多くの商品はお客様の為にあります 第百一話
夏休みのある日、俺は不思議な体験をした。
それは、暑い日の平日昼間。
俺が掛け持ちしているカレー屋の昼間バイトの時だった。
カレー屋の更衣室は、備品倉庫と兼用なので、狭くて暑い。
俺は汗をかきながら、真っ白な厨房着に着替え厨房に向かったのだが、
「今日、ホールでお願い」
「えっ?」
「今日、ホールの子が一人、お休みなの。
着替えたのに悪いけど、ホールでお願い」
「分かりました」
俺はホール着に着替え、軽く汗を拭きとり、制汗剤を体に吹き付ける。
その後、ホールに出て軽くホールの人とミーティング。
いつも通り、ホールの業務をこなしてく。
お客様の案内、
レジ、
料理提供、
食器の片付け
などなど。
大きな事件もなく、時間が過ぎていく。
今日は、1回満席になっただけで、そんなに忙しくなかった。
昼時を過ぎ、お客さんも少なくなってきてから、何かがおかしくなってきた。
「いらっしゃいませ」
俺が入り口にやってくると、
「ようっ、大和」
「申し訳ございません、当店、危険人物の入店はお断りしておいます」
「俺が、いつ危険人物になったんだ」
「小学生の頃からです」
「真面目か!!」
勝木は、勝手に店内に入っていった。
まぁ、どうせいつもの席に座るんだろう。
勝木が席に着くなり、俺は、
「お客さま、ご注文は?」
俺は、そう言った取った後、間髪入れずにこう続けた。
「うさぎですけ?」
勝木がキョトンとしているが、正気に戻り、
こう言った。
「あぁ、ウサギでいいぜ」
しかし、俺は、この回答を待っていた。
俺は勝木にこう言った。」
「当店では、ウサギは取り扱っておりません。
他をあたってください」
「おいっ。
何かイラッとくる店員だな……
そもそも、うさぎなんて食べれるんか?」
「日本でも、昔は食べられていたんだぜ」
「まぁ、そんなウサギの話はいいよ。
腹減ったから、飯くれ」
「いつものでいいか?」
「あぁ、もちろん」
俺は、厨房に注文された品を伝える。
厨房でその商品が作られ、ホールに渡される。
俺は、それを勝木にもっていった。
「おうおう、これこれって……
この大盛
勝木は帰っていったのだった。
しかし、これはあくまでも序章に過ぎなかった。