嗚呼深淵なるかな……日本語
なんてタイトルで釣ろうとか狙っているつもりは無いのですが、偶々見掛けて、うん、これがラノベだな、と思わず膝を打ってしまった表現があります。
ファンタジーでの戦闘シーン。その後にまぁ概ね漏れなく発生するもの……そう、「死体」です。
例えばです、「親友の死体」という表現、なんか変じゃありませんか?文法上や辞書の意味論的な誤りはありません。
変なのは、「死体」が「親友」である点です。
決して間違いではないのです。ただ、場合によっては、変、になります。
死体>遺体>ご遺体
通常右に行くほど丁寧な表現、まぁ只のモノとしてではなく、客観から主観的な存在となり、多分辞書などで調べずとも、一般的な日本人は即座に変だと感じると思うのです。
「親友の遺体」、多分この表現の方が違和感を感じるケースは少ないでしょうね。死体を遺体と表現する事で、そこに何らかの感情や思い出等の思い入れを込める事が可能です。
ところが、ラノベでは死体は死体として取り扱っているケースがまま見受けられます。そうした感情移入を敢えて避けているとも取れ、強ち間違いとは言いきれません。こうした事は死体に限らずで、なんていうんだろうか、客観的というか、醒めているというか、クール?そんな微妙な言葉における距離感に時代の遷移を感じ、故にラノベらしいなぁと思った次第です。
どうするかは、読み手書き手それぞれ御本人次第で構わないのです。間違えているのではないですからね。
読み手としては、感想で投げ掛けるか、黙殺してストーリーを楽しむか、こうしてお題にして述べるか、でしょうかねぇ。
書き手としてはそうした事(一般常識やら慣習やら暗黙の了解やらの縛り)も意識しつつ新しい表現にチャレンジしてみるのもまた一興です。過激に過ぎてバンバンされるのも、引っ込み過ぎて表詰まらないとされろのも避けたいとは思いますが。
つまり、正解は無い!のでしょうね。
ねっ!日本語って深いとは思いませんか?