多くの商品はお客様の為にあります 第百二十六話
土日のコンビニには、ロマンが溢れている……
……ことはない。
あるのは、日常とつまらない話だけだ。
今日も、彼のくだらない話が炸裂する。
「この前、道を歩いていたらですね……」
夜食を食べ終え俺の夜食の番、山本が話し始めた。
「80円、100円とポップが書いてあった自動販売機があったので、
ちょっと気になったんですね。
「どうせ、80円に魅かれたんだろ」
「まっ、まぁ、そうですけど……」
「それで、どんな『どうでもいい話なんだ』」
「どうでもいい、って」
山本が不服そうな顔をしながら話を続けた。
「……何を飲もうか、見てみたんですが……」
彼が俺の顔をじーっと見つめる。
「……なんと……」
そんなにためても、つまらん話は、つまらんぞ。
早く言え。
「……なんとっ!」
おいっ、某テレビ番組みたいに引っ張りすぎだぞ。
早送りしちゃうぞ。
「なんと!!」
3回目だ。
某番組と同じなら、ここで、フリーアナウンサーHの『でませんでした~』の名言が……
「すべて100円でした~」
まぁ、そりゃそうだな。
『でませんでした~』は『ピタリ賞が』という言葉が省略されているからな。
今回、ピタリ賞は全く関係ないからな。
「さぁ、休憩終わりだ。
仕事に戻るぞ」
「あっ、かぁさん。
今日の話の感想を……」
俺は、追ってくる山本を振りきり、仕事に戻るのだった。