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え、これまじで?

銅像があった扉の先はそれはもうひどいものだったりした。


一歩踏み間違えればマグマの底に真っ逆さま。


一歩後ろからは鬼か婆が棍棒または包丁を振りかざして追いかけてくる。


一歩まえにはその見えない落とし穴が口を広げていた。



まあ、多分あれ、何回も死んでましたね。


腸を何度もほじくり返され、足からどんどんと溶けていく感覚を何度も味わいました。


え、じゃあなんで今も生きてるかって?


…だってこれ、ゆめ、ですよね?


死んだ、そう思う度にいつの間にか扉のところで、振り出しになってしまっていた。


途中、何度も押し寄せるあまりにもリアルな死の感覚に思わず悲鳴をあげそうになったけど、まあ、そこはほら。


死にそうになってる時はまずもう叫ぶことすらできませんでしたから…


まあ、そんなこんなでいろいろあってとうとうこの試練の最後まで僕は辿り着いたわけですよ。


僕、超頑張った…!


最後にあった扉を開けるとそこには街があった。


うん、街があ、あった。


街が、あった。


って、街があったーーーー!!??



思わずシャウトしてしまいそうな口を慌てて閉じる。


…まあね、さっきまでなんかおかしいなーなんて思ってましたよ?


夢にしてはあまりにリアルすぎる激痛。


自由に、それこそ現実よりも動ける体と、はっきりとした記憶。


なんか何度も生き返るようなことがあったから、夢だよねー、なんて無理やり納得してたんですけど…


もう、これはないよな。


明るい表情を浮かべる町人たちに、威勢のいい掛け声を上げるしょうにん。


屋台からはソースか、または肉の焼けるいい匂いがして、よだれが溢れそうになる。


照りつける太陽は暑く、屋根があるところとないところではっきりと影が分かれている。


某小説によると、リアルとヴァーチャルの違いはデータ量の違いらしい。


あの二刀流の黒剣士が言うんだから間違いない。


うん、ここ、異世界だ。


夢の中とかじゃないや。


ーーーーーーーーーー


えー、みなさん初めまして、元某高校の、帰宅部に所属していました、柊健太といいます。


はあ、みなさん、どうしましょう。


え、話の筋が全く見えないって?


しょうがないなー、一度だけ説明しますからちゃんと聞いていてくださいね。


眠って、起きたら異世界だ。


はい、せつめいおわりです。


…どないせいっちゅーねん!


あー、もうマジどうしよう。


え、ここまじで異世界なの?


周りを見渡すと、一応見た目は人間ばかりだけど、明らかに日本人じゃない。


みてよあの人とか、何髪の毛7色に染めちゃってんの!?


ほら、あの人とか服装がもうマジやばいって。


何がやばいって、やばいって言葉しか出ないくらいやばいんだって。


「おい、そこのガキ!」


突然近くで大きな声が上がってびくっと、肩を上げる。


…もしかして呼ばれたの僕?


そーっと、後ろを振り返ります。


わあ、これはなんということでしょう、骨肉粒々のお兄さんがそこに立っているではありませんか。


彼が見つめる先にいるのは〜、はい、僕ですね。


そんなに熱く見つめられると恋に落ちちゃうじゃありませんか。


あぁ、お兄さんそのたくましい上腕二頭筋で、私を抱いて!


……


「おい!聞いてんのかよ!」


っととと、危ない危ない、現実逃避してしまってましたよ。


どうらや異世界とは言っても言葉は通じるみたい。


なら、ここでしっかりコミュニケーションとらないとね!


「な、ななあな、なんでしょうか!?」


…しゃないやん。


二つ前の章読み直してみいや、うち、コミュ障なんよ!?


いきなりこんなごっつい兄さんと会話しろって言われても無理っすよ。


「あー、そう怯えなくていい。ただ、ここは道の真ん中だから突っ立てんなって言いたくてだな…」


僕の涙目の表情をみて、口を濁らせるお兄さん。


どうやら見た目に反しそこまで怖い人ではないようです。


「あ、はい、すみませんでした!」


まあ、でもやっぱり怖いもんは怖いわけで、謝罪すると、すぐにお兄さんの前を後にします。


…ごめんね、お兄さん。


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