よか、った
「出陣るぞ!」
「「「「「「応!」」」」」」
セイギおにいさん以外のみんなが光に包まれ、光が収まると、格好が変わっていた。
雄一おにいさんは袴羽織に刀を左側の腰辺りに二振佩いていた。
一つは、刀身が80センチくらいの長さで、もう、一つの方は、鍔が無く、鞘と柄が黒い木でできていた。そして、柄の所に揚羽蝶が描かれていた。
華蓮おねえさんと理恵おねえさんは灰色のロ―ブを纏い、フ―ドを目ぶかに被っていた。フードから覗く二人の髪色も少し変わっていた。ロ―ブの中はワンピ―スになっていて華蓮おねえさんは朱色で髪色は桜色、理恵おねえさんは赤色で髪色は藍色だった。手にはそれぞれ身の丈を少し超えるくらいの大きさの杖と弓をもっていた。
花蓮おねえさんは十字架をあしらった錫杖で、理恵おねえさんは少し曲がっている丸木でできた弓を持っていた。
アリスおねえさんは黒いロ―ブで、トンガリ帽子を被っていた。髪色もクリーム色からシルバーブロンドに。太腿が少し見えるくらいの黒のズボンを履いていて、手には何も持たず、何か背負っているわけでもなく、手ぶらだった。
…………あれだね。魔女の姿だね!まんま魔女のイメ―ジ通りの姿だ。杖はないけど…
沙月おねえさんは、黒のインナ―に胸当てを付け黒のジャケットを羽織っていた。ミニスカ―トにブ―ツを履いて、手にはライフルを持ち太腿にホルスタ―を巻いてそこに、拳銃を収めていた。
春希おねえさんは、白のシャツに二の腕までを覆う黒のア―ムカバ―。アリスおねえさんの履いているズボンみたいなものを履いていた。ブ―ツを履いていて、足首より下は金属でできていた。黒髪に赤と青のメッシュの入った髪色に変化していた。武器の類はアリスおねえさんと同じく持ってはいないが、腕甲をつけている。腰には宝石が埋め込まれた細身の剣が帯剣されていた。
みんなは、セイギおにいさんの掛け声に答えると、すぐに行動に移る。
セイギおにいさんと雄一おにいさんはロ―ズさんに加勢するため走り出す。
沙月おねえさんは膝立ちになり、銃を構えてセイギおにいさんと雄一おにいさんの援護をする。
アリスおねえさんはヘレネ―さんと同じく、負傷者の治療をしに行く。
華蓮おねえさんは杖を地面に打ち付ける。すると身体の周りから金色の粒子が地面から無数に浮かんでくる。
理恵おねえさんは半身になり左手に弓を持ち、右手を後ろに引き、人差し指と中指を軽く曲げ他の指は握っていた。
前では、ロ―ズさんが果敢にオ―ガを攻め立てていたが、剣を持っていない方の腕にと掴まれてしまった。
そのまま、握り潰されようとしていた
が
「やらせない!」
腰に履いていた刀を抜き放ち、右切上げをする。
オ―ガのてはロ―ズさん達が攻撃していた時と違い、ザックリと切り裂くことが、できていた。
「水原ァア!ソイツ下げとけ!」
そう言って、金棒をオ―ガの顎に振り上げていてかち上げる。
「いまぁあ!」
バシュ―ン!
ヒュン!ヒュン!ヒュン!
額に穴が空き、顔が弾け飛んだ。そして両肩、胸の辺りに、青白い槍みたいな矢みたいなものが刺さり、いつの間にかオ―ガの真上にいた春希おねえさんが踵落としをくらわす。
ドス―ン!
大きな音を立て、衝撃が地面を伝ってきた。
カッ、カッ、カッ。バゴ―ン!
オ―ガが落下したであろう場所に閃光が瞬いたあと爆音が轟き、蒼炎が立ち上る。
「いや~。やりすぎかな」
そう言いながらロ―ズさんを抱えた雄一おにいさんが戻ってきた。
「まだだよ」
「だね」
華蓮おねえさんと沙月おねえさんがまだ終わってないと言う。
「ははは…。ですよね―。とりあえず、ロ―ズさん。預けてくるよ」
「うん」
華蓮おねえさんはオ―ガの方を見据えながら返事をする。
(なに…これ)
目の前で起こった事が信じられなかった。
(たしかに、さっき魔法は使えるって見せてもらったけど)
ズキンッ
「っ!」
(い、いたい)
突如、頭痛が襲いかかり、頭を押さえる。
「?ちょっと!?どうしたの!」
周りの警戒をしていた理恵おねえさんがぼくの様子に気付き駆け寄ってくる。
「ウッ!んぁあああ!」
(いたい!イタイいたいイタイ痛い)
痛みが強くなり、立っていることができなくなり蹲る。
「「「!?」」」
「オイ!どうした!」「何があったの!?」
セイギおにいさんと春希おねえさんが戻ってきて、
「わからない!」
「急になりだしてっ!」
―――――――
黒い靄がスケルトンのドロップ品を包み込んだ。
すると、そこにあったドロップ品は姿を消した。
それに、気づくものはいなかった。
目の前のオ―ガに、負傷者に気が向いているからだ。
だから、もう倒した筈のスケルトンの残骸には気にも留めていなかった。
そして、黒い靄が位置を変え、負傷者の治療を行っているヘレネ―の後ろに集まり、渦巻く。
ズブッ!
「グフッ!」
「………え?な、んで?」
ヘレネ―の腹から剣が生えていた。
「ヘレネ―!」
その様を見ていたアドレイはヘレネ―に駆け寄り、下手人に懐に挿していたナイフで斬りかかる。
ズバッ!
アドレイの首が落ちた。
銀閃が舞う。その度に、腕が飛び、首が、落ちる。
「ぅわぁああああ!」「クソッタレがぁあああ!」
雄一と正義が黒い靄の渦から這い出てきたモノに、襲いかかる。
春希と沙月が後ろに回り込み、落ちていた剣を掴み取り斬りかかる。
理恵は杖を構え、弦を引き、放つ。
華蓮は杖を掲げ、愛莉栖は手を向ける。
華蓮の周りに無数の魔法陣が浮かび上がる。
愛莉栖の前に大きな魔力弾が浮かび、更にその前には、魔力弾よりも大きな魔法陣ができていた。
ヤツに襲いかかる4人に当たらない位置に無数の魔力弾が襲いかかり、真正面に特大の魔力による砲撃を放つ。
ヤツは、右腕で沙月の剣を掴み取り、正義の薙刀を掴む。左腕で春希の剣を掴み、雄一の刀を掴む
そして、ヤツは掴みとった武器ごと、4人を振り回し、魔力弾にぶつけ、防ぐ。そして、周りに突き刺してあった剣を4振り掴み、前方に構え、砲撃を耐え凌ぐ。
そこには、4本腕の鬼がいた。
ヤツの身体がブレ、二人身体が空を舞う。
――――――
頭の痛みと共にナニかが視えた。
ふと、痛みが消え、目の前にはぼくを心配そうに見ているおねえさん達がいて、その奥で、シリウスさん達を治療しているヘレネ―さんが見えた。
(いたみが、きえ、た?いま、なにが…)
ヘレネ―さんの後ろにあるスケルトンの残骸に靄がかかり始める。
「だめぇえ!にげて―!」
そう、言いながらヘレネ―さんの方ヘ走っていく。
「え?ちょっ!どうしたの!?」
後ろからアリスおねえさんの声が聞こえるけど、気にしている暇はない。
(いま、みえたものがほんとうのことだとしたら)
一歩、大きく踏み込み加速する。
スケルトンの残骸の靄が濃くなり、とうとう残骸を包み込んで見えなくなった。
このまま、間に割り込んでも、防ぐ手立てががない。
(そんなの)
「ぁああ!」
ヘレネ―さんとスケルトンの残骸の間に、割り込むことができ、身構えたと同時に黒い靄の中から剣が突き出て来てそれを手で掴む。
「ぅぶ」
バシャッ。
血が、ポタポタと落ちる。
体を剣で貫かれ鈍く痛む。
「だい、じょ…う、ぶ?」
「……え?カズ、ハさま?」
(よか、った…)
「とう、ほうごうざんぜみょうおう。な、んぽうぐんだりみょうおう。せいほ、うだいいいとくみょうおう。ほ、っぽう…グフォッ。こんごう、やしゃみょうおう。はらい、たまえ。きよめ、たまえ!きゅうきゅうにょりつりょう!」
体に突き刺さった剣に血で濡れた手で五芒星を描くとそこから、温かな光が溢れだした。その光に弾かれるように剣が引き抜かれながら投げ飛ばされる。
ドシャッと地面に落ちた。
「カズハ様!」「一葉くん!」
ヘレネ―さんと華蓮さんの声と駆け寄ってくる足音が聞こえてくる。
(ま、だ)
立ち上がろうとするが、腕に力が入らなかった。
―――しょうのない子ね




