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多くの商品はお客様の為にあります 第百五話
今日は、月曜日の夜勤のコンビニバイト。
平日の夜勤はお客が少ない。
店長が休憩に入り、店内は有線放送が鳴り響くだけである。
不気味だ。
『こんな時は……』
俺は、雑巾を取り出す。
いつも、掃除できていない奥の方まで掃除する。
フキフキ。
フキフキ。
フキフキ。
よし、完璧。
鏡に曇りなんてない。
ステンレスが光り輝いている。
窓も、とても透明で綺麗だ。
『我ながら上出来だ。
掃除の才能があるんじゃないか』
俺が心の中で自画自賛していると……
「あらっ、大和さん、こんなところに埃があるわよ」
この姑風な言い方は……
奴だ……
「分かったらすぐおやりなさい」
振り向くとやはり勝木がいた。
俺は、雑巾で埃を取った。
「ほらっ、ここにも……」
「はぃ、あい」
「はいは一回」
こんなことが繰り返され、俺はへとへとになってしまった。
俺は膝まづいて息を整えた。
勝木がやってきて、俺の肩を叩く。
「大和、お疲れ、じゃあな!!」
そう言って、勝木は行ってしまった。
奴は何も買わずに出て行った。
結局あいつはいつも何をしにきてるんだ?