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第5話 はいはい、テンプレテンプレ

   ◆◆◆


 腹ごしらえを終えた俺達は、ウォーターホースを預けて星天アクアリウムのある建物へと入っていった。


 ここにはアクアリウムだけでなく、様々な水に関する実験や、アクアキアの構造、イライザが如何にしてこの都市を作ったかが展示されている。


 だが、中でも目玉と言えば、やはり星天アクアリウムだろう。


 今俺達は、複数のグループと共に、水の入っていない円形状のプールの底に座っていた。


 このプールが、星天アクアリウムの本体だ。


「いよいよなのだわ……!」


「わくわく、どきどき」


『期待が高まるのじゃ……!』


 こう言ったアトラクションは人生で初めてだが……結構緊張するな。


 と、俺の緊張を察したのか、ミケが俺の手を握って来た。


「大丈夫よ、タナト。ここの水は特殊な水で、中で息することが出来るから。濡れた体は、水の外に出ると一瞬で乾くわ」


 そ、そうなのか……《虚空の生け簀》にある水と同じ感じなのか……?


 待っていると、まるで天女の羽衣のような衣装を着た女性が、空中を飛ぶように現れた。


『皆様、本日は星天アクアリウムへお越しくださり、誠にありがとうございます。アクアリウムの中は他のお客様もおりますので、遊泳は禁止とさせて頂きます。それでは、これより二〇分間、星空の旅をご堪能ください!』


 パチンッ。女性が指を弾く。


「おぼっ……!?」


 こ、これっ、水……!? 空のプールを、魔法で一気に満杯にしたのか……!?


「落ち着いて、タナト。目を開けて、ゆっくり息を吸うの」


 ミケの声が異様によく聞こえる。


 こ、こう、か……?


 ……あ、息出来る。不思議だ……。


 ゆっくり、目を、開ける、と……。


「……ぉ……おおおっ……!?」


 なんっじゃこりゃ……。


 底なしの暗闇の中、上下左右に散りばめられているのは、宝石を思わせる……無数の星々。


 どこからともなく現れる、色鮮やかな魚の群れ。


 なるほど、これが星天アクアリウム……今俺達は、宇宙空間で魚達と共に泳いでる……!


「すげ……」


「ホログラムって言うらしいわ。でも、ここまで来ると本物の宇宙だって言われても信じちゃいそうね」


 俺の隣でミケが呟く。


 確かにな……俺は今、宇宙にいるんだ……。


「ふわふわ、ぷかぷか」


「お姉ちゃん、泳ぐのだわ!」


「んっ」


『こ、こりゃ二人共っ、泳いでは──』


 見ると、二人は自由自在に擬似宇宙空間を泳ぐ。


 二人の笑顔や、神聖な雰囲気、陰と陽の対極のような髪色で……満天の星々に負けない、女神のような美しさを振り撒いている。


 周囲の人達も、星空ではなく二人の美しさに見とれていた。


「ふふふ。楽しそうね、二人共」


「……ああ。そうだな」


 イライザの作った晴天アクアリウムはもうない。


 だが、その意志を継いで、星天アクアリウムは現存する。


 イライザには、感謝してもしきれないな……。


『……ぁっ。お、お客様っ、危険ですので館内で泳ぐのはお止め下さいっ』


 今まで惚けていたスタッフの人が、慌てたように二人を止める。


「「あ……ごめんなさーい」」


 二人も我に返って、俺達の方へ泳いで来ると、俺の首周りに抱き着いてきた。


「タナトっ、タナトっ! ここすっごい楽しい……!」


「お兄ちゃん、お兄ちゃん! 青空のアクアリウムもいいけど、星空も凄いのだわ!」


「そうかそうか。でも、ちょっと静かにな」


 俺の鼓膜が破れる。


「「あーいっ」」


   ◆◆◆


「いやー、楽しかったなぁ……!」


 星天アクアリウムから外に出て、俺達は今暖かいお茶を飲みながら水団子を食べていた。


 まさか、ここまでのものだとは思わなかった……満足満足っ。もう帰って寝たい。


「やっぱり何度来てもいいわね、ここは」


「ああ。ミケとイーラのオススメするだけあって、いいアトラクションだった」


 これなら二人の力を使えば、《虚空の生け簀》に再現できそうだな。今度頼んでみよ。


『──むっ。全員、気を付けよ。悪意をもった男達が近付いてくる』


 え? 悪意?


 見ると、ゲスな笑みを浮かべた五人組の男達が俺達の方に近付いてきた。


 あぁー……この先の展開、予想つくなぁ……。


「おいおい、可愛い子ちゃんばっかじゃねーか」

「ハーレムで羨ましいねぇ」

「そんな優男じゃなくて、俺達と遊ぼうぜ?」

「俺達楽しい場所知ってんだよ」

「兄ちゃん、その子達置いて失せな。俺達が遊んでやるからよ。ギャハハハハハ!」


 はいはい、テンプレテンプレ。

読んでいただきありがとうございます。

ブクマ、評価のほどよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] エヴ○ンゲリオン好きそう。擬似とか呼吸できる水もどきみたいなのとか
[良い点] 面白く一気に読んでしまいました これからも更新頑張ってください 応援しています
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