忘れられない夏が始まる
「ショウ遊びにきたよ」
「待ってたよ。上がってくれ」
「やっぱり、この家だったんだ」
「どういうことなんだ」
「去年まで同級生が住んでいたんだよ。だけど夏休み中に引っ越しして転校してしまった」
「そんなことがあったんだ」
「あの建て増しした部屋に兄弟で使っていたな。何しろ三兄弟だったから」
「あそこは今父ちゃんと母ちゃんの寝室になっているからな。俺の部屋は入ってすぐの六畳だ。ファミコンやろうぜ」
「いいよな1人っ子、は俺なんて三人で六畳だぞ」
確かに住環境はいいかもしれない。
夏だがなエアコンは効いているし快適だ。
母ちゃんがスイカを出してくれて、よく遊んだ。
二三日してまたケンタが遊びにきた。何だ背の高い男の子と一緒だ。
「ショウ、このお兄ちゃんも二学期からうちの小学校に転校して来るんだって。六年生だよ」
「よろしくな。自己紹介しょうぜ。俺はリュウだ。漢字は難しい方の龍だ」
「知ってるよ。横線が多くてたわしみたいな字だろう」
「言い過ぎだろう俺の名前だぞ」
「俺はケンタだ。よろしくね」
「俺はショウ。昭和の昭と書いてショウと読むんだよ」
それから三人でゲームをやったのだけれど、リュウはあまりゲームが好きではないようだ。
二日後にまたケンタとリュウはやって来た。
リュウが言う。「君たちは大変に不健康だ。今日は庭の草取りをする」
「何で、それは母ちゃんの仕事でしょ」
「ショウお前の母ちゃん具合が悪いのがわからないのかよ」
ケンタも言う。「初めて会った時より痩せてるし、顔色も悪いよ。お父さんに連絡した方がいいよ」
そんなこと言われたって。
母ちゃんが具合が悪いなんてありえない世界なのですけど。
今年の夏はゲームの嫌いなリュウのおかげで川に行ったり山に行ったりで真っ黒に日焼けした。