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多くの商品はお客様の為にあります 第百二十九話 その1
土曜日のコンビニの深夜バイト。
DJの声や音楽が静まり返った店内にこだましている。
お客は誰もいない。
俺は、山本とともにバックヤードで休憩をとっていた。
山本は、夜食のパンを食べ終えた。
そろそろ、くだらない話がはじまるのか……
徐に、山本が口を開いた。
「ねぇ、かぁさん」
いよいよ、くだらない話か。
俺は、山本の方を見た。
しかし、彼の口から出た言葉は今日は違っていた。
「今日は、かぁさんが何か話してくださいよ」
「はぁ、何でだよ?」
「だって、俺が話してばかりだと、皆さんが面白くないですよね」
「……面倒くせぇな~」
俺は、夜食を食べながら、そう答えた。
しかし、俺もそろそろネタを出さねばな。
何にするか。
「皆、かぁさんの話を待っていますよ」
そこまで言われちゃなぁ~
よし、これにするか……
「これは、俺が平日、銀行に行った時の話だった。
まさかあんなことになうとはおもっていなかった……」
俺は、ゆっくりと話し始めた。