Side-マリアベル・スピカ-
私達は、勇者様達の自分達だけで話をしたい、という申し出によってローズを連れて部屋の外に出た
「どういう事ですか!マリア!」
ローズはマリアを壁際に押し付け、マリアを至近距離で睨み付けた。
「どう、とはなんのことですか。ローズ」
「惚けないで下さい! どうして、自分が召喚した!みたいなことを言ったんですか!」
「ああ。仕方ないじゃない。だって、実際にあそこの調査を命じたのは私で、私が監督をしている中で起こったことよ。私に、責任があるわ」
「だとしてもです!この世界に呼ぶつもりはなかったと、一言いえば「だめよ!」」
「何故です!?」
「ローズ。あなたも、わかっているでしょう?今のこの国では、魔王どころか、魔獣達にも対応できていないわ。というより、あなた、私の事、からかってくれたわねぇ?」
「え!?いやっ。あれは!あの場を少しでも和らげようとしただけで」
「まぁ、いいわ。確かにあれで、少し場が和らいだしね。でも、次はないわよ」
「………はい」
「それより、ローズ。ステータスプレートを人数分持ってきてもらえないかしら」
「ええ。わかりました」
ローズに用事を言いつけひとりになる。
考えないといけないことは沢山ある。
まず、一つ目は、勇者達の事。ステータスをまだ、確認できていないから、誰なのかわからない。もしかしたら、いないかもしれない。
二つ目。勇者達と一緒に召喚された、少年の事。本来、勇者召喚は、15から18の若者が呼ばれるらしい。見た目は、10歳以下。まさか…15歳以上だなんてことはない……よね?
三つ目。召喚されてきた人数が少ない。過去には、総勢40人が呼ばれている。にもかかわらず、今回は7人、イレギュラーを合わせても、8人。数が違いすぎる。事故だったから?そういえば……アリスさんが過去の勇者様達の人数を聞いてきたとき、みなさん、なにか心当たりがある感じでしたね。
四つ目。こんな状況だから、民たちの不満が募って来ている。ハンター同士の喧嘩の仲裁。騎士達とハンター達の衝突も起こってきている。ハンター達は、少人数のグループでの遊撃、グループ同士での連携による一点突破を得意として、騎士たちは隊列を組んでの殲滅戦を得意とする。だから、ハンター達にとって騎士たちの戦法は時間がかかり過ぎる。わざわざ、大量の魔物達を誘い込む意味がわからない等の声が上がっている。騎士たちはハンター達のやり方は野蛮だ。まるで、獣のようだ。と。お互いのやり方が気に入らないらしい。
(ああ。本当に、どうしてこんな一大事だってのに人間どうしで争っているんですかね!あの人たちは! どうしよう。できれば、この事には関わってほしくはないけど、魔王を倒すには力が足りない。だから、勇者達には、レベルを上げてもらわないと…)
レベルを上げるには、ハンターになって魔物達を狩るのが一番手っ取り早い。騎士達は基本的に魔物達を狩らない。魔物が氾濫したときにしか出動しないのだ。
(たしか、100年前は40人全員が高レベルで、それでも、何人もの犠牲が出たって……。その当時の傭兵やハンター達も参加してたから、魔王と戦った人数は80人を超えていたって話だし。今回の人数で勝てるのかしら)
「マリア。おまたせしました」
「ローズ。おかえり」
「勇者達。まだ、お話しているんですね」
「ええ」
「下手に隠し事はしないほうがいいですよ」
「ローズ?」
「あの、アリスって娘。私のこと、観察してましたから」
「ローズを?まあ、いきなり投げ飛ばすわ、剣、抜くわで見られてもおかしくないんじゃないかしら?」
「たしかにそうなんですが……」
「私がいつ抜いてもいいようにですよ」
「それは……。あなたが抜いてもすぐに動けるように。という解釈でいいのかしら?」
「はい…」
「ありえないわ!だって、あの方たちは、無力な一般人だったと…。いえ、そうね……私達になにか隠しているのかもしれないわ。 気になることがあるの」
「気になること?」
「ええ。ローズ、数が少なすぎると思わない? いくら事故とはいえ、召喚は成功しているわ」
「たしかに、そうですね。それほどまでの、素質があるのでは?」
「そんなことありえるのかしら? それに、落ち着きすぎじゃないかしら」
ガチャッと扉が開けられた。
「姫様。もう大丈夫です。」
「もう、よろしいのですか?」
「はい。大丈夫です。」
「では、失礼しますね」
一言、断りを入れて部屋に入り、勇者様達の顔を見ると、決心がついたのだと思った。
「もう、ご相談はよろしいのですか?」
そう問いかけると、すぐに答えが帰ってきた
「ああ、大丈夫だ。俺達はあんたらと、魔王と戦ってやる。だが、条件がある」
いきなりの申し出。しかも、条件付きときたもんだ。
さすがに、いきなりすぎて、行動が止まった。




