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命令

 いつも物事は突然動き出す。そして、その大半が自分自身に対して不幸な出来事だ。

 自分を取り囲むレジスタンスの隊員を見て、結城は不吉な未来を予感する。


「これは何の真似だ?」


 第21支部に所属している隊員を取り囲む本部所属の隊員達に向けて朝霧が剣吞な雰囲気を纏って問いかける。

 それには結城も同意できる。レジスタンスを裏切る気は欠片もないのだ。嫌われているのは分かってはいても、こんな扱いをされることは不服だった。


「動くな朝霧友梨、お前達第21支部所属のメンバーには反逆の疑いが掛かっている。大人しくして貰おう」

「反逆だと? 身に覚えがないな」

「それを決めるのは我々だ。疑いを晴らしたければ大人しくし、連行されるがいい」

「ちょ、ちょっと待て‼」


 隊員と朝霧が睨み合う中、アリマが声を上げる。


「第21支部所属のメンバーと言ったな? それはどういうことだッ。俺も入っているのか⁉」

「黙れ、静かにしろ」

「ふざけるなッ。そんな訳の分からないことでこの俺を拘束するつもりなのかッ。名前を言え‼ 司令官に言いつけてやる‼」

「チッうるさい餓鬼だ。おい——」


 隊長らしき男が隊員に指示を出すとアリマの近くにいた隊員がアリマの頭部を殴りつけ、大人しくさせる。


「ッ——こ、こんなことして」

「黙れ、次は腕をへし折るぞ。お前達もだ。血を流したくなければ我々に従え。そこのアバズレ共を暴れさせようが無駄だ。こちらにはお前達を拘束するためのそれ相応の準備がある」

「うっす、了解しました。大人しくします」


 真っ先に両手を上げて降参をしたのは加賀だ。

 抵抗することも、拘束されることに不満を抱くこともなく自分の命を優先した加賀に結城が冷めた視線を送った。


「ふん、他の奴等はどうだ? 抵抗するのか?」

「……いえ、そんなことはしませんよ。皆さんも抵抗しないように」

「賢い選択だな。全員に手錠を掛けろ」


 手錠を掛けられながらも赤羽は穏やかに問いかける。


「私達が疑いを掛けられた理由ぐらい教えて頂いてもよろしいですか?」

「ふん、それについては司令官が直々にお話になる。精々言い訳を考えておくんだな。連れていけ」


 司令官に会う。

 その言葉に結城は体をビクリと震わせる。

 戦う力はないものの内側に秘めた感情だけで結城に恐怖を抱かせた男。そんな所に連れていかれる。そう思うだけで足がすくんだ。


「おい、さっさと歩けッ」


 止まりかけた足が、後ろから押し付けられた銃口によって再度進む。

 これからどうなってしまうのか。ここにいない北條はどうなっているのか。裏切りとは一体何なのか。

 暗い未来を予感して結城は地下を通り、本部へと連行された。


 そこで結城は自分の予感が正しかったと知る。

 綾部から告げられたことは主に2つ。


 第21支部に所属していた仲間——北條一馬の正体が吸血鬼だと言うこと。そして、第21支部の面々に対し、裏切っていない証拠として北條一馬の処分することだった。

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