猫の読む本
ベランダへのサッシを開けて、何かを干そうとしている。洗濯物ではなく、しいたけとかなんとか乾物のようなものだった。そらまめだったかもしれない。それを干している間、開けっ放しにしなくてはならない。
「猫が出たらどうしよう」
「大丈夫よ。出たらすぐに追いかければ」
そうはいうものの、私には気がかりだ。
「それに、今は布団のなかよ」
布団の中を透視してみると、確かに猫は布団の中にいて、本を読んでいた。猫の体に合わせた小さな本だった。
「あら、本を読んでいるのね」と、声をかけた。
私たちはお腹がすいたのか、本が欲しくなったのか、出かけて、私は古書店で、物色していたがあまり欲しい本が見当たらなかった。もう帰るぞと言われて出発した。すでにみんなは後部座席と助手席に座っていて、私が運転するのを待っていた。私は道を覚えていなかった。
「確か山を越えてきたよね」そういって、坂道を上がっていった。上の方では土木工事をやっていた。かんたんにこの車を踏みつぶせそうな輸送車がすぐ脇を追い抜いていった。そして、道路を歩いている人たちは遠近法なんかではなく、本当に巨人だった。私は脇道を見つけて入っていった。マンションのような建物のところに停車した。一階のコンクリートの壁のところに数人集まっていた。何やらゲームをやっていた。そこへ住人らしき又吉が帰ってきた。又吉は「サルでもできるゲーム」を始めた。対戦相手はうちの猫であった。




