これ以上、こんな悲劇は生み出さないようにする!とは、言っても。もう、こんなことは起こらないと思うぞ?関わった人間はもう捕まったし。それに近しいひとも調査済。国内の孤児院、施設。病院。カルト集団の集会所。全てに、我々の捜査が入った。何ヶ所かは、忘れたが。君たちと似たような境遇の子たちを保護した。だから、安心するといい」


「ありがと」


「ささっ。お茶も飲んで!お菓子もあるよ!」


 お茶を飲みながら、これから通うことになる学校のことを聞いて、これからのことに思い馳せていた。




(生きろよ)(ガンバレ!)(私達の分までたのしんでね!)(俺たちがついてる!)(いっぱいあそんで)(いっぱい勉強して)(友達もいっぱい作って)(いっぱい喧嘩して、仲直りして)(好きな子とかもできるかな?)




 どこからか、みんなの声がきこえてくる。甘いはずのクッキーはしょっぱかった。

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