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変化

本日、2話投稿します! 一話目!

 夜が明け、日が上り始めた。


「ふわぁ~。 ねむ…。 うん。大丈夫そうだね」


 ベッドの上で、布団に包まり丸くなって寝ている一葉の様子を見て、安心する。

 頭を撫でると、気持ちよさそうにしながら、手の方へすり寄ってきた。


「まだ早いし、起こしちゃ悪いね。 ちょっと、早いけど、朝ごはん作り始めようかな」


 食堂に向かい、食料の在庫を確認する。


「……パンが無い。 小麦粉はあるか…。 ベーキングパウダーは…無いけど、重曹はあるね。 ホットケーキでもつくるか」


 リンは、ベリーがお菓子作りで買っていた小麦粉を少し分けてもらう事にした。

 小麦粉と砂糖、塩と重曹を入れ、よく混ぜておく。

 牛乳に卵を入れて、よくかき混ぜた所に、先程の粉を入れて

大きくさっくり混ぜる。

 フライパンを中火でしばらく熱して、濡れ布巾で少し冷ます。  火の強さを弱火にして、フライパンの上に生地を流し込んでいくのだが、ここで、少し高い位置から流し込むと、綺麗な円状になる。

 プツプツと気泡が出来てきたら、一気にひっくり返し、2分ほど焼く。


 甘い匂いが部屋中している。 もしかしたら、寮全体に行き渡っているかもしれない。


 焼き上がった物を皿に乗せていると、食堂の戸が開かれた。


「…おはようございます。 リン先生」


「ラナ、おはよう」


「手伝います。 次は、おかずでいいですか?」


「うん、お願い。 たしか、ベーコンと卵があったから、ベーコンエッグにしようか。 私は、サラダとドレッシングを作るよ」


「わかりましたわ」


 2人で朝食を作っていると、次々と、起きてきた。


「誰か、一葉を起こしてきてくれない? 私の部屋にいるから。 あ、ベリー以外で」


「リンちゃん!?」

 

「先生をちゃん付けするな」


 リンがベリーの頭をチョップする。


「イタッ」


「あ、じゃあ、わたし行ってくるよ」


 レキがそう言って、リンの部屋に向かった。


「スゥ…。スゥ…」


 一葉は寝息を立てて、丸くなって寝ていた。


「おぅ…」

(かわいい! なに、この生き物!? あ、いかんいかん。起こさなきゃ)


「カズハく~ん? 朝だよ〜!」


 レキは、大きな声で一葉を呼びかける。



「んぅ…? あしゃ…?」


 一葉は、うっすらと目を開けて聞く。


「朝だよ」


「ぅ…ん~~。 起きる…」


 体を起こして、体を伸ばす。 立とうと足に力を入れると、転びそうになったから、四つん這いでベッドの上を移動する。


「ふわぁ~」


 ベッドから降りて、欠伸をしながら移動していく。


「あ、ちょっと! 寝ぼけながら移動しないで!」


 レキが、まだ、寝惚け眼なのに移動する一葉に注意した。


 一葉はよろよろと、ふらつきながら歩いて行く。


「あ、危ない!」


 レキが一葉の体を掴んだ。


「あ、ぅ?」


 なにがなんだか分かっていない一葉は戸惑っていた。


 一葉の眼の前には本棚があり、そこにぶつかりに行っていたのだ。


「もう! ちゃんと、起きてから歩かないと危ないよ!」


「ごめんなしゃい…」


「ほら、行くよ。 朝ごはんも、もう出来てるよ」


 一葉は、それでもまだ、完全に起きることは無く、ふらついていた。 その為、見かねたレキが、一葉の体を後ろから支えて食堂まで誘導していく。


「あ、レキ。 カズハは起き…てないね。 半分寝てるじゃん」


 朝食をテーブルに並べていたリンがレキと一葉に気付くが、一葉の様子を見て、呆れた。

 レキが一葉を椅子に座らせる。


「起きないね〜。 アクセル君達いつも、どうしてたのかな?」


「さあ? 引っ叩いてたとかかしら」


「さすがに…」


「それは…」


 ラナの一言に、ベリーと、レキは否定しようとするが、可能性としては、なくはないということで、言葉に詰まる。


「はいはい。 皆は、早くご飯食べて。 カズハは私がなんとかするわ」


 リンはパンパンと手を叩いて、ベリー達に朝食を食べるように言う。 そして、一葉を起こす為にどうするか考えることにした。


「そういえば…」


 ヘレネーが何か言っていた気がする。


(たしか、戦闘意志を示すだっけ? でも、これはカズハが、攻撃してくるかもしれないから最終手段って言ってた気がする。 あとは…)


「あ。 『起きろ、83号』」


 リンがそう言った瞬間、うつらうつらと船を漕いでいた一葉が、ピクッと震えた。 目もぱっちり開いている。 だが、顔は恐怖しているかのように真っ青で、少し息も荒い。


「起きた?」


 リンは、一風変わった一葉の様子が心配になって、覗き込む。


「リンお姉ちゃん? …え? で、でも…」


「大丈夫?」


 体は酷く震えている。 これは、尋常じゃ無い。 そう感じたリンは、一葉を後ろからそっと、抱きしめる。


「ぅん…。 リンお姉ちゃん?」


 一瞬、ビクッと体を強張らせたが、抱きしめているのがリンと理解すると、安心したのかすぐに力を抜いた。

 リンは、腕の力を緩めると、一葉の頭の上に手を置いて、ひと撫ですると、ご飯を食べるように言う。


 一葉は、おっかなびっくりカトラリーに手を伸ばし、ホットケーキに刺し入れていく。 周りをチラチラと気にしながら、口に運ぶ。

 その様子を見て、いつもの一葉じゃないと感じたベリーは、リンに小声で聞く。


「(リンちゃん。 カズハ君になんて言ったの? なんか、様子が、いつもとおかしいよ)」


「(ヘレネー、って言ってもわからないか。私の同期がマリア様付きの騎士だから、一時期カズハと一緒に暮らしてたんだけど、寝起きの悪いカズハの起こし方を聞いてたんだけど…)」


「(あきらかに、駄目な起こし方だったんじゃ…)」


「(だよね…。 今日、もう一回聞いてみるよ)」


「(私も、アクセル君達に聞いてみるね。 男子寄宿寮ではどうだったか)」


「(お願いね)」


 リンとベリーのやり取りに耳を傾けつつ、一葉の様子を伺っていたラナとレキは、一葉の手付きが危なっかしく、ハラハラと見守っていた。


 朝食を食べ終わり、みんなで歯を磨き、制服に着替えるためそれぞれの部屋に戻る。

 一葉は、リンの部屋に戻り、着替えた。


「じゃあ、行こうか」


 リンがそう声をかけると、一葉は、リンの後ろからしがみつき、不安そうに見上げる。


「どうしたの?」


 リンは、一葉の目線に合わせて聞く。


「あ、ぅ…」


 一葉は、言いづらそうに視線を彷徨わせた。


「もう! どうしたの?」


 少し、語気が強くなると、一葉の肩が跳ねた。 そして、目蓋に涙が溜まっていく。


「ええ!? ホントにどうしたの?」


 一葉は、リンにしがみつき、顔を押し付けた。 

 リンは、ため息をついて、一葉の頭を撫でる。


「どうする? 今日、休む?」


「(ふるふる)」


 一葉は、顔を横に振る事で答える。


 ドアをノックする音が聞こえ、返事をするとベリーがドアを開けた。 その後ろには、ラナとレキが不思議そうに待っていた。


「一葉君、どうしちゃったんですかね」


「分からない。 でも…すごく怯えてる。 ベリーか誰かにお願いしたいところだけど、駄目っぽいね」

 


 ベリーが部屋に入ってきて話しかけると、一葉はリンにしがみつく力が強くなった。


「ははは…」


 ベリーは、苦笑する。


 結局、一葉はリンにしがみつきながら、学園に行く。

 分かった事は、リンには気を許していて、ベリーとラナが近づくと、体を強張らせる。 レキは近付くのは問題無いが、触ろうとすると、サッと身を躱す。

 理由は、分からない。 


「着いたけど…みんな、カズハをお願いしたいんだけど…。無理かぁ」


 不安そうにリンを見上げながら、腰にしがみついていた。


「カズハ。 私は、これから職員会議でね、少し離れないといけないの。 だから、ベリー達に連れて行ってもらって」


 一葉の視線に合わせて、優しく言う。


「ぁ…ぅ…」


 一葉は、視線を彷徨わせ、オロオロとしだす。

 近づいても大丈夫なレキが一葉に近づいて、そっと、手を伸ばす。

 一葉に触れると一瞬、体を震わせたが、すぐに落ち着きを取り戻す。


「あ、大丈夫っぽい?」


「じゃあ、レキ。 お願い出来る?」


「はい! 2人も試してみる? 今ならいけるかも?」


「そう、だね」「そうですね」


 ベリーとラナも、少しずつ一葉に近づき、ゆっくり手を伸ばす。

 案の定、目をギュッと瞑り、体を強張らせるが、一度触れてしまえば、危険は無いと分かったのか、ゆっくり目を開ける。

 

 ベリーとラナも触れても大丈夫そうだから、リンは、3人に一葉を任せて、職員室に向かう。 

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