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多くの商品はお客様の為にあります 第百十一話
俺は、ヘコんでいた。
昨晩、商品にクレームをつけてきたお客さんがいた。
傷のある商品を売ったというものり。
レシートを持ってはいたものの、既に、1週間経っており、
いつ、どこで傷ついたか分からない状態になっていた。
それでも、店が悪いの一点張り。
最終的に店長が対応してくれたが、それでも手ごわい相手だった。
俗に言うクレームを趣味としている人なのだ、と店長は言っていた。
何だか、スッキリしない気分だ。
そんな状況でも、仕事は続けなくてはいけない。
ツライ。
後、何分だ?
まだ、2時間くらいある。
朝のお客さんがやってくる頃だ。
シュップさんがやってきた。
今朝も、コーヒー、おにぎりだ。
俺はいつも通り、レジで対応をしていたのだが、
「元気ないな」
「えっ、そうですか?」
「はいっ、あめちゃん」
シュップさんは俺に飴を渡してきた。
俺は、シュップさんを見つめる。
「人生、ツラい時は誰でもある。
飴でも舐めて頑張りな」
そう言って、シュップさんは去っていった。
俺、顔に出てたかな?
でも、シュップさんみたいな優しい人がいるから俺たちはやっていけるんだ。
ありがとう、シュップさん。