多くの商品はお客様の為にあります 第百三話
挙句の果てに、山本までやってきた。
注文を取り終えると、さっそく山本が話しかけてきた。
「かぁさん、面白い話を聞いてください」
「おぃ、勘弁してくれよ~」
「どうしたんですか、かぁさん」
「もう、俺は疲れたよ~」
「バイト、大変だったんですか?」
「お前の面白い話は、土曜日に聞くから……」
「忘れちゃいそうなので来ました」
その時だった。
山本のカレーが出来上がった。
「そんな話はいいから、カレーを食え」
「昨日ですね……」
俺は、違う席にお水を持っていく、忙しいなぁ。
「かぁさん……」
レジをする、皿洗いする、何て忙しいんだ。
「ねぇ、かぁさん」
おしぼりを補充する、爪楊枝を補充する、野良猫に餌をやる、ふぅ~、忙しくてたまんねぇぞ。
山本がレジに向かう。
手を止め、俺もレジに向かった。
「合計で、980円になります」
「かぁさん……」
山本が涙目だ。
早く、金出して帰ってくれ。
「わーん、かぁさんなんてデベソになっちゃえ」
山本は、泣き叫びながら帰っていった。
そんなにカレーがうまかったか。
こうして、俺の不思議な一日は終わった。
……って何が不思議かって……
そうだな、何も不思議はないな。
面倒な一日に訂正されてくれ。
俺の面倒な一日は終わった。
それにしても何で立て続けに友人が来たんだろうか?