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六話 掃討

割と普通に死人が出ます…

残酷…ってほどではないかもしれませんが苦手な方は御遠慮くださいm(*_ _)m

三日後…


二十二時半…煉と大空、大地は黒豹がアジトとしている廃ビルの近くに来ていた。


「とりあえず俺はここをやる。大地と煉は地下にいけ。そっちには黒豹を支援しているヤクザが大勢いるはずだ。今日は宴会らしいからな。」


「「了解。」」


二人が頷き、無線を付ける。


「何かあったら携帯鳴らせ。出るとは限らないけど。」


「大空こそ。何かあったら地下に来いよ。助けてやる。」


「大地の足引っ張るなよ?」


「分かってるっての。」


そこに凛花の姿が無いことを煉は少し気にしていたが、滞りなく進む打ち合わせに思考を切替える。


「さて、と。じゃあ行きますか。」


大空の一声で煉と大地は頷いた。


一見するとただの廃ビルだが、出入りは監視がいる狭い裏口一つ。


まずはそこの見張りをしている十七~八歳くらいの男二人を声も出す間も与えずにナイフで刺し殺す。


煉と大地が上手く支え、倒れる音すらしない。


入ってすぐは真っ暗で人気がなさそうだが、奥に行けば約二十人の未成年が居ることが確認されている。


地下にはヤクザが十五人。全員拳銃所持。


そしてその護衛に子どもが三十人。こちらはナイフや包丁など、全員凶器を持っている上、武道経験者。


上の階には各階に五人ずつネットに精通した子どもが資金稼ぎのために他人の銀行から引き落としをしているらしい。


一階は十五人、地下は四十五人、二階以上には十五人、計七十人の殺害が今日の仕事だ。


三人は足音を立てずに奥へ進み、影に身を隠しながら階段のある奥の空間に向かう。


そこでは十五人の男女が酒や薬を片手に騒いでいる。


「これなら楽勝だな。」


大空が合図すると、煉と大地は口元と鼻を布で覆った。


すると大空がビー玉くらいの大きさの金属製の小さな玉を取り出した。


それを押して、気付かれないように室内に転がす。


「あ?なんだこれ?」


すぐにそれに気づいた一人はその玉に手を伸ばす。


だが、ふらついて触れられない。


「お前酔いすぎだろ~少し休めよ!」


仲間の一人が酔いと勘違いし、ふらついた男に近付くと、同様にふらついて、立てなくなってしまった。


「さすが…効果覿面だな…」


煉が感心したように呟く。


さっき大空が投げ入れたのは組織が開発した睡眠効果のある無償無臭の気体が入った玉。


小さくなっており、一見ビー玉と変わらないため、何気なく踏む者や手を伸ばす者も多いが、踏んでも壊れないような丈夫な素材で作られている上、スイッチを押すと、目には見えないが、物凄い勢いで強力な睡眠ガスが放射される。


これくらいの部屋なら、一分あれば全員が意識を失うだろう。


そして持続時間は最低三時間として作られている。麻薬系の薬を常飲していれば尚効きやすくなるという代物だ。


そして全員が眠りに落ちると、階段から大空は上に、煉と大地は下に向かった。


そしてその際に一階に大地がさっきのとは違う色の玉を置いていく。


ここにいる全員も抹殺対象だが、いちいち殺していては時間がかかる。有害物質を置いていくのもいいが、ここは自分達が脱出する時にも使うルート。毒にやられるなんてことは無いが、万が一を想定し、出来れば毒などは残しておきたくはない。

そんな時にのよく使われるのがこれだ。

この玉から発生する気体にはアルコールを分解出来なくする物質が含まれている。

組織が開発したもので、急性アルコール中毒を誘発する薬物。

少量のアルコールや酒に強い者すら急性アルコール中毒を引き起こすほどアルコールの吸収を促すものだ。

これならアルコールを摂取していない自分達には無害だから帰りも安全だ。


大空は静かに急いで二階に上がり、明かりのつく部屋を覗き込む。


そこでは五人の少年がテーブルに向かい、わいわい話しながらパソコンを見ている。


幸いその部屋にドアは無く、手前の少年二人にナイフを投げると同時に動く。


そしてテーブルの上に乗り、残りの三人を大きめの鋭いナイフで殺す。


パソコンに集中していたせいか、反応がかなり遅れた少年達は叫ぶことも抵抗する事も出来ぬまま事切れた。


絶命を確認すると、刺さったナイフはそのままに、愛用のナイフの血を拭き、上の階へ向かった。





一方煉と大地は広い地下ホールに来ていた。


階段の所には見張りの男が二人。未成年だ。


気配を消して、大地が背後から首をぐさりといき、宴会会場に向かった。


まず辿り着いた部屋には未成年しかおらず、その奥の部屋で宴会をしているものと思われた。


だが、未成年達は険しい顔で神経を研ぎ澄ませ、周囲を警戒している。


こんな状態では暗殺は難しい。


煉は刀を、大地は懐から多種多様の球体の入った袋を取り出した。


合図と共に二人は室内に飛び込む。


真っ先に手近にいた二人を煉が斬り、奥にいた2人に向かって大地が球体を投付ける。


球体が彼らの顔に当たり、弾けると、バタッと倒れる。


「なんだ!?」


「侵入者か!?」


四人が倒れた事でようやく侵入者の存在を認識した彼らは各自、ナイフや包丁、釘バットやメリケンサックを取り出す。


武道経験があったり、人を殺したこともあるような未成年でもそれを生業とする煉と大地から見れば半人前…いや、それ以下だ。


二人ほどは奥で宴会をしている大人に知らせに行かせたのか、その場には二十四人しかいなかった。


少年少女は煉や大地に向かって複数人で襲いかかってくるが、それをかわすと同時に斬り、斬り、斬っていく煉。


そして一定の距離を保ったまま球体を的確に顔面にヒットさせ、倒れさせていく大地。


「あの球体なんだ!?危険だ!顔を隠せ!」


一人がそう叫ぶと同時にその少年の体は後方に吹っ飛んだ。


大地が殴ったのだ。


その手にはメリケンサックのような金属の棘が付いた指なしのグローブがあった。


吹っ飛んだ少年の顔は抉れており、顔が血まみれで意識が無かった。


「顔を隠すなよ?殴られるぜ?」


鋭い棘は容易く皮膚を抉る凶器で、離れれば球体が、近付けば拳が飛んでくる恐怖を与えた。


恐れをなした少女たちはすぐに逃げ出し、その背中を煉が叩き斬る。


ヤケになり挑んできた少年達は拳でなぎ倒す。


統制の取れていない子どもの集まりなど、たとえ同年代だとしても煉と大地の敵ではない。


「相変わらずえぐいな、それ。」


煉が刀の血を拭きながら声をかける。


「あぁ。これか?まあこいつの切れ味は最高だな。棘の角度から素材まで徹底的にこだわり抜いて作ったからな。」


「薬物とその特注グローブは逃げようがねぇだろ。」


「遠距離近距離どちらでも対応出来るぜ?」


「お前とだけは戦いたくねぇわ。…ところでこいつら死んでんの?」


煉は大地の投げた球体を受け、倒れた少年達を見て問いかける。


「あー…即効性のある強力な催眠ガスだからな…普通に飲めば一生目覚めないと思うけど…至近距離とはいえ口から吸っただけだからな…これで死んでくれるかはちょっと微妙だ。」


「なるほどな。じゃあ実験も兼ねてこのまま放置していくか?」


「それもアリだな。それとあとは…」


大地はグローブで殴った少年達に目を向ける。


「これはどう見ても気絶だな。」


「さすがにこれで殺すのには無理があるよなぁ…」


大地はもどかしそうに呟いた。


「頭蓋骨骨折とかしてるんじゃないか?」


「するか?俺の拳で?」


「お前の拳は大分やばいからな?」


「もっと強くなりてぇよ」


大地はそう言いながらナイフで喉元を掻っ切った。


するとそこに騒ぎを耳にした男が一人現れた。


大方騒がしいから見てこい、とでも言われた下っ端だろう。


その凄惨な光景を目にし、すぐさま銃を取り出すが、その瞬間大地の拳と煉の刀が襲いかかった。





一方大空も全員殺害し、ナイフの血をを拭いていた。


ふと何かの音が聞こえ、耳を澄ますと、屋上で何か金属がぶつかる音が聞こえた。


だが、最上階から屋上に上がる梯子は壊れていて使えないし、屋上の扉も南京錠と鎖があってそう簡単には行けない。


不思議に思って窓の外を見ると、一瞬、下からでもわかるほどの大きな炎が上がり、次の瞬間、人影が落ちていった。


女…?と思われるような人影で、下の路地裏まで一直線に落ちていった。


「なんだ………?」


上で誰かが落とした?にしてもあの炎は一体…


大空は疑念を胸にしながらも、大地と煉との、ヤクザ殲滅の時間が迫っていたため、急いで下に降りた。




「大地、煉」


大空が地下に辿り着くと、煉と大地がちょうど殲滅を終えたところだった。


「ちょうどいい所に。」


三人が武器を構えて奥の部屋へ進むと、背後から不穏な気配を感じ、振り返るとそこには血塗れの骨女がいた。


その手には鋭いナイフがあった。


煉が咄嗟にそのナイフを弾こうとした瞬間、骨女の首が飛んだ。


「あ~あ。まだ生きてたんですね。しぶといなぁ。さすが骨女。丈夫ですね。」


その聞き慣れた声の方に視線を向けると、そこには鎖鎌を片手に凛花が立っていた。


「お前っ…なんで!?」


「もしかして…さっきの屋上のはアンタの仕業か?」


「えぇ、そうですよ。先日襲ってきた刺客がいたので、そちらの始末を優先させて頂きました。意外としぶとかったですね。」


足元の肉塊と化した骨女を見て、笑顔で零した。


大空は警戒して凛花にナイフを向ける。


「私にナイフを向けますか?ふふ、いいですよ。」


凛花も動じることなく楽しげに笑う。


「あぁ、でもこれだけ騒いでるんです。向こうの方々ももうすぐこちらに来るのではないですか?」


「……確かにそうだな。だがそれよりも俺はアンタの方が怪しいと思えてならない。」


そんな敵意丸出しの殺気にも全く怯まず、それどころか殺気で返してみせた凛花。


「……お前、無茶するな!」


煉が止めに入ると、凛花は笑った。


「大丈夫ですって。そんなに心配なら先に帰ってて下さい。ここは私一人でもなんとかなる案件ですから。」


凛花はのんびりと奥に向かって歩き出した。


すると凛花は急にその場から飛んだ。足元には鋭いナイフが刺さっている。


「………私が気に食わないのは分かりますが、それなら後で御相手致しますから、今は目先の敵の始末が優先されるかと…」


冷ややかな声で凛花が言った。


だがそれでもナイフを収めない大空を見て、溜息を着いた。


「煉君、大地さん、お二人で向こうのヤクザ、一掃して頂いて宜しいですか?どうやら私は行かせて貰えないみたいなので。」


こんな状況でもにこやかに話す凛花に大地は不信感を隠さない。


「兄貴……」


「任せたぞ。」


大地が大空を見ると、大空が頷き、大地も頷いた。


そして煉と共に奥へ行った。


「さて、と、それじゃあ大人しく俺と手合わせ願おうか?」


「面倒ですけどこうなっては仕方ないですね。」


凛花も鎖鎌を構えた。

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