多くの商品はお客様の為にあります 第百二十四話
大みそかと言えども、コンビニは営業している。
いったい、今年は、誰が入るんだ!!
そうだ、俺だ!!
ちっくちょー、こんなバイト辞めてやる。
「ありがとうございました~」
そんな気持ちは顔に出せない、笑顔・笑顔。
お寺や神社に行ったりする前のラッシュがあったが、
深夜0時に近づくとお客も少なくなってくる。
店内の有線放送もよく聞こえるようになってきた。
そして、内容も、年越しネタになってきた。
ゴーン
ゴーン
除夜の鐘の音が聞こえ始める。
いよいよ、年が明ける。
サン~
ニィ~
イチ~
「やまと~、ハッピー、ニュー、イヤーン」
有線放送の言葉をかき消された。
突然、勝木入り口から入ってきたのだ。
「おいっ、それは、黄色い人の持ちギャグだろ。
パクるなよ」
「いいだろ。
やまとも、一緒に……」
「やるかよ……」
勝木は少し不満げだったが、俺はそんなことを気にせず、
質問したのだった。
「それにしても、こんな時間にどうしたんだ?」
「だって、大和が一人で深夜バイトなんてかわいそうだからさ」
えっ、勝木がそんなことを考えてやってきたのか。
何か、恥ずかしいぞ。
でも、そういうことをさらっと言えちゃうのが勝木なんだよな。
今年は……
いや、去年か……
こいつとも色々あったけど、やっぱり、俺の親友なんだよな、こいつは……。
今年もこいつに振り回されながらも、頑張っていくか。
勝木を見ながら、そう思うのだった。