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それ、反則じゃね?

 結界から抜け出し、今も尚戦っているおにいさん達の元に走る。

 

 状況はあまり、良くない。


 流石に、あの巨体で、しかも、体の動きと関係無く剣を振るってくる腕があるんだ。一筋縄では行かない。


 パァン!      パァン!

      パァン!


 銃撃。


 キン!  カン!


 ギャィイイイイイイン!


 金属がぶつかる音。  擦れる音。



 ドグォオオン!


      ガァアアアアアン!


 魔法で爆発する音。地面が抉られる音。


 いろんな音を響かせていた。


 だけど



 鬼は傷を負っても直ぐにその傷が消えてしまう。


(なにか。なにかあるはず。傷が癒えるなにかが…)

 

 黒鬼を観察する。


(みろ。観ろ、みロ。見ろ。ミロ!視ろ!!)


 体の内から溢れてくるチカラを目に集中させる。


 紫色に淡く光るモヤが黒鬼の体と宙に浮き猛威を奮っている腕を覆っていた。

    

   極めつけは角だ。


 何故か、そこに多くのモヤが覆っていた。

 

 覆っていたという表現は少し違うかもしれない。 

 

 色が濃くなりすぎて、そこだけ黒くなっていた。


 

 「さっきから頭の角をを守ってる事が多いよ!もしかしたらそこが弱点かも!」


 アリスおねえさんの声が聞こえてきた。


 そう。さっきからおにいさん達の攻撃。狙ってはいないのだろうけど、角に直撃しようとしたら宙に浮く腕が弾いたり、顔を反らしたりして、当たらないようにしていた。


 前衛四人。後衛三人。


 

(つのをおれそうなのは、おにいさんたちふたり。でも、みたかぎりだと、セイギおにいさんはキツそう。ユウイチおにいさんも、そこまで、よりょくなさそうだし……。チャンスはいっかいか、にかい)


 後衛組は選択肢から外した。

 

 あの角を折ろうとするとそれなりに大規模な魔法になると思う。そうなれば、前衛が一度引かなければならない。鬼がそれを許すとは思えなからだ。沙月おねえさんはいろいろな銃を扱えるみたいだけど……。


(アイツの、こうげきをしのげることができるひとがふえれば、チャンスがふえるかも)


「チッ!手が足んねぇ」


「キャッ!」


 宙に浮く腕の内の片方を抑えていた、春希おねえさんがその攻撃に耐えきれず、なぎ飛ばされた。


「「!!」」


「「春ちゃん!!」」

 

 追撃。

 

 吹き飛ばされ、未だ立ち上がれない春希おねえさんに宙に浮く腕が持つ剣にとどめを刺す。


「させない」


 キィォオオオオオオオンンッ!


 ぼくは、振り下ろされた剣に下に滑り込み、刀で受け止める。


 ガチッ     ガチッ

   ギャリッ     ギャリッ!


「ぁああああ!」


 チカラを体全体に回し、刀にも流し込んで弾き飛ばす。


 だけど、相手は宙に浮く腕。体勢なんてものはない。


 直ぐに、反撃に転じる。


 対して、ぼくは刀を振り抜いた格好でまだ、腕を戻し切れてない。


(ヤバっ。ミスった?)


 これから、自分の身に起こることを想像して、思わず目を瞑った。


 ドンッ!


        浮遊感。


「何で、君がいるの!?危ないでしょ!」

 

 春希おねえさんに抱き抱えられていた。


「ごめんなさい。でも…」


「でもじゃない!君は!戦わなくていいの!子どもはおとなしく守られてなさい!」


 怒られた。子どもだから、おとなしくしなさい。


 春希おねえさんが言いたいことはわかる。


 でも、それはできない。


 ぼくが介入しなければ、春希おねえさんはもちろんの事、春希おねえさんを助けようとした理恵おねえさんも死んでいた。


 そして、そこからこの均衡した状態が瓦解していた。


(そんなの、いやだ)


「い や だ ! てがたりないんでしょう?」


 華蓮おねえさんとアリスおねえさんの元に連れてこられて、そっと、降ろされた。


「君はそんな事気にしなくていいの」


 春希おねえさんはぼくの目線に合わせ、両肩を掴んで語気を強める。


「まもられるだけのいきかたはもう、いやだ!どうするの!?このきっこうしたじょうたいで!ただただ、たいりょくをしょうひするだけ!きめてがないんでしょう?!てがたりないんでしょう?!なら…ぼくが。あのうで、ひとつをおさえるよ!そのチカラは……ある!見てたでしょう!ぼくでも、なんとか戦える!だから……っ!」


「手が足りないのは確かだ」


「セイギ!」


「うるせぇ!夜桜!……本当に大丈夫なんだな?」


「うん!」


 カァアアン! 

 

 雄一お兄さんが腕を弾き飛ばした。



「ちょっと!皆さん!?駄弁ってないで、攻撃をしてくれませんかねぇ?!流石にキツイってぇえ!」


「わりぃ、わりぃ。水原!下がって、魔力回復させろ!」


「はぁ?正気!?今、ここで俺が抜けたらまずいでしょ!」


「小僧がそこに入る」


「セイギ!」「周防君!?」「周防さん!?」


「おいおいおいおい。正気かよ!? ……。分かった!一葉君!任せたよ!」


 少し、逡巡していたが任せてもらえるみたい。


「うん!」


「〜っもう!どうなっても知らないわよ!?ハナちゃん、アイちゃん!攻撃は少なくなってもいいから、この子の援護をしてあげて!」


「任せて!」「わかってる!」


 春希おねえさんは華蓮おねえさんとアリスおねえさんにぼくの援護をお願いして、二人はそれを了承した。


「じゃあ、次、剣を振り下ろされたらかち上げるからその隙きに!」


「わかった」


 ぼくはその時が来るのを待つ。


 体を落とし、刀は右手で逆手に持ち、左側を前にして、いつでも飛び出せるように身構える。

 

 ピリッ!


「!! みんな、ふせてぇ!」


 バァァアアン!         バァァアアン!


       


 バァァアアン!         バァァアアン!


 

 鬼の周囲に黒色の雷鎚が落ちた。


 ぼくの声でなんとか、みんなは直撃を免れていたが。


「ヤバッ! 周防君! 水原君!逃げて!」


 華蓮おねえさんからの再度の警告。


 鬼は両腕を天に掲げていた。手に持っている剣からさっきの雷鎚と同じ色の稲妻が迸っていた。


 鬼はその剣を地面に突き立てようと腕を振り下ろす。


 どんな、攻撃なのかはわからない。範囲も威力も何もかもわからない。でも、直感が言っている。あれを突き立てさせると()()()と。


 突如、周りの動きが、音がゆっくりになった。


 でも、体は普通に動く。  

              ズキン!


 またもや、頭痛。

              ズキン!ツゥー  ポタッ


 目が、眼が、アツイ。


    ピシッ!


 世界に亀裂が入った。


 地面も、人も、武器も、鬼も例外はない。


 もちろん、()()()

 


 アハトお姉ちゃんに聞いたことがある。


 人間は極限状態になると周りの動きがスローに感じるときがあると。

 意図的にその状態になることは難しい。でも、その技術はある。知っている。

 でも、使わない。使えない。身体に、負担が大きいからせめて、12歳を迎えるまでは使うなって、言われたからだ。


 それなのに、世界が遅く感じる。


(かんがえていたって、しょうがない。いま、できることをしなくちゃ!)


 今から走って行っても、片方の剣はなんとかできると思う。

けど、 もう片方は無理だ。


 なら、どうする?


 速く移動できたら………!!


 確か、シリウスさんが速く移動出来てたはず!


 

 体の動きから音が消える。力を余すこと無く、一切の無駄なく行動に消費する。

 

 音とは空気の振動。行動する事によって生じる振動が音となるのだ。

 つまりは、その分、力が分散している。


 もし、その分散する力も体を動かすために消費できたらどうだろうか?


 それを、突き詰めた動きが、シリウスさんにはあった。


 でも、これでも二振りの剣を対処するには少し足りない。


 だから、 これにさらにチカラを上乗せする。このチカラが何なのかはわからない。もしかしたら、魔力というものなのかもしれない。

 さっきまで、何気なくやっていたチカラの制御。これをさらに緻密にしていく。チカラを体に多量に流し込んで(オーバーライド)、さらにその体をチカラで覆い、無理矢理動かす。


 それを行なう事によって、限界を超えた速度を出して動くことができる。


 そして、もう一つ教えてもらった事を思い出した。

 

 世界は死に満ちている。万物には脆い場所、繋ぎ目、急所など壊しやすいところは必ずある。


 アハトお姉ちゃんは知覚系の異能を複数持っていた。


 魔眼。 ぼくが知っているだけでも、未来を視る【未来視】。眼を見たものを麻痺させる【麻痺之魔眼】。そして、死を知覚する【確定死の魔眼】。


 たぶん、今、視えてる亀裂は《死》を与える軌跡。



 なら……


  そこを     斬る!



(さいげんしろ!あの、うごきを)


 チカラの光がぼくの身を包みんだ。力が漲る。


《ダメ!それ以上その力を使わないで!取り返しの―――》


 うるさい。


《お願い!お姉ちゃんの言うこと聞いて!》


 うるさい! いま!つかわないで、いつ、つかうの!? いまだ!いましかないんだ!じゃなきゃ、みんなしんじゃう!

 だから!


「いぐにっしょん!」


 ()()()()()()()()()()()()()()()



 一足で、鬼の前に移動し、跳び上がって体を捻る。

 

 キィイン!


(まず、いっぽん)

 

 鬼の持った剣に視えた亀裂をなぞるように刀を通す。


 勢いのまま、体を回し、地面にへばりつくように着地し、もう一度


「いぐ、にっしょん」


 キィィバキッ!


 ウソでしょう!?


 刀が剣の半ばまで通ったところで折れた。


 突然の制動。 刀は半分くらいの長さで折れ、予期しない方向に体が吹き飛ぶ。

 

 世界の時間が戻った。


「!! ヤバッ!」


「坊主!?」「一葉君!?」


 体が縦方向に回りながら飛んでいた。声がした方向が丁度視界に入る。セイギおにいさんと雄一おにいさんが目を見開いているのが見えた。


「とれーす:ひょうじん!」


 パキッ。ピシピシッ。


 半ばから折れた刀の折れた先から氷の刃が生成された。


 頭と足先、鬼が一直線に重なったタイミングで、新たな異能を行使する。


「とれーす:あふたーばーなー」


 足元から凄まじい衝撃が襲いかかり、体を押し出す。


 鬼が近付いたところで体を前転させ、刀をぶん回す。


 ザシュッ!


 腕を斬りつけ、着地と同時に体をチカラで無理矢理捻り、もう一度、腕を斬りつけた。


 鬼の左腕手首の少し上らへんで切り落とされ、右腕に持っていた剣も半ばから切り飛ばされたため、地面に突き刺す事をできなかった。


 グルゥアアアアアッ


 鬼は何をトチ狂ったか、右手に持つ短くなった剣で左腕を肩の辺りから落とした。 そして、剣を捨て、宙に浮かび、()()()()()()()を襲っていた腕を掴み、切り落とした左腕肩に押し付けた。


「坊主! 離れろ!」


 ●●ギおにいさんの声が届いて、その場から飛び退く。


「よくやった! だが、こんのバカタレ!」


 ゴツッ


「いった〜」


 ゲンコツを落とされた。


「一人で、先行しすぎだ!」


「ま、まぁまぁ。セイギ、落ち着いて」


「これが、落ち着いていられるかぁ!確かに、コイツのおかげで助かったかもしれんが、一歩間違ってれば死んでたんだぞ!」


「いやぁ、まぁそうなんだけど、ね! それより、ずるくない!? 腕、くっついたよ! どこの宇宙世紀のモビルスーツだよ!? それか、あれか!? 新世紀の人造人間か!?」


 ユ●イ●おにいさんはセ●●おにいさんと話をしながら鬼からの斬りつけを刀で防御する。


 ガァアン!

 

 発砲音が響き、宙に浮く腕が撃ち落とされ、●ル●おねえさんとリ●おねえさんが落とされた腕に剣を突き刺しとどめを刺す。


 腕は霧散しその場には、剣のみ残された。


「うし。邪魔な腕はなくなった。第二ラウンドな!」


「ほとんど、一葉君のおかげだけどね…」


「だが、水原。これで、俺達本来の戦い方ができる。まだ言いたいことはあるが、一先ずは…」

 

「ヤツを倒す!だろ?」


「ああ! お前ら、サポートは任せたぞ」


「任せて! 周防君も気をつけて」


「私達の事、ちゃんと守ってよ」


「何言ってんだ? 八神。 そこに、立派なナイトがいるじゃないか」


 ローブ?を着たおねえさんたちが武僧の格好をしたおにいさんと言葉を交わしていたけど、何故か急にこちらを見る。


「え? え?」


 なに!なに!なに!?


「ははは。皆の事頼んだよ。 一応、邪魔な腕は君がなんとかしてくれたけど、まだ、なにか隠し玉があるかもしれないから。だから、無防備になっている彼女たちを守って欲しい。できるかな?」

 

 鎧武者の格好をしたおにいさんがぼくの頭を撫でながらお願いをしてくる。


「うん、いいよ。 でも、おにいさんたちだけで、だいじょうぶ? まだ、あれけっこう、ちからのこしてるよ」


「大丈夫、大丈夫!あとはお兄さん達に任せておきなさい!」


 そう、胸を叩きながら言う。


「じゃあ、ちょっと下がろうか」


 あ、あの!おねえさん!?抱き抱えられたらぼく戦えないよ!


「え? ちょっ!」


「はいはい。暴れない、暴れない」

 

 そっちのおねえさんも笑ってないで、なんとか言ってよ!


 おねえさん達5人が集まりそれぞれ、手に持っていた武器?を捨てた。


 そして、円を囲うように並び、歌い出す。


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