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いち












「ジュド様ったら今日も凛々しい」


「うふふ、ジュド様は素敵よね。」


「お顔はもちろん、とても紳士的で!」


「アレさえなければねぇ…」


「何言ってるの!アレがあるからジュド様はみんなのジュド様なんじゃない!」


「まぁ、それはそうなんだけどね!」








きゃっきゃうふふな昼下がり。

良い所のご令嬢方が庭園でお茶会をしている。様々な花が色とりどりに咲き誇り、それでいて計算されつくされたそれらが生み出す色彩の調和は見るものを癒してくれる、そんな素敵すぎるお庭。






話題は才色兼備、文武両道と名高い若手近衛兵のジュド・ミラルダのことばかり。

端正な顔立ち。キリリとした黒い瞳、前髪に少しかかるほどの黒髪がアンニュイな雰囲気を醸し出してるとか出してないとか…。





むさ苦しい兵士の中でも精鋭揃いな近衛兵たちはただでさえ老若男女から人気が高い。その上顔も良くて独身、彼女なしじゃあ人気が集まってしまうのも当然というものだった。



「君の友人殿はえらく人気のようだね」



眼下に広がる素晴らしい庭から聞こえてくる乙女達の会話を聞いたその人は私に向かってからかうように話しかけてきた。



「私にはわかりかねます。」



興味なし、とばかりにバッサリと切り返す。

だって本当に興味ないもの。

それよりも私には使命がある。

このサボリ魔の皇太子に次のスケジュール告げ、またそれを速やかに実行させなければならない。たかだか一近衛兵がモテてる話などどうでもいい。



「殿下、次のスケジュールは半刻後に留学で来られる隣国の王子との__…









そう、私はこの国の皇太子の側近だ。








とんでもない、本当にとんでもないド田舎に生まれ育ったド田舎期待の星として生まれ育ってきた。

村のみんなに育てられ、寄付を募って“私たち”は学校に行かせてもらえた。



そう、“私たち”である。

ド田舎に生まれ育ったもう一人の期待の星。ジュド・ミラルダだ。

私と今話題でモッテモテのあいつは出身と育った環境が同じというだけの赤の他人である。幼馴染とか言う人もいるけれど、あの環境じゃ関わらないという方が無理がある。






今でも仲が良いかって?





そんなの…__








「良くも悪くもないわよ!」



ドンっと机にジョッキグラスを乱暴に置く。

仕事終わりのお酒の美味さは何にも代えがたい。おつまみの小皿を数種類頼み、ジョッキグラスでかっ喰らうという村のみんなに見られたらお説教されそうなシュチュエーションだが遠く離れた城仕えの身。独身一人暮らし。なんの気兼ねもなかった。




「また乱暴に…なんの話だよ。何が良くも悪くもないんだ?側近様よ。」



呆れるようにこちらを見てくるのは何を隠そうみんなの心の恋人(?)ジュド・ミラルダ殿である。




「何が側近様よ!まったくアンタ一人で酒場来られないなら部屋で飲みなさいよ…」

「嫌だよ、お前いないと落ち着いて酒飲めないじゃん。」

「こんな大衆酒場なら大丈夫でしょ、同僚さんと飲めばいいのにまったく…」

「奢りなんだしいいじゃないか」

「それはありがとうございます!」

「お前素直だよな…」



呆れながら、また突っ込まれながらおつまみを食べる。

毎度のことだ。




ジュドは確かにイケメンだ。

性格もいい。

近衛兵としても優秀だし、うちの殿下からの信頼も厚い。

女にもモテる。

子供にも優しい。

ただ、彼にはアレルギーがあった。





自称“女性アレルギー”





バカか、としか言えない。

村には若い娘なんて私以外いなくて、さらにいえば私にしたって当時村を出る前なんて幼いの領域。

都会に来て出会った女の子たちというのはまさに新種の生物だった。





まぁ、簡単に言ってしまえば免疫がないってこと。




村を出てすぐも彼は近衛兵になるための全寮制、女人禁制の学校にいた。周りは筋骨隆々の男たちばかり。

女性という生き物についてセンパイ方から話は聞いたらしいが聞いただけで顔を真っ赤にさせるほどの重症。

女性が自分のパーソナルスペースに入り込もうものなら真っ赤になって気絶することも周知の事実だった。

実際城に仕えるまで女性との関わりがなかったのだからまぁ仕方ないと言えば仕方ない。



バカみたいに強いクセにアホかと言いたくなる。



そして皆さんお気づきだろうか…




「ジュド様よ、アンタが私とお酒飲んでること自体が私に失礼ってこと覚えとけよ?」




どうやら奴にとって成長したはずの私は女性ではないらしい。














いろいろ書き置いたものを投下していきたいな、と。

連載終わらせられない病患者ですな。

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