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第五夜

Qショットガンを手に入れたら何しよう

「……はぁ、はぁ」


目が覚める。


さっきと同じ布団の中。


わかってる。眠れないんじゃない。


起きれないんだ。


体感ではもう既に数回、認識できなかった回も含めれば更にもう何回か、俺はこの夢の中をループしてる。


いや、ループしているというのは正確じゃないのか?


俺は眠気と恐怖で震えた脳で考える。


毎回起点は布団の中で寝れないと思う所からだ。けど、終点は?多分この夢は俺の死をトリガーに次の夢に移行している。同じところをぐるぐる回る、と言うよりは起点と終点が同じなだけで、夢の内容自体は毎回異なっている。


俺はこの悪夢から抜け出したい一心で必死に考える。


俺の考察が正しければ、俺は確実に殺される。


悪魔か、エイリアンか、深淵か、はたまた違う何かか。


もう殺されるのはごめんだとばかりに俺は頭を振る。


ゴツン。


振った頭が、なにか硬質な物にぶつかる。俺は頭に手をやると、その何かを掴んだ。


「……そういう事か」


俺はその手に拳銃を掴みながらそう言った。


きっとマガジンに入ってる弾は一発だけ。そんなことは見なくてもわかった。


「さすがにこれは……」


安易過ぎないか?


確かに死ねば確実にこの回からは出られる。けど、だからと言って起きられるとは限らないのだ。それに万に一つこれが、本当に万に一つの確率でこれが夢じゃなかったら、という考えが頭をよぎる。却下だ。俺は銃を布団に置く。


しかし、こうも考えられる。


この夢は確実に俺の死を起点に次の回へとジャンプしている。しかし、もしかしたら死に方にも条件があるのでは?もっと厳密に言えば、『死ぬ』のがトリガーなのではなく『殺される』のがトリガーなら?もしそうでなくても、このループがある程度記憶を引き継げる以上、長期戦覚悟で夢から覚める条件を探るために、これを使うべきじゃないのか?


俺はもう一度、その拳銃を手に取る。


そうだ、もしかしたらこれ以上死ななくても良くなるかもしれないんだし、これを使わなければ別の死に方をするだけかもしれないじゃないか。


俺は銃口を頭に押し付ける。


引き金に手を伸ばす。


脳内に早く、早く、という言葉が木霊する。


何分だったろう。痛い程の静寂の中で、俺は硬い引き金に掛けた指に力を込めた。


ようやく解放される。


そう思った刹那だった。


不正解。


ふと、闇の中からそう言われた気がして。


炸裂音とともに俺の視界は暗転した。



A、弾は一発しかいらない

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