多くの商品はお客様の為にあります 第百十三話
俺は勝木の家に拉致、いや失礼、招待されていた。
「さぁ、今日はお待ちかね。
秋の味覚を堪能ツアー、開催です!!」
勝木の開会宣言が部屋に響いた。
昨日、勝木からいきなりメールが入り、
『秋の味覚 10品食べつくすツアー』をやるから
家に来るようにと言われた。
興味があったので、今日は勝木の家に来ていたのだ。
『秋の味覚 10品食べつくすツアー』と書かれた旗が、勝木の
部屋のテーブルに掲げられている。
おおげさだなぁ~
「トップバッターは何と言っても秋の味覚、栗です」
勝木は、ゆでた栗をもってきた。
殻付きだよ~
ナイフが添えられている。
自分で向いてくれってか。
俺はナイフで栗をむいて食べる。
「う、うまいっ!!
このホクホクした栗の身。
中からにじみ出る栗の汁」
俺はどんどんむいて食べていると、次の商品がやってきた。
「こちらも、秋の味覚の代表格、サンマ!!」
テーブルの上に、サンマが置かれた。
サンマから湯気が出て食欲をそそる。
「ごめんねぇ、大和君」
サンマを持ってきたのは、勝木のお母さんだった。
お母さんまで、ツアーにスタッフとして参加しているとは。
恐るべし勝木家。
3品目は「秋ナス」。
肉みそ炒めをもせたものだった。
そろそろ、お腹が膨れてきたぞ。