多くの商品はお客様の為にあります 第百八話
俺は勝木と9月の行事を一日で行うということで、
振り回されていた。
コスモス公園の次は……
「こんな所に教会があったんだ」
駅近くの利用したことのある道沿いに教会があるのに驚いてしまった。
「それにしても、俺、クリスチャンじゃないぞ」
「クリスマス、彼女とデートしているだろ」
「ま、まぁ……」
「じゃ、キリスト教とも縁はあるわけだな」
「そんな……」
「さぁ、神様に祈るぞ」
「おっ、おいっ」
俺は勝木に引っ張られるがままに教会に入っていった。
次は地元の神社。
「さぁ、神様にお願いしなくちゃ」
勝木が、賽銭を投げ、本壺鈴を鳴らし、
お願いごとを始めた。
俺も、同じように神様にお願い……
っていうか、キリスト教の神様にもお願いし、神道の神様にもお願いする。
一神教と多神教の違いはあるけどさ。
俺はお願いを終え、勝木に聞いてみた。
「俺、そろそろ疲れてきたんだけど……」
「まだまだだ」
勝木は俺を引っ張って、次の場所へ。
もうそろそろ、勘弁してほしい。
次は、地元の寺。
初詣に来たぞ。
「なぁ、勝木」
「おっ、何だ?」
「何で、こんなに色々な宗教施設を回るんだ?」
「秋分の日の行事、祖先を敬うんだよ」
「それにしてもさぁ……」
すると、突然、勝木は、ブルーシートを取り出し、
膝まづき、お祈りを始めた。
「どっ、どうした?」
「アッラーの神に祈っているんだ?」
「そんな……」
「さぁ、大和も一緒に……」
「おっ、おいっ」
結局、俺もアッラーの神に祈るのだった。