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食事

「ぅ?」


 再び、目が覚めると、日がスッカリ落ちて暗くなっていた。


 すぅ、すぅと寝息が聞こえてきて、聞こえてきた方を見ると、先程と同じく知らない。クリーム色の長髪のお姉さんがベッドに倒れ込み寝ていた。


(どうしよう? 起こした方がいいのかな?)


 扉をノックする音が3回なってから、開くとぼくにご飯を食べさせてくれたお姉さんが入ってきた。


「あ。 起きたんだね! あいちゃんを呼びに来たんだけど…。 あちゃ~、寝ちゃってるね。 ごめんね、直ぐに起こして連れて行くから」


「だいじょうぶです。 きにしないでください」


 薄茶色の髪のお姉さんは苦笑しながら、寝ているお姉さんの肩を揺らす。


「あいちゃん、起きて! 晩ごはんの時間だよ!」


 なかなか起きないお姉さんにしびれを切らしてか、肩を揺らす力が強くなっていく。


「んん~? ふゎぁ〜。 おあよー」


 ゆっくり、体を起こして、伸びをしながら挨拶の言葉を口にした。


「も〜。 なんで、あいちゃんが寝てるの〜?」


「いや〜。一葉君の寝顔を見てたら、つい」


「はぁ。 ごめんね、一葉君。 後で、晩ごはん持ってくるから、ちょっと待っててね! あ。それか、食堂で食べる?」


「うん! そうだね、そうしよう!」


 カレンお姉さんの一言でクリーム色の髪のお姉さんが僕の膝の裏と首の後ろに手を入れて持ち上げる。


「相変わらず、軽いね~。 ちゃんと、ご飯食べなよ~」


「え? え? まって! ダメ!」


「大丈夫、大丈夫」


「かってにへやからでちゃ……」


 勝手に部屋から出るとどんな、折檻があるかと思うと。

 だから、ベッドに戻ろうと暴れるが


「お~とっと。危ないから暴れないでね」


 うっ。確かに、暴れたことによって怪我をさせてしまったらそれはそれで、問題だ。


「も〜。 ごめんね、あいちゃんが急に抱き上げたから驚いちゃったんだよね? それに、部屋から出ても大丈夫だよ。 ここは、君が今まで、居たところとは違うところだからね。 だから、部屋から出ても怒る人はいないから安心して。ね?」


 薄茶色の髪のおねえさんが、僕を落ち着かせる為に優しい声音で話しかけて来て、僕は怒る人がいないと理解すると頷いた。


「じゃぁ。行こ行こ。 私、もうお腹空いちゃった」


「もう、あいちゃん…」


 部屋を抱きかかえられながら出て、右に進んでいくと突き当りの左側に下に行く螺旋階段があった。

 それを降りていくと、また通路があり右に進むと二階で進んだ方向とは逆方向に進むことになる。左に進むとすぐ壁があり、そこを左に進むとエントランスに出るらしい。

 エントランスには行かず、右に進む。右手側には部屋の、扉は無く、左手側にチラホラ部屋の扉があるが、二階に比べると少ない気がする。

 通路を進んでいくと大体真ん中辺りに位置する扉の前で止まる。、そこの、扉を開き中に入っていく。

 中に入ると、人がバタバタ動き回っていて、()()()()()()()()におい


「セイギ! あんたも手伝いなさいよ!」 

 

 黒髪のおねえさんがセイギおにいさんに怒鳴って


「ああ。 はい、はい」


 返事をした金髪のおにいさんが答えるが


「はい、は一回!」


 また、怒鳴られていた。


「さっちゃん、そのお皿はそっちの」

 

 違うところでは黒髪のショートのおねえさんが皿を両手に4枚――それぞれの手に一枚ずつ、手首から肘までの間に一枚ずつ――載せて、誰かに指示を出す


「りょうかい。 あ。 理恵ちゃん、そっちのテーブルまだ、拭いてないからまだ、何も置かないで。 イオリさん、お願いしますね」


 黒髪ロングのおねえさんが返事をし、皿を置いていた。 先程、指示を出した人がお皿をテーブルに載せようとして、待ったをかけた。 頭の後ろで髪を一本に纏めた灰色の髪のおじさんにお願いする。


「あいよ。 お、来たか。 って、ボウズも連れてきたのか?」


 食堂は喧騒に包まれていた。


「あ、すみません! 訓練で疲れているっていうのに…。 手伝います! あいちゃん、一葉君と座って待ってて」


 一緒にここまで来たカレンおねえさんが、手伝いに買って出るが


「あ~、いい、いい。 嬢ちゃんも座ってな。 どうせ、直ぐ終わる」


 おじさんは大丈夫だとそれをやんわり断った。


「でも…」


「いいから、いいから。 ほら、ボウズも不安そうに見てるから」


 と、こちらに、水を向ける。


 そうこうしているうちに、テーブルには食事とカトラリーが並べられていた。 

 席順は厨房を前に正義、雄一、沙月。向かいの壁側に春希、愛莉栖、一葉、華蓮の順に座っている。

 もう一つのテーブルには壁側にマリア、ヘレネー、ヴェイン。向かいにシリウス、イオリ、ハイネンが座った。

 

 だが、言わずもがな一葉の前には何も置かれていなかった。

 何故なら


「はい、あ~ん」


「あむ」


 まだ、陽が出ている時に食べさせてもらったモノと同じモノをまた、食べさせてもらっていたからだ。


「どう? まだ、たべれる?」


 3口食べて、まだ食べられるか聞かれるが、お腹の中に食べ物を入れるという事が記憶にないため、どれくらい食べれるのか、どれくらい食べれば満たされるのか、それがわからなかった。


 でも、膨れた感じはしているから、ここくらいまでかな?


「(ふるふる)」


 あまり、世話をかけたくなかったというのもあり、顔を横に振り、食べれない事をつたえる。


「そうかぁ…。じゃあ、仕方ないね。 これからは、少しずつ食べれる量を増やせるように頑張ろうね」


「はい」


 残してしまった、ご飯はどうするのか気になっていると、金髪のおにいさんが


「なんだ、そんだけでいいのか? いっぱい食べないと、大っきくなれねぇぞ」


 と、セイギおにいさんが自分の食事を食べながら話しかけてきた。


「そうは言っても、無理に食べさせるわけにはいかないでしょ?」


 正義達の食事は野菜のサラダ、ポタージュスープ、ステーキ、マリネ、パンだ。

 華蓮にも用意されているが、手につける様子は無く、一葉の残した粥を食べようとしていた。


「そうなんだがな、橘。 まぁ、しょうがないか…。あと、ソレよこせ。 お前はソッチのを食べろよ」


 華蓮の手が止まり、驚いた表情をしていた。


「どうしたの? 周防君」


「いいから。 これだけじゃ、腹が膨れんくてな。どうせなら、そいつの残したモンも食べりゃ、膨れるだろ? だから、くれ」


 華蓮達のは一瞬、顔を見合わせると、声を上げて笑った。


「なんだ!? なんか、文句でもあんのか?」


「ふふっ。 ごめん、でも、ははは」


「セイギ。 素直に言ったら? 橘さんもちゃんと、ご飯を食べたほうがいいよって」


 雄一はステーキを切り分けながら呆れて物を言う。


「やかましぃ」


「イテッ」


「はぁ、はぁ。 もう、辞めて! お腹痛い…!」


 理恵が普段の正義からは考えられない事を目の当たりにして、笑い過ぎでご飯が食べられなくなっていた。


「ああ!?」


「セイギさ。 似合わなすぎ。 でも、まぁ、確かにハナちゃんも、ちゃんとご飯食べないとね」


 息を切らせながら、華蓮もちゃんと、ご飯を食べたほうが良いと指摘をすえる


「……。うん、そうだね。 じゃあ、お願いしてもいい?周防君」


「おう!」


 そう言って、パン粥を正義に渡し、華蓮は自分の用意されたご飯を食べ始めた。


 ちょんちょん


 肩を触られビクッと震え、触られた方を見ると、愛莉栖が緑色の液体の入ったコップを持っていた。


「お茶、飲む?」


 お茶が何かは分からないけど、喉は乾いていた。


「(コク)」


 頷いて、コップを受け取り、口に付ける。

 口に含む前に、舌を液体に付け、反応を見る。

 

(すこしにがいけど、しびれるかんじもないし、()()()かんじも、()()()かんじもない。ふつうののみもの?)


 特に問題なさそうだったから、少しだけ口に含んで飲み込んだ。


 コップから口を外し、体の反応を見た。



 もう一つのテーブルの方から視線を感じて、話し声も聞こえた。


「マリア。どう、思う?」


「どうもこうも、シリウス。 明らかに、あの飲み方は、体の反応を見ながら飲んでるわ。 つまり…」


「毒味が必要な環境に居たか、それか、考えたくはないけど、

実際に飲まされていた事がある…か?」


「そうかもしれないわね。 でも、何か特殊な環境にいたのは間違い無いわ。 じゃなきゃ、あんな動きはできないし、あんなに幼い子どもが人を殺すことを躊躇わないなんてことは無いわ」


 なんて、事が聞こえてきた。


(ころすことをためらわないんじゃなくて、ころさなきゃころされるばしょにいただけ。 ()()()()()()()()()



「ごちそうさまでした!」


 華蓮が手を合わせ、そう言葉にした。


「ごちそうさまでした?」


「うん、そうだよ。 食べる時に私達は『いただきます』って言っていたでしょう?」


「うん」


「あれはね。 ご飯を作ってくれた人。野菜作ってくれた人、お肉、牛や鶏、豚かな?動物を狩ってくれた人、魚を獲ってくれた人に感謝の言葉を送るんだよ。それとね、動物にも野菜にも『命』があるの。それを私達は食べているの。だからね、野菜や動物にも感謝をするんだよ」


「うん?」


「それで、『ごちそうさまでした』っていうのはね、う~んと、なんて言ったらいいかなぁ。ご飯を作るのはねとても大変なことなの。だからね、ご飯を作ってくれた人にねありがとうございますって伝える為に言うんだよ」


「そうなんですか? じゃあ」

 

 手を合わせて



『ごちそうさまでした』


 そう言って、今日、ご飯を作ってくれた人、ご飯の食材を作ってくれた人、とってくれた人。()()()()()()()()()()()()に感謝の言葉を送った。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初の頃に比べて確実に成長していて、読んでいて楽しくなります [一言] うぉ…「今まで食べてきた人」ね…((((;゜Д゜)))))))
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