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転生の光

キーンコーンカーンコーン


ホームルームの終了を知らせるチャイムが鳴り生徒達は教室から出ていく。


部活動、帰宅をする彼らの中でたった1人私は教室の机上に座っていた。


(私には友達がいない……。)


教室から夕焼けの光を見て思い出す一ヶ月前。私はあの時親友と共に家に帰る途中だった。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「そう言えば聖奈は学校前のアイスクリーム屋さん行った?」


「行った行った!あそこのストロベリーが超美味しかった!!」


「だよねだよね!!」


夕日が私達を照らしながら、いつものように仲良く二人で帰っていた。いつもの角をまがりいつもの信号の前に立つ。ちらっと足元をみると靴紐が解けていた。


「あ、靴紐解けちゃったから先に行ってていいよ!」


「オッケー!」


そう言って彼女は先に横断歩道を渡ったその時だった。


キキィィィィー!!!!という不協和音と共に何がぶつかる鈍い音。


私は靴紐から目線を変えた。目の前には大型トラックがガードレールにぶつかっており近くに誰かが倒れている。見たことのある服、見たことのある髪型。それは紛れもない親友であった。


急いで駆け寄る私だが目の前にはピクリとも動かない親友。そしてコップからこぼしたかのように赤い液体が彼女の服を染めていた。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


気がつくと私はあの時の横断歩道にいた。あまりにものショックであの後の事。そして親友の名前すら忘れてしまった私は毎日横断歩道を通って泣くことが日課だった。


「おねーちゃんなんで泣いてるの?」


ふと、声をかけられて振り向くと小学生の男の子がボールを持って不思議そうに私に話しかけていた。すこし間を取ってから私は返事をする。


「……辛いことを思い出すんだ。」


暗い暗い思い出。おそらく一生残るだろう記憶。私にも何か出来たのではと彼女への懺悔の思いでいっぱいだった。


「この前のおねーちゃんが消えちゃった事?」


「そう……。私はあの子の名前すら思い出せない。あの子の葬式すら顔を出せてない……。」


少年は続けるように私に質問をする。


「そーしきって死んだらやるやつ?」


「死んだらって……まぁ、そうね。死者を弔うために───


無垢な子供だと思っていた。しかし少年は私に驚くような事を言う。


「でもおねーちゃん死んでなかったよ?」


「そうね、死んでなか……えっ?」


「おねーちゃんがぱぁー!って光の中に消えちゃったの覚えてないの?」


「ちょっとそれどういうこと!?詳しく教えて!!」


近くのコンビニでアイスを買い少年がさっきまで遊んでいたという公園に行き少年は私に語った。あの日の事件の時に近くから見ていたと。血を流し意識のない女の人が私が泣いている横で光に包まれて行く所を見たという。しばらくして私は気絶しその後警察が来て少年は現場近くから離されたと語った。


(光に包まれたって、一体どういう事なの……。)


「おねーちゃんアイスありがとう!!」


少年はアイスをぺろりと平らげて私に礼を言う。するとボールを持ち「バイバーイ」といいながら公園から去って行った。


公園に1人きり、私はまた一人ぼっちになってしまった。暗い世界に置き去りにされ、友と呼べるものはもういない。私は公園前の自販機に行き好物のぶどうジュースを買おうとしたその時、後ろから何者かが私に何かを突き刺した。


痛い。私に何があったのだろう。地に伏せた私はしばらくしてから見たことのある顔の人間が私の背中に刺さった何かを引き抜いた。


「これで……これで俺は無罪だよな……無実だよな!?」


言葉からしておそらくトラックの運転手だろう。挙動不審な人間は手元にある包丁をカバンにしまうと一目散に逃げて行った。


(私は結局、暗い世界にいるんだ。今までも……これからも……。)


意識が薄れていく中で私の周りを光が包むような気がした。

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