ギルドに行ってみよう!
初めて自分が異常だって気付いた時、まず擬態することを覚えた。
擬態するためにまずはクラスメイトを観察した。
どんなテレビを見て、どんな会話をして、どんな服を着るか。
髪型、口調、話す速さ。
事細かくメモをとってはトライアンドエラーを行った。
まあ、それでも結局は途中でめんどくさくなって人と関わることを諦め、ぼっちの生活に入っていったわけだが…
この異世界に入って、僕は必死で人間観察を行った。
この世界がどんな世界なのか。
どんな施設があるのか、どんな常識で動いているのか。
異世界だってんなら、魔法はあるのか、魔物は出るのか。
人間観察を行う間、僕は乞食の格好をした。
まあ、薄着になって、泥をかぶっただけなんだけど。
一応補足すると、僕がこの世界に来た時は見覚えのない格好をしていたんだけど、観察の結果、この世界における一般的な格好であることがわかった。
砂漠の気候に合わせた、薄い、そして全身を包むような格好。
乞食をしている間、何人かに怪訝な顔をされたけど、考えれば標準的な体つきではあるけど、そこそこ肉が付いているような僕が乞食をしているのもおかしかったんだろう。
まあ、いろいろあったけどなんとか多くの情報が集まった。
情報はどこの世界でも価値の高いものだ。
知らない方がいいものがあるとか言うけど、僕は身の回りに起こることに関しての情報なら貪欲なまでに集めた方がいいと考える人間だ。
と、いうわけで、とりあえずわかったことをまとめたいと思う。
一つ、ここはステア大陸という場所にある最も大きな都市、ラクラ王国
一つ、魔法あり、魔物ありの王道ファンタジー
一つ、魔法を使うには魔力が必要で、これは生命力とも言える。つまり、誰もが持っているということ。
一つ、この世界には冒険者ギルドなるものが存在するらしいけど、ある一定以上のステータスがないと登録できないらしい。
と、いうわけで、やってまいりました冒険者ギルド受付。
ここで魔力測定や身体測定をしてもらえるらしい。
「では、次の方ー」
「あ、はーい」
前日には近くにあった川に行って、きちんと体とか服とか洗ったからそこそこ清潔なはず…?
「では、まず魔力測定を行いますので、この装置の上に手をかざしてください」
受け付けにいる綺麗なお姉さんの指示をきちんと聞きます。
「えっと、ふーむ、まあ、まあまあですね…」
…普通らしい
でも魔力があることはわかったんだ。
一瞬、異世界人だからもしかしたらないかもなんて考えたけど杞憂に終わった。
その後もなんだかんだ体力測定も行って、今は受付前のソファーで、名前が呼ばれるのを待っている。
(ふと思ったけど、なんかこれ日本の健康診断とあんま変わらない気がするな…)
「柊健太さーん、3番テーブルまで来てください」
トコトコと3番テーブルまで行くと、先ほどの受付のお姉さんが一枚のカードを持って待っていた。
「えー。おめでとうございます、柊さん、あなたは無事適性検査をクリアされたので、ギルドカードが発行されました。
これから大切な説明をしますので、聞き逃さないようにしてくださいね。
えっと、まずこのカードなんですが、これにはあなたの身分を証明する機能がありますが、あくまでそれはギルド内で飲み使えるものとなります。
まえ、基本的にギルドメンバーである事の証明書と思ってもらって結構 です。
ただこれをなくされると再発行には多額のお金がかかりますので注意してくださいね。
次に依頼の受領方法についてです。
あちらの掲示板をご覧になってもらえるとわかりますが、基本的に依頼書はあそこに張り出されることになります。
しかし、すべてのギルドメンバーが文字が読めるわけではないので、代わりに私たち受付嬢が読むこともできます。
あ、ちなみにこれは有料ですね。一回につき銅貨一枚になります。
だいたいのところはこんなところでしょうか。
わからないことなどがありましたら、遠慮なく私たちに声をかけてください」
…なっげー。
ちなみにこの後にもまた似たような説明とかされたんだけど、正直重要そうなことでもなかったので、聞き流すことにした。
とりあえず初回ということで代読を無料でしてもらって、初心者向けの簡単な依頼を幾つか見繕ってもらうことにした。
ちなみに、この世界ではギルドランクに値するものはないらしいが、あまりにその人に合わないと思われる依頼はギルドはあまり紹介してくれないらしい。
とりあえず、請け負った依頼はこんなところ。
~手紙を届けて~
隣町へ手紙を届けてくれる人を募集しています。
詳しい話はラクラ王国東、ミル教会まで。
~薬草を集めて~
街の郊外にある草原で取れる薬草を探しています。
今回使うのは鮮度が大切なので、その日に撮れたものを直接私のところに持ってきてください。
詳しくは商店街真ん中、ミトリ薬局まで