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【SIDE】??? 星屑の軌跡 1

 白い天井。白い壁。そんな、部屋の中にポツンと置かれたベッドにまだ、年端のいかない子供が一人いた。


 子供の手首と足首には金属で造られたリングが嵌められ、更には部屋から出られない様にするためか鎖で足首にはめられたリングとベッドが繋がれていた。


 食事は、白衣を着た大人が持って来る。

 持って来ると言っても、食べる物はなく、注射を打たれるだけ。 果たして、これが食事と言って良いものかはわからないが、これで生きながらえている。


 「時間だ。来い、83号」

  

 白衣の大人に鎖を外され、手首のリングは手錠のように固定された。

 そして、大人に連れられ、元いた部屋とは比べ物にもならないくらい大きな部屋に入れられた。


 そこには、自分と同じく、手を固定された人たちがいた。

年齢層は比較的若い世代が集められていたが、上は成人はしてないだろうけど、大人と言っても良いくらいの人もいる。男女比は若干、女の人の方がおおいかも?


 この部屋は、天井も高く、面積も広い。上の方に窓が取り付けられ、電気の明かりが見えることから部屋になっているのだろ。


 「聴こえるかね?まぁいい。続けよう。君たちには、殺し合って貰う。君たちは、ここに入れられる時に薬を打たれた筈だ。ここに集められた者は最初、500人だった」


 そこから、一人の白衣を着た老人が窓際に立ち、語りだした。


 は?


 意味が、わからない。


 殺し合え? 


 ここには最初500人いた? 

 でも、今ここには50人もいない位だ。


「何故か、わかるかね? 何を隠そう。君たちに打った薬は人を進化させる薬なのだよ! まぁ、全員が全員成功するとは思っていなったがね。まさか、こんなにも数を減らすとは思わなかった。人とはなんとも脆弱な生き物だと、痛感したよ」


「ふざけるな!! 俺達は無理矢理連れてこられたんだ!帰せ!俺達を帰してくれ!俺達はテメェの様なマッドのモルモットじゃねぇんだよ!」


 10代後半くらいの少年が老人を見上げ、激高し、周りにいる人達もそれに便乗して声を上げた。



「ふむ。何か、勘違いしてるのがいるな。 ここに来た時点で君たちに帰る場所なんてないんだよ。 なんたって、君たちは表向きには死んだことになっているのだからね!」 

 

 それにと続き、

 

「モルモット! いい例えだ!」 

 

 老人は咳払いを一つして話を続けた。


「君たちはアノ薬を投与して生き残った。そして、アレの効果でとある特殊な力を得ているはずだ。 その、力を発露し耐えきれなかった者も死んでいったが……まぁ、君たちには関係ないか。 君たちに打った薬は先に死んだ彼らに打ったものと比べて薄めてあるものだ。だから、発露しても力が弱い。もしくはまだ、発現していない。だが…それでは意味がないのだよ。 そこでだ。君たちには、殺し合ってもらい、そして、殺したものを喰らってもらう。その手枷は殺したものの力を取り込み、装着者にその力を注入する仕組みになっている。なぁに、肉を喰らえ、と言っているわけじゃない。 ただ…殺せ。 生き残った者には、そうだな…外の世界で暮らせるよう手配しようじゃないかっ。新しくこちらで付けさせてもらった名前を使ってもらうことになるが約束しよう。 さぁ、殺せ!殺し合え! そして、進化した人の力を! 奇跡を見せてくれ!」


 老人の声に喜色が現れ、上擦っていく。


(イカれてる)


 電子音の音が鳴り、両手手首にはめられたリングが分離した。


「ああ。そうそう。 もし、このまま誰も殺し合わないなら……君たちは不要。廃棄処分だ。 その場で死んでもらうからそのつもりで。以上だ」


 壁や天井の一部が開きそこからからマニピュレータが伸びてきた。そして、その先に取り付けられている自動小銃の銃口をこちらに向けてくる。


 うわぁあああああ!

 きゃぁあああああ!


 阿鼻叫喚。 だが、こんな中でも嗤い、歓喜している輩もいる。


「っくっくっく。ハァハッハッハッハ! いい! いいねぇ! これって、要は殺しても罪にならないってことだろ! はははは! 最っ高!じゃぁないか!」


 三白眼のパーマのかかったロン毛の男が周りにいる人を襲い始めた。


「おい! 止めろ!」


 黒髪ショートの優男が三白眼の男に止めるように腰が抜けて身動きが取れない少女の間に割り込んでいく。


「あ~ん? なんだぁ、テメェ。 ヒーロー気取りかぁ? ああ? はははは!」


「うるさい! 君! 早く逃げて!」


 優男は三白眼の男を見据えながら、自分の背に庇った少女に逃げるよう伝える。


「で、でも…。 腰が……」


 そんな、恋愛物語が始まりそうなシーンを見せられたが、現実はそんなに甘くは無かった。


「ああ、ああ! 鬱陶しい」


 三白眼の男が優男の頭を掴むと青白いスパークが発生し、グシャッという音と共に頭が弾けた。

 頭を喪った体は、首から血を吹き出しながら、前に倒れ落ちる。


「い、いやぁああああ」


 目の間で起こった惨劇に放心状態になっていた女の人が血を被り、それが、血と認識したからか、悲鳴を上げた。


「オメェもウルセェよ」


 三白眼の男が女の首を掴み上げる。すると、青白い電気と光が放たれ、優男と同じように、掴まれたところが弾け、首が飛ぶ。


 ビチャッという音がして、その方向を見ると、赤い液体で濡れた黒い球状のモノが落ちていた。


「はぁはははははは! 楽しいなぁ、ええ、おい! くっくっく、はははは!」


 三白眼の男はその球状のモノを蹴り飛ばした。理解したくない。だが、想像に容易い。


「うあ、うわぁあああああ」


 それが、ぼくの元に飛んできた。


 球状のモノ、それがコロンと転がり、全容が明らかになる。


   それには

 

 恐怖に染めた顔が付いていた。


「ああ? 子供? ハハッ」


 ぼくの、悲鳴を聞きつけ、こちらに、目を向けた。


 コツコツと足音を鳴らしながら、ゆっくりこちらに歩いてくる。


「いや…。来ないで……死にたくない!」


 頭を抱え、後退る。


 ニィと口を歪ませながら、ゆっくり、ゆっくり歩いてくる。


 まるで、恐怖を煽って、それを愉しむように。


「ああ。あぁあああああああ」


 恐怖に染められ叫び声を上げながら走って逃げた。


「はははぁ! オッセぇよ!」


 ドンッという音が後ろからしたと思ったら、目の前に三白眼の男がいた。


「うわぁあああああ」


 その場で、反転して逃げるがまた、回り込まれた。


「子供を殺すのはしのびないが、それでも、ここでは殺すのがルールだ」


 愉しそうに口を歪ませながら、そんな事をのたまう三白眼の男が、とうとう僕の体を。腕を掴み上げた。


(殺される!)


 男は片腕で僕を地面に叩きたつけ、仰向けになった僕の顔を掴んだ。


「っくくく。 はぁはははははっ! そうだ! もっと、叫べ! 悲鳴を、俺に聞かさてくれ! はははははははは!」


 死にたくないから、顔を掴んでいる腕を解こうと両手で掴んだ。


「んんー!んんー!」


ジタバタ藻掻くが子供の力で振りほどく事はできない。


(いやだ…いやだ!死にたくない!)


「うぁおあああああ!」


 横から茶髪のお姉さんが男にタックルをかまし、吹き飛ばす。その拍子にぼくを攫む手から力が抜け、地面に落とされた。


「うぉ! ってぇなー! おい!」


「君! 大丈夫?」


 コクっと頷き、ありがとうと感謝の言葉を送る。


「ッチ! 次から次へとめんどくせぇなぁ! テメェら、この期に及んでまだわかってねぇのか!? 殺らなきゃ、殺られる。 そこに! 年齢なんて! 関係ねぇんだよ!」


「しまっ」


 男がお姉さんのお腹に掌底をくらわすと、そこからまた青白いスパークが発生し、肉が弾けた。


 グシャッと音を立てながら、人の上半身が僕のすぐ横に落下した。 臓物が飛び出し血溜まりをつくる。


「ひぃっ」


「邪魔はいなくなったなぁ。 待たせたなぁ」


(待ってない!)


 そんな事を、思いながらも、恐怖で体が動かない。


 ふと、胸の奥が熱を帯びている事に気づいた。


 ひたっと、何かが足に触れた。


 ビクッとしたあと、足を見ると、上半身だけになったお姉さんがぼくの足を掴んで、何かを伝えようとしていた。


「グフッ! はぁ、はぁ、はぁ。 イメージ……し、なさい」


「え?」


「ゲホッ。あな、た…の、奥に………ある、モノに…。触れて……!」


 そう、言い残し足を掴んでいた手から力が、抜けた。


(奥……。 この、温かいモノのこと?)


「じゃぁ、死ね!」


 男がもうすぐそこまで来ていて、腕を振りかぶった。


 「うぁああああああ!」


 もう、どうにでもなれ。と奥底にある、熱に触れるイメージをする。


 立ち上がり、男の手のひらを押し返す様に手を合わせた。


 何かと繋がる感覚があり、男の腕がエメラルドブルーの氷のようなものに覆われて砕け散った。


 男もぼくも、氷が砕け散った衝撃で弾き飛ばされるように腕を引いたが、男の方は腕が、失くなっていた。


「ぐあぁああああああ! 腕がぁ! 俺のぉお! 腕がぁああ!」


 


 だけど、こちらは手首にはめられたリングが、壊れ、落ちただけで、向こうは、右腕が一本丸々消えた。


「クソガキィがぁあ! よくもぉ、よくもやってくれたなぁあ! ああ!?」


 男が激情して、身を詰めて来た。


周りの様子が視界に入り、殺し合いをしているのは僕と男以外にもいるのが見えた。 チラッと見ただけでも、凄惨な事になっている。炎に焼かれるもの。氷の棘に貫かれるもの。バラバラに細切れにされたもの。感電したもの。潰されたもの。抉られたもの。


 辺り一面に殺された者の亡骸や体の一部、飛び散った血。体からこぼれ落ちたもの。腥い血潮の臭いが満ちている。


「ウォオラァあ!」


 男の振りかぶった左腕が迫ってきていた。


 それを体を横に捻る事で避けた。 すると、男は片腕がない為その勢いのまま、体勢を崩し地面に倒れ込む。


「グッ」


 ぼくは地面に転がっていた誰かが、創り出したであろう氷の棘の欠片を拾い上げ、男の首の後ろから突き立てた。


 氷の棘はそのまま首を貫通した。


「グフォッ! テ、テメェ…よ………く……………」


 視線で人を殺せそうな表情で睨んできて左腕で掴まれそうになるが、途中で息絶えた。


 肉を貫く感触。自分の手で人を殺した実感。それに恐怖を抱き、体が震えた。


「うあ、うあぁあああああ!」


 体から熱が溢れだし、殺した男の体が半透明なエメラルドブルーの結晶に覆われ、砕け散った。


「なんだこれ…、なに…が………。グッ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


 頭に激痛が走り、男だったモノが、記憶が、力が、躰に入って来る。


(頭が………割れ……る)


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」


 もう片方の腕にはめられたリングもヒビが入り、砕け散ったあと、自分を中心にエメラルドブルーの結晶が広がった。生きているもの、すでに殺された者を問わず全て呑み込んだ。


 この、部屋に残されたのは、エメラルドブルーの結晶の欠片、そして、その中心に倒れ落ちた幼い少年だけだった。


 人はおろか、血痕すらない。


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